プロローグ
これは始まりですらない。
赤い光。
甲高く鳴り響くサイレン。
集まった人々が皆一様に僕を見ている。
上から僕の体がちょうど隠れるくらいのブルーシートが掛けられる。
「本部、応答願います、本部。こちら現在、白宮高校に来ています。遺体の身元はポケットに入っていた手帳から九重一樹、年齢は17歳と断定。死因は、状況から考えて高所からの飛び降り自殺と思われます。」
国内有数の進学校で起きた生徒の飛び降り自殺。
新聞、テレビ、インターネットなどのあらゆるメディアがこの事件を取り上げ、広まるかに思えた。
だが、事件は異なる展開を見せていく。
各メディアには情報統制が掛けられ、SNSなどで出回ったものに関しては一斉削除の対象となった。
何より不可解だったのが、野次馬として集まった人たちのことである。
集まった理由が飛び降り自殺なので、そのことを近所で語り合ってもおかしくないはずである。
しかし、集まった人たちにインタビューを持ちかけると皆が口を揃えてこう言った。
「何のことですか?そんなことあるはずないじゃないですか、そこは国内有数の進学校ですよ。」
一体あの場所で何が起こったのか?
九重一樹はなぜ死んだのか?
情報統制とはどういうものなのか?
野次馬たちが見ていたものの本当の正体とは?
この事件の全貌が明らかになるのはまだ先の話である。
初めまして、真っ赤なゴミ箱と申します。
初投稿ですが、自分の好きなジャンル、思い描いていた物語に挑戦します。
完結まで頑張りたいと思います。
またお願いします。