内部へ
「至って普通の学校って感じだよね。」
「うん、そうだね。」
「怪しい建造物があるってわけでもないし。」
「想像通り。」
口々にこの場所の感想を述べる奏と若葉。
実際はこの二人の意見が、他の人々の意見と同じものなのであろう。
だが。
「何だここ。」
俺の視界に広がるのは、広大な空間にぽつりと立っている一つの建物。
窓らしい窓は一切なく、外からでは中の様子を窺い知ることはできそうにない。
建物自体は真っ白な色で塗られており、怪しげな雰囲気を醸し出していた。
その入り口は閉ざされており、さながら収容施設という表現が的確に思われた。
しかし。
授業参観という名目からか、章達の他にも多数の大人が校門から内部に入ってきていた。
様子を見る。
章の横を通り過ぎた大人が建物の入り口で、何やら喋っている。
すると。
入り口が開いた。
「?」
どういうことだ。
授業参観にしては警備が厳重すぎないか。
それに、これだけ大きな施設なのに口頭で?
それこそ電子チップの入ったカードとか指紋認証くらいはありそうなものである。
これが授業参観?
これでは、重要な何かを守っているということが丸わかりじゃないか。
でも、口頭でのセキュリティ?
そんなことは紙には書いていなかった。
どうすれば。
すると、奏と若葉が走り出した。
「行ってみなきゃわかんないじゃん、早く行こうよ。」
「そうです、行きましょう。」
入り口に辿り着いた奏と若葉。
止められるかと思いきや。
何の障害もなく、二人は入っていく。
追いかける章。
入り口に着く。
扉は何の抵抗もなく、開いた。
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「来たか。」
場所は中央管理施設その深部。
いつも大宮大悟がいる場所だ。
今は、授業参観ということになっている。
なので、多数の大人が集まっている。
実際は。
「これで、全員ですかね。皆さん、わざわざ遠いところから来られた方もお疲れ様です。」
「本日は、我々の研究の経過となるものを見ていただこうと思いまして、集まっていただいた次第です。」
「被検体の能力は、向上の一途を辿っています。この間、うちの新型研究員を見せたら、一気にですね。」
「進み具合はかなり順調ですが、まだといったところです。そこで。」
大悟はそこで言葉を区切り、モニターの方に向かって歩いて行った。
とても軽やかな足取りだ。
自らの研究の成果を喜ぶように。
「今、現在。この施設内にふさわしくないものが紛れ込んでいます。」
「そして、この者たちの中に被検体の身内が混ざっているようです。」
「我々の研究の邪魔になる恐れがあります。」
「排除してくださいといいたいところですが、それは少しもったいない。」
「我々の目的の根幹は再利用。家族を失ったこの男も再利用したいと考えています。」
「この両隣にいる女たちの安否は問いません。対象のみ回収をお願いします。」
授業参観というまたとない機会だ。
せっかくだから家族三人。
水入らずで合わせてやる。
そろそろ荒れてきますが物語は続きます。読んでいただきありがとうございました。




