影で暗躍する者たち3
「君に生徒会に入ってほしい。」
大宮大悟にそう言われ、ついていった場所は視聴覚室だった。
テーブルの上にはプロジェクターが用意されており、薄暗かった。
何かしらの映像の準備ができているようだ。
一体何が始まるのか。
「入る入らないは置いといて、とりあえずこれだけは見てくれ。」
大悟はそう言うと、プロジェクターから映像を投影した。
映し出されたそれは、歴代生徒会が歩んだ道というべきものであった。
幸福実現、皆と共に生きていく、個人の意思を尊重する、などといった公約が流れている。
どれも僕とは程遠いものだ。
僕とは違う人種が歩んだ道。
大宮君はこれを見せて、僕に何を求めている?
映像は10分ほどで終了した。
「君はこれを見てどう感じた?」
「些細なことでもいい、教えてくれ。」
僕は先ほどの質問を素直に口にした。
「この映像から何を求めているのかと。」
この返答が出た瞬間、大宮君の口元に笑みができた。
まるでこの回答を待っていたかのようだった。
「そうか、君はやはり思っていた通りの人物だ。今日は一旦帰ってもらって構わない。」
「返答は明日にでも聞かせてくれ。」
そういった大宮君はすぐに帰ってしまった。
僕はしばらく立ち尽くしていた。
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「やはり、今回はこの手でアプローチするのがよさそうだ。」
「被検体である九重一樹を、生徒会内部という私の一番近くに置く。」
「こうすることで、九重一樹の壊れていく様を近くで見ることが出来る。」
「あいつはまだ自分の能力の存在に気づいていない。この状態こそ第2段階にふさわしい。」
「もし不測の事態になったとしてもこれがあるからな、心配はいらない。」
大宮大悟の頭の中で会話のリレーが回される。
もしもの時の保険、大宮大悟の切り札。
彼のポケットには黒い液体で満たされた試験管が入っていた。
今回は多くは語りません。
次回もよろしくお願いします。読んでいただきありがとうございます。