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闇夜

 二日目の行程が過ぎ、

 一行は野営に取り掛かる。

 目減りした食糧に、

 兵士たちが不満を漏らしながら

 作業をしていた。

 女王が食糧を分け与えても、

 女王の食事の量は減らない。

 割を食うのは末端の兵士だった。

 そういった不満は

 高い位置から見えないところで

 堆積していくものだ。

 詐欺師は将やその配下の騎士と

 忙しく打ち合わせをしていた。

 空には厚く雲が掛かり

 月も星も見えそうにない。

 令嬢は

 光の無い空を見上げていた。




 闇に潜み

 十人ほどの男たちが

 女王の天幕の様子を窺っている。

 剣を携え、

 音を立てぬようにか

 鎧は着ていなかった。

 男たちは互いに顔を見合わせ、

 目配せをすると、

 女王の天幕に向けて

 足を踏み出した。

 すると突然中空に

 小さな太陽の如き火球が浮かび、

 彼らの姿を照らし出す。

 狼狽して周囲を見回す彼らを

 詐欺師と将、

 王室護衛隊の騎士、

 そして少年たちが囲んだ。


「おとなしく投降しろ。

 騒ぎを大きくしたくはない」


 詐欺師が静かに男たちを見据える。

 苛立たしげに顔を歪め、

 一人が叫んだ。


「目の前の些事に囚われ、

 大局を見る目を持たぬ

 あの小娘が、

 この国の王にふさわしいと

 本当に思っているのか!」


 しかし詐欺師は

 嘲笑を浮かべて答える。


「そう思うならなぜ、

 今この時に女王を襲う?

 女王が風の試練に失敗すれば、

 暗殺などしなくても

 堂々と玉座から引きずり下ろせるだろう」


 男たちは詐欺師を憎しみを込めて睨んだ。

 詐欺師は言葉を続ける。


「女王は試練を乗り越えるかもしれない。

 そう思えばこその()なんだろう?

 少なくともお前たちの主よりは

 風の賢者に近いと、

 お前たち自身が思っているんじゃないか?」


 男たちは答えず、

 無言で一斉に剣を抜いた。

 詐欺師は笑いを収め、

 どこか憐れむように男たちを見る。


「無駄死にだぞ?」

「我らに続く者は必ず現れよう。

 無駄死ににはならん」


 男たちの覚悟が

 夜の闇に広がる。

 詐欺師は短剣を抜き、

 それを合図に将たちも

 剣を構えた。


「窮鼠は時に

 猫の喉笛を噛み千切ると知れ!」


 一人がそう吠え、

 男たちは詐欺師たちに

 襲い掛かった。

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