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悪意は常に裏側に  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 気づけなかった僕の過ち
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影で暗躍する者たち

「対象の経過状態はどうだ?」


「特に乱れはありません。このまま続けても問題ないかと。」


「分かった。このまま観察を続けろ。」



ここは中央管理施設と呼ばれる場所である。

科学者たちはこの場所で被検体の観察をしている。

精神に異常をきたした若者を無駄にせず、再利用することを目的としている。

九重一樹の認識でこの場所を表現するなら、この一単語で表せる。

白宮高校と。



「でも、改めて思うんですけどこの実験は凄いですね。」


「何がだ?」


「たかが一高校生にこれだけの機材と人手が回されていることですよ。モニターの映像からは何ら普通の 高校生とは変わらない印象を受けますし。」


「ん?お前、新入りか?」


「そうですけど。」


「なら知らないのも無理はないか。このモニターに映っている高校生は、この九重一樹だけだぞ。これが どういうことなのか分からないなら、お前はこの仕事に向いてないと見える。」


「、、、なるほど。そういうことですか。」




人は視覚を無意識に都合のいいものに変えることが出来る。

例えば、不意に手に何かが触れたとする。実際にはそれはただのごみだったわけだが、意識が別のものに向いていると感触は全く異なって伝わってしまう。

実際には害はないのだが、それから逃れようとする。

これを反射という。

九重一樹にはこれが恒常的に起きているものと考えられている。

彼のこの能力がいつ、どこで、どのようにして生まれたのかは現在も調査中である。

しかし、そんな中で一つだけ分かったことがある。

この能力は何も知らないものに感染していくのだ。

この新入り科学者のように。



「分かってみればなんてことはない能力だと思いますが、使い方をちょっと変えればとんでもないものが 出来上がりますね。」


「ああ、だが実験はまだ第一段階といったところだ。九重一樹の現在の死亡回数は1回、状態に何の変化 も見られない。次は殺害方法をきちんと工夫しなければ。」



危険から自然に逃げようとする九重一樹の能力。

そこに死という相反するものをぶつけることで状態に変化がないかを見ている。

このまま試行回数を増やしていき、違った反応が出てきたら第2段階に進める。



「次はどう殺せば、いい反応を返してくれる?なぁ九重一樹。」



そう呟くのはこの中央管理施設の主任研究員。

そして、九重一樹の意識では白宮高校の生徒会長である、この男。

大宮大悟、その人である。



にやりとしたその不敵な笑みに、新入り研究員がこう呟く。



「ほんと物好きなひとですね。」



これに対し、大悟は、



「まだ研究は始まったばかりだ。その力、我々が有効活用してやる。」



大悟の目の前のモニターには、血塗れで倒れている九重一樹が写っていた。





今回は特に気合を入れて執筆しました。散りばめた伏線はしっかりと回収していきたいと思います。

次回もお楽しみください。読んでいただきありがとうございました。

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