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第198話 王都に着いた。王女様から俺達を雇った理由を聞いた。

鼻水が止まらねえ!目が痒い!辛い!


…………はい。すみません。

先週は投稿できず、申し訳ありませんでした。

鼻水垂らしながらなんとか書き上げました。色々雑ですみません。


出来るだけ頑張りますが、もしかしたら花粉が落ち着くまで、これからもちょいちょいお休みをいただくかもしれません。ごめんなさい。

 サフィアさんの性遍歴の暴露を全員で拒否して数日。


 その後、知りたくもなかったサフィアさんの裏の顔? 本性? を知ってしまった事により、『この人、後々問題とか起こすんじゃないだろうな……?』などと考えていたのだが、そこはさすが貴族夫人だった。


 数日の間、寝泊りは全てどこかしらの村やら街に立ち寄り、そこの宿で行っていたのだが、俺達以外の目がある所では、完璧に猫を被っていた。

 その変わりようは、実際にぶっ飛んだ本性を目の当たりにしている俺自身でさえ、『あれは寝不足から来る幻覚か何かだったのでは……?』と思ってしまうくらい完璧だった。希望的観測と言ってもいいかもしれない。


 だがそれも、周りに俺達しかいない状況になった瞬間に脆くも崩れ去る。


「サフィアさんがいない?! ついさっきまでそこに座ってたよね?! レンちゃん! くっついてたんじゃないの!?」


「くっついてたよ! ガッチリ握ってたよ! でも手が汗ばんできて、拭こうと思って手を離したら……」


「そんな一瞬で!?」


「落ち着いてください! さすがのサフィア様も、壁をすり抜ける事は出来ません! つまり扉なり窓なりを通らなければ外には出れない、という事です! まだこの部屋にいます! 一人は扉、一人は窓を見張ってください! 私が室内を探します!」


「「「了解!」」」


「…………ん? 今、三人分の声が聞こえなかった……?」


「……それで、何を探しているんですか? 私も手伝いましょうか? こう見えて私、結構探し物は得意なのです。この前もあの人がなくした――――」


「「「あんただよ!」」」


 ――――といった事が毎日のように起こる。まじでしんどい。サフィアさん自身、とても楽しそうに俺達をおちょくってくるのが非常に腹立たしい。


 ちなみに二日目以降、俺達護衛陣の懇願により、サフィアさんは王女様と同じ部屋で寝泊りする事となった。王女様も二つ返事で了承してくれた。

 王女様をほっぽってサフィアさんに三人護衛、という名のお目付け役を付けるのはナンセンス、というか論外だし、かと言って一人や二人であの人を御せるとは到底思えない。

 後、これがかなり重要だったのだが、俺達の睡眠時間を確保する為だ。さすがに旅の間中、ずっと起きているのは無理がある。というかそろそろメリアさんの限界が近い。表情や態度には出ていないが、正直いつぶっ倒れてもおかしくない。


 という事で、サーガさんの提案により、サフィアさんと王女様、二人の護衛対象を一か所に集め、日中は三人で護衛。夜間はサーガさんと俺達二人のどちらか一人、の計二人で護衛し、残る一人は睡眠を取る、というルーチンとなった。普通こういうのって、一番最初の夜までには決めておく事だと思うんだけどな……。

 ただこれだと、サーガさんが寝る時間がないのだが、その事を突っ込むと、驚くべき回答が返ってきた。


「我々近衛は、ちょっとした空き時間に短い休息を取る訓練を受けていますので問題ありませんよ」


 ……まじで? そんな事できんの?


 しかも聞いた感じ、その〈ちょっとした空き時間〉というのは長くて五分やそこらっぽい。実は馬車の中でもちょくちょく寝ていたというから驚きだ。まったく気づかなかった。


 しかも何かしらの異常を感知すれば、すぐさま飛び起きて警戒態勢に移行できるそうだ。


 そんなとんでもスキルの習得が必須とかやばすぎる。前の世界のブラック企業もビックリなレベルのブラックさだなあ。


 とまあ、そんな感じで、王女様と侯爵夫人というビッグネームを護衛しているとは思えない程、騒がしい旅を続けていた訳だが、それも今日で終わりらしい。


 下から響いてくる振動が、先ほどまでより硬い、石の上でも走っているかのような物に変わった。


「王都に着いたようですね。王都は主要な道を舗装しているのですぐ分かるんですよ」


 それに気づいたサーガさんの言葉で、俺達は王都へ到着した事を知る。


 へー。王都は舗装してあるのか。さすがは国の中心。揺れ具合的にアスファルト程平らではないみたいだ。石畳とかかな? まあさすがにアスファルトなんてないよな。舗装してあるだけで十分すごい。イースは全部土の道だからね。


「この旅も今日で終わりかあ……。護衛してる身でこういう事を言うのもおかしな話だけど……大変だったけど、結構楽しかったですねえ」


 感慨深げに呟かれたメリアさんの言葉に、俺は首を縦に振って同意する。

 襲撃のようなデンジャラスな出来事こそなかったものの、かなり濃い数日を過ごした。王女様もサーガさんも良い人で頭も柔らかかったから、変な気苦労みたいな物もなかったし。首と胴が離れちゃうかもしれない恐怖は味わったけど。


「そうだね。正直な所、最初はどんな無理難題を吹っ掛けてくるかって身構えてたけど、そういう事もなかったし」


 一国の王女を遠まわしに貶しているとも取れる発言。しかも本人を目の前に、だ。常識では考えられない所業である。


 だがしかし、そこは短くても一緒に旅をした者同士。これくらいであれば軽口で済ませてもらえるのだ。なんてったって友達レベルの距離感を強要されてるからね! それは俺だけだけど!

 実際、当の王女様は特に気にした様子も見せないし、サーガさんが抜剣する事もない。

 まあ王女様的に俺の感想は少々不服だったらしく、プクっと可愛らしく頬を膨らませているが。


「む。レンさん、私の事、そういう風に見ていたんですか?」


「それはまあ。なんてったって、レベル一とレベル零っていう下っ端も下っ端、最底辺の冒険者である俺達を強引に自分の護衛任務に宛がう、なんて事をしている訳だし」


 普通、俺達レベルの冒険者は、王女様の護衛なんてしないからね? 街中でお使いとかそのレベルが関の山だと思うよ? 自分の事ながら『どうしてこうなった?』感がすごい。


「うぐ。それは、まあ。…………ですがほら、どうせ護衛をしていただくのなら、見知った人の方が安心ではないですか。その点、お二人は侯爵閣下のお屋敷で何度もお見掛けしてましたし、数回ですがお話もした事だってありますから、多少なりとも人柄が分かっていましたからね。そして、護衛に一番必要とされる強さについても、あの一件で目の当たりにしている訳ですし。傍に居ていただくには適任だと思ったんです」

 

 …………まあ、言っている事は分かる。


 遠巻きから守るタイプの護衛だったらどうでもいい事だが、今回は付きっきりでの護衛。そうなると、一応顔見知りで実力を自分の目で見てて、優しそうなお姉さんといった風貌のメリアさんと、(少なくとも見てくれは)同性で、しかも同年代(に見える)の俺は、王女様のニーズに合った逸材だったかもしれないな…………しかし、だ。


「私達がこんなに近くで護衛する事になったのって、確か王女様の要望だったんですよね?」


「ええ。元々は近衛が三人程で護衛することになっていましたが、頼んで変えてもらったのです」


「未だにそこが良く分からないんですよね。なんでまたそんな事を?」


 行きは多分、冒険者を雇ったりせず、近衛達だけで護衛諸々を行ったはずだ。道中、そんな話はトンと聞かなかったし、多分合っている。

『行きの道中、人員不足で困った』みたいな話も聞いてないし、追加で人を雇う必要性はなかったと思われる。


 いくら多少見知った顔で、侯爵様の覚えも良いとはいえ、どこの馬の骨とも知れない奴を身辺警護に使うとか、ぶっちゃけ正気の沙汰とは思えない。


「そ、それは…………」


 俺の質問は痛い所を突いてしまったようで、王女様は口ごもった末に俯いてしまった。

 しかし無言という訳ではなく、モゴモゴと何か口の中で呟いている。

 ふむ。何か俺の予想もつかない大事な、でもちょっと言いにくい事なのかもしれないな。ここは無理に聞き出そうとはせず、王女様が自発的に話し始めるのを待つ事にしようか。心の準備って大事だしね。


 時間にして一分かそこら待っただろうか。突如王女様はガバッ!と顔を上げた。思ったよりずっと早い。

 顔を上げた王女様はどのような感情による物か、顔をほんのり紅潮させながら――――


「つ、つまらなかったんです!!!」


 ――――と言った。


「「…………はあ?」」


 俺とメリアさんの反応が被る。それを見た王女様はほんのり赤かった顔をさらに赤く染めながらまくし立ててきた。


「ですから! つまらないんです! 行きは当初の予定通り、近衛3人に一緒に馬車に乗ってもらっていたのですが、皆さん基本喋らないですし、喋っても護衛に関する事ばかり。後、皆さんなんというか……そう、気合が入りすぎていて。一緒にいる私まで緊張してきてしまって、気疲れしちゃったんですよ! …………だから帰りはもっと気楽に、出来れば楽しく旅が出来るよう、お二人にお付きとして乗っていただく事にしたんです!」


「お、おう。さいですか……」


 そ、そっか。それはなかなかにしんどいな……。王女様も苦労してたんだな…………。

お読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーション増加につながりますので、是非評価、感想、ブクマ、いいね! の程、よろしくお願いします。

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[一言] そしてやっぱりその後も膝に乗せられてたのか……
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