浮かび上がる過去
なぜ、生徒会長の名前が?
やはり何か関係しているのか?
その間にも注射器の中身が注がれ続ける。
ビンを眺めている。
視界が歪む。
・・・・・・・!?
ビンに書かれている文字が歪んで見える。
先ほどは生徒会長の名前が書かれていた。
だが。
九重雅子だと?
そこに書かれていたのは生徒会長の名前のはず。
見ている間にも名前が切り替わる。
大宮大悟、九重雅子、大宮大悟、九重雅子、、、
思い出してはいけない名前。
なぜなら、僕の中であの人はいないことになっているからだ。
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九重雅子。
今はいないことになっている僕の母親。
母は僕が物心つく前からの勉強家でとても研究熱心だった。
子供ながらにその横で実験を見ていた僕は、母の喜ぶ顔が好きだった。
だが、中々成功しない研究。
初めは穏やかだった母も苛立ちを募らせていった。
昔の母に戻ってほしい。
その一心で、陰ながら僕は実験を手伝うことにした。
実験には、細かな数値のズレも命取りとなる瞬間がある。
0.1や10は同じものなのだ。
ある日、母がある実験を行っていた。
後に明るみに出てくることなのだが、裏で軍に生物兵器の提供を行っていたらしい。
その日も0.1のズレで実験失敗となっていた。
母に内緒で実験の様子を覗き見ていた僕は、既に母より先の結論に達していた。
だから、行動に移した。
母が部屋を空けていた時に、こっそり忍び込み、自分なりに配合をいじってみた。
約10分後、母が帰ってきた。
実験再開。
母が喜んでいる。
僕も嬉しい。
まさか、成功するなんて。
僕が作った薬。
母より先に完成させた薬。
つまり、母より僕のほうが優れている。
そういうことになるはずだ。
母の喜びという項目は達成した。
なら次は?
決まっている。
僕の幸福だ。
その為にはあの研究室が欲しい。
あの空間に邪魔なものは?
一つだけある。
目的を達成したものはいらない。
僕は母を殺した。
それすらも僕にとっては、薬の効果をみる実験の一部始終でしかなかった。
その頃からだ。
邪魔なものを排除して、自分のいいように解釈するという能力。
反射が生まれたのは。
書いててめちゃくちゃ楽しかった場面です。
伏線をまた入れて、既にあった伏線を回収した感じです。
次回以降もまたお楽しみいただけるかと。
読んでいただきありがとうございました。




