研究対象者リスト
何故か見張りがいない。
いや、それ以上に、人の姿が見えない。
それはこの施設に入ってからもそうだった。
私達の前に入っていった集団の人たち。
その姿から、研究員であることは間違いないが、、、
何処へ?
気になる。
そして、今は好都合だ。
誰もいない。
入ることが出来る。
守られていたものの内部で。
構造は至ってシンプル。
入り口から入ってすぐに、大きめの空間。
モニター、机、椅子が所狭しと並んでいる。
モニターには、素人が見てもよく分からない数値、映像が流れ続けている。
「あ、、、、」
その中に一つだけ誰でも分かるようなものがあった。
この施設の内部、至る所を映し出している映像。
監視カメラの記録だ。
「何から何までここで見られていたって訳ね。」
奏がモニターを睨みつける。
その様を見ている弓子、俊も遠からず同じような心境だろう。
今何をしているか。
おかしな行動はしていないか。
その一部始終を見て、嘲笑っていたのだろう。
当然、いい気分なわけがない。
その怒りをぶつける本人がいればまだいいのだが、もういない。
その対象はもうこの世にはいないのだ。
それを噛みしめる。
机の上には、資料が乱雑に散らかっており、それに呼応するように椅子も台風が過ぎ去った後のように、散らかっている。
きっと、頻繁に出入りがあったのだろう。
研究員達の苦悩が。
研究員達の努力が。
そこでは動いていた。
その中心にはきっと一樹がいた。
当人が座っていたであろう椅子は、帰らぬ持ち主を必死に待っているようにも見える。
「なんかこう上手くは言えないけど、悲しい、、、そんな感じがする、、」
「それは、仕方のないことだと思うわ。本人たちが起こしたことの終着点がこれであっただけで。」
「、、、、うん、、そうだよね、、、僕もそう思う、、」
不可避。
必然。
確定。
表し方はいろいろある。
分かるのは、ただ避けられなかったということだけ。
後悔なんかしている場合ではない。
視点を変えていく。
机の上には、資料が広がっていて、何が何やら。
その情報の海をかき分けて、有用な情報を検索していく。
一目見て、この施設の実態を説明、理解が出来うるもの。
枚数自体は少なく、すぐに見つかった。
研究対象者リスト(近縁、潜在、要観察も含む。)
九重一樹
見たものを都合のいいものに変える力。
実際には、変わっていないのでただの幻想。
まだまだ分からないことが多いので、注意。
九重章
真実を見抜く力。
一樹の父にあたる人物。
一樹とは、対極にある。
それにより、衝突の危険性があるので、注意。
新藤奏
該当なし
新藤若葉
一樹と章を繋ぐ役割を果たしている。
能力というよりは、概念的なもの。
失われると、何が起きるかは、まだ検証できていない。
佐山俊
該当なし
田代弓子
該当なし
検証、観察ごとに更新していく。なお、本案件は持ち出し厳禁とし、触れることが出来るのは研究員の中でも軍事開発に関わっている者のみとする。詳細は追って連絡。
九重雅子
以下の数枚には、各々の個人情報がいっぱいに書かれていた。
家族間でしか分からないはずのものも含まれており、全身に寒気が走った。
そして、それ以上に。
「、、九重雅子、、、、」
今はもういないその人。
知っての通り、中身は違うが。
彼女は、軍事開発でリーダーを務めていた。
遂に踏み込みます。
次回は、大悟側の続きも書きます。
読んでいただきありがとうございました。




