のんびり日曜日
「何故アラームが二つセットしてあるかって?それは二度寝するために決まってるじゃないか……。故に俺は永遠の眠りに……ふわぁ…」
冬の日の朝は寒くて嫌いだ。
寝ぼけ眼で戯言を吐きながら布団を被り直す。
幸いな事に今日は日曜日。そう、二度寝が許される日である。
嗚呼、素晴らしきかな二度寝。素晴らしきかな布団。
そうだ、布団を信仰しよう、そうしよう。
日曜日は二度寝を捧げることを教義としよう。
そんなことを考えながら、目をつぶる。
多幸感に包まれながら、俺の意識はドロドロに溶けていく……はずだったが、それは中断されることとなった。
「ちょっとお兄ちゃん。いつまで寝てるの?」
「………んぁ?」
妹に声を掛けられたからである。
我が愛しき妹ではあるが、二度寝の邪魔は誰とて許さない。
「二度寝の邪魔をする奴はこうだ!」
「ひゃっ、お兄ちゃん!?」
俺は妹を布団へと引きずり込んだ。そして妹を抱き枕がわりに二度寝を強行する。
「くるしい…くるしいってば、お兄ちゃん!」
「一緒に二度寝しようぜ?」
「くるしいって言ってるでしょ!」
「ごふぅっ!」
腹に強烈な一撃を食らってしまった。
妹は勢いのままに布団から飛び出てこちらを威嚇してくる。
「ってて、容赦ねえ…。悪かったって……」
今のやり取りで眠気が吹っ飛んでしまった。
これは潔く布団から出るしかないか……。
「もう、お兄ちゃんは本当に仕方ないんだから」
これが妹とのいつものやり取りだ。
何かにつけて妹に纏わりついて引っ剥がされる。そんな日々だ。
「でももう少し二度寝したら空も飛べそうだったんだがな…」
「またよくわからないこと言ってる……」
「あ、そうだ。今日は親もいないし一緒にゲームでもしないか?」
「うーん、まあ私もすること無いしいいよ。新作パズルゲームの『ルーンクラッシュ』、昨日買ったんだ!」
妹との仲は、纏わりつくと殴られること以外は概ね良好だ。
やめてと言われても、何かこう、やりたくなってしまうんだよな。まあ妹が本気で嫌がるならやるつもりは無いが。
「ね、早くやろーよ!」
妹の呼ぶ声が聞こえる。
俺はヨーグルトを食べながら振り返る。
「言っとくが手加減抜きでやらせてもらうからな?」
「望むところだよ!」
そんなこんなで、今日ものんびりとした日曜日が始まる──。
寝る前に気が向いたので書いた。逆に気が向いたときしか書けないのがどうにかしたい所。