裏側を見る者の死亡
これでいい。
後悔はしていない。
決して。
ただ、目の前の障害を打ち破っただけ。
あるのは、結果だけ。
行きつくべき運命に向かって、時間は進んでいる。
その終着点が、こうなっただけだ。
何が起こったのか分からない。
そんな雰囲気。
章は、両手でナイフを突き出している。
ナイフは、一片の狂いもなく、心臓を貫いている。
刺された対象は、間もなく生命活動を停止するだろう。
その対象となった人物。
九重一樹。
その胸には、ナイフが突き刺さっている。
瞬く間に、血が止めどなく零れ落ちる。
一樹の着ている白衣が、赤に染まる。
白から赤に変わっていく様は、一種のイリュージョンに近いものがある。
それは、やがて白衣を埋め尽くし、元の色を消してしまった。
その赤は、口元からも生じる。
唾液と混ざって、口元から垂れ落ちる。
そして、終いには出し尽くしたのか。
口元が赤で固まってしまった。
そのすぐ上。
目ははち切れんばかりに開かれ、視線が動かない。
心停止。
呼吸停止。
瞳孔散大。
一樹の死亡は、確定的に明らかだった。
「、、、、は、、、は、、、」
思わず、声が出てしまう。
ほら、こんなに簡単だった。
何も悩む必要なんてない。
これが、正解。
真実だ。
その章を、ただ呆然と見つめているメンバー達。
奏は、俊は、弓子は。
章から、距離を取っていた。
まるで逃げようとしているかのように。
こちらに向けている感情。
それは、以前のものと違うだろう。
メンバーたちは、章に疑念を抱いていた。
あれは、本当にリーダーがやったのか?
実の息子を?
何年間も探して、やっと巡り合えたのに?
何故?
「、、、、リーダー、、、だよね、、?」
奏が恐る恐る尋ねる。
「、、、、、?」
「、、、当然だろう?何を言っているんだ?」
「ただ障害を排除した、、、それだけだ。」
耳を疑う。
「障害、、、?、、何を言ってるの?」
「家族でしょ!」
つい、かっとなってしまう。
「家族、、、?、あぁ、、、そうか、、、、、、」
「これが、本当の家族の形なんだな、、、」
そう言った章は、一樹を刺したナイフを自分の首元に振り下ろそうとした。
あの続きです。
お待たせしました。
どうぞ、お楽しみください。
読んでいただきありがとうございました。




