表側、裏側の仲介者
意識を失った私が初めに見たもの。
それは、白い天井だった。
辺りは、薄暗く、不気味な雰囲気を醸し出している。
周りには、冷たい目をした看護師。
そして、レントゲンをこちらに見せて何かを喋っている医師。
次第に意識がはっきりとしてくる。
「間違いない。こいつには、何かある。」
「あぁ、施設の周辺をうろうろしていたのは、もちろんだが、、、」
「こんなものがあった。」
寝ている私の近くに、普段持ち歩いている鞄があった。
その中には、リーダーとお姉ちゃんが調査する過程で得た様々な情報がまとめられている。
何も知らないものが見ても、正体は分からないだろうが、知っているものが見たら?
間違いなく、かなりまずい状況に追い込まれている。
意識の覚醒を悟られないように、状況を呑み込んだ。
普段、使っている通学路。
その帰り道で、ふと現れた謎の建物。
それに、群がる野次馬。
パトカーの音。
そして、警察官の大音量の無線。
九重一樹と言っていた。
それを、リーダーに伝えようとして、、、、
そこで、意識が途絶えた。
何者かに感づかれた。
誰だ、、、
誰、、、
「目が覚めたようですね。」
「何か不審な動きをしているものがいるとのことで、こちらで一時保護させていただきました。」
「調べて、何もないようでしたら、記憶を消去して、お帰りいただきます。」
「まぁ、何かあっても、記憶は一部消去させていただくんですがね。」
「状況から考えるに、貴方は後者でしょう。」
「不審な行動、この手帳に書かれていること。」
「何より、この九重一樹、それに気づいてしまった。」
「何か伝えたいことは、ありますか?」
顔を上から覗き込んでくる。
その顔には生気がなく、死人のようだった。
「貴方は、誰ですか?」
「九重一樹の母親、、、、だったらしいわ。」
よく見ると、継ぎ目があり、本当の顔ではなかった。
死人のようではなく、実際既に死んでいる人物ということか?
リーダーの言っていたことと合致している。
「言いたいことは、それだけ?」
「、、、、九重一樹、、その人物がここにいますか?」
「いるわよ。それを、探しに来たんじゃないの?貴方。」
「ここは、何なんですか?この建物、、、」
「能力の研究を行っている。今はそうね、、、」
「軍事利用についてかしら、、、」
「軍事利用、、、?」
「、、、、、おっと、いけない、、、ちょっと喋りすぎたかしらね、、、」
能力の研究?
それの軍事利用?
この施設では、何が行われてる?
まずい感じがする、、
早く逃げないと、、、
そう考え、体はすぐに実行する。
覚醒したばかりの体を無理やり起こす。
目の前の人物を、押しのけ、猛進する。
体を、あちこちにぶつける。
そのたび、周囲に物が飛び散る。
試験管。
注射器。
椅子。
棚。
大量の名札。(大宮大悟と書かれていた。)
それらを蹴散らし、扉に手をかける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
開かない。
内側なのに。
誰かが、抑えている?
その間にも、後ろの人物が迫ってきて。
そして。
首筋に、鋭い痛み。
再び、意識がなくなっていく。
「どう?すっごいでしょ?」
「これの作製を邪魔した九重一樹は、気づいてなかったみたいだけど、、」
「元の体の持ち主が、死ぬ寸前に完成させていたものらしいわ。」
「即効性の麻酔薬。」
本来なら、これにより、記憶を一部失い、調査は振り出しに戻るところだった。
だが。
九重一樹と九重章。
その仲介的役割を担っている若葉。
橋渡しともいえる。
彼女の記憶は消えなかった。
表側も裏側も残して。
若葉が、かなり重要な立場にいることが分かっていただけたと思います。
次回は、どうつながっていくのかは未定です。
私自身、楽しみでもあります。
読んでいただきありがとうございました。




