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半分
夜、
闇が深まる時間に、
少年は地面に身体を横たえて
目を閉じていた。
隣では詐欺師が
毛布にくるまっているが、
おそらくは起きているのだろう、
もぞもぞと動く気配がする。
少年は目を開け、
「あんたは」
詐欺師に声を掛けた。
「……話が、
うまいな」
「なんだそりゃ」
詐欺師は呆れたように
そう答える。
少年は天幕の中の闇を見つめながら
話を続ける。
「さっきの話、
あれは、
半分だろう?」
「……半分?」
詐欺師の訝しげな声に、
少年はうなずいた。
「あんたの話を
思い出していた。
あんたは王や貴族を
詐欺師と呼んだが、
女王個人のことを
悪しざまには言わなかった。
あんたが失望したのは
制度や権威であって、
人じゃないんだろう」
詐欺師が寝返りを打ち、
少年に背を向ける。
少年は毛布をかぶった詐欺師の背に顔を向けた。
「あんたは、
女王を救うだろう?」
詐欺師は何も答えない。
少年は小さく息を吐き、
再び天井を見上げた。
わずかな時が流れ、
やがて詐欺師の背が
可笑しそうに震えた。
「お前、
いい詐欺師になるぜ」
「それは
全然嬉しくないな」
少年の不満げな声に
詐欺師は今度は声を立てて笑った。




