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第6話 やっと街へ

 


 話は護衛二人がやられる少し前に遡る…


「そういえば、カレンの種族スキルって何なの? 俺そんなの設定した覚えがないけどどういうことなの?」


 森を走りながら悠真はカレンに聞いてみると、


「はぁ? あんたそんなことも知らないわけ?

 …まぁ、いいわ。

  いい? スキルには大まかに分けて3種類あるの。

  普通にある程度練習したりすれば所得できる《ノーマルスキル》。

  生まれつきや、劇的な事を経験して開花したりする《固有スキル》。

 そして、種族限定で生まれつき持っている《種族スキル》。

 このスキルに関しては種族でも王族にしか所得できないスキルで、特異性も威力も桁違いなの。

 竜の姿の時に使ったブレスなんかが竜魔法の一つね」


 なるほど、スキルにも色々あるんだな。

 そして威力の高さもよくわかったよ…

 最初の罵倒は余計だと思うけど…


「そんなに見たいっていうなら見せてあげるけど? この先で」


「いやー見たいけど使ったあとの惨状はあまり見たくないかな…ははは…」


 なんてことを言ってはいるけど、見てみたいのは事実なんだよなぁ。


「もうそろそろみたいね」


 話しているうちに近くまで来ていたみたいだ。


「悠真! あそこみて!」


「どこだ…よ」


 見てみた先には、ボロボロになった軽装な装備とそこら中に飛び散っている血や肉片だった…


「うっ…」


 悠真はなんとか吐きそうになるのを必死に抑えた。

 しかし、こうなるのは仕方のないことだろう。

 悠真にこういった現状を見たことなんて無かったのだから。


「これは…なんなの?」


 まだ吐きそうなのを抑えつつ悠真はカレンに聞くが、


「なんなのって、これは冒険者の遺体…というより喰べられた後でしょ?」


「軽くいうなぁ…でも、この世界では当たり前なんだよな…」


 そう、この世界は常に死と隣り合わせの弱肉強食の世界だ。

 その為、道端で人が死んでいたとしても特に騒ぎにはならない。


「まぁ、そんなに気にしたって意味ないわよ? たしかに臭いはキツイけど…」


「そう…だね」


 ………

 ……

 …


「さっきの爆発音はこの人達なのかな? どう思う? カレン」


「いや、違うわね。この人達、護衛かなんかじゃないかしら? だとすれば…」


 そう言いカレンは目を瞑り、


「いたっ! 付いてきて悠真!」


「わかった!」


 二人は走りだし、場所に着き見た時には、すでにミニガルムより大きな狼が一人の男を食べようと大きな口を開けているところだった。


「カレン!」


「わかってる! あんたに見せてあげるわ! 竜魔法を!」


 悠真は見た瞬間、カレンの名を呼ぶ。

 呼ばれた瞬間、いやそれより前にカレンは一つの魔法を発動する。


 竜魔法を発動し、炎を生成。

 そして、その炎をカレンは自身の手に纏い狼を殴りつけた。


 ドガァァァァン!


 という音とともに狼や木や地面もろとも吹っ飛ばした…


「いやいや…やっぱやりすぎだろ…」


 その光景を見た悠真のそんな嘆きの声が聞こえたのだった…


 ………

 ……

 …


「悠真! ちゃんと見てた? どうよ! 私の竜魔法! すごいでしょ?」


「いや、すごいんだけど…やりすぎじゃないか?」


 カレンははしゃいでいるが、竜魔法を放った後が悲惨すぎて悠真は、やりすぎじゃないかな…という言葉しか出てこなかった…


「何いってんの? ちゃんと手加減はしたわよ? もし本気ならこの森すでにないわよ?」


「…マジですか」


 いやいやいや、本気だと森が無くなるとかどんだけだよ! 威力やばすぎだろ!


「あ、あんたら助かったよ…ありがとな」


 今まで空気だった商人がカレンと悠真にお礼を言うが、


「あれ? 私、魔物助けちゃったのかな?」


 カレンがなんてことを言い出した。


「何言ってんだよカレン! この人に失礼じゃないか! すいません、連れが失礼しま…した…」


 失礼しましたと言おうとしたのだが…助けた人の方を向いた瞬間、絶句してしまった…


 何せ…一度アニメで見たときに出てきたオークという魔物にそっくりだったのだ…

 そう! 女騎士の「くっ、殺せ!」で有名なあのオークだ!


「オ、オークだっ!」


「誰がオークだっ!」


 俺がそういうとかなり鋭いツッコミが返ってきた。


「いや、あんたしかいないでしょ?」


 そこにカレンが追い打ちをかけると、


「違うわっ! 俺はドルイだっ!」


「だるい?」


「だるくねーわ! あーもうなんなんだこれは!」


 本当になんなんだろうか、さっきまで諦めて喰われようとしてたのに今はこんなに元気だ。


「…まぁいい! 改めて自己紹介だ!」


「いいの?」


「もうオーク以外ならなんでもいい! いいから自己紹介するぞ!」


 追い打ち、ボケに続き今度は追撃か…カレンさん、なかなかやりますな…

 …て、何言ってるんだろ俺…


「やっと進めるな。 俺の名前はドルイだ! 改めてさっきは助けてくれてありがとう」


 と、ドルイは急に真面目にお礼を言ってきた。

 …オーク顔で。


「わかったわオーク! 私はカレンよ!」


 いやいやカレン…オークはやめなよ…

 っと、俺の番か、


「俺は神夜悠真(かみやゆうま)、オ…ドルイさんが無事でよかったです!」


 いかんいかん。 ついオークと言ってしまうところだった…


「色々と言いたいことはあるが、カレンに悠真か…カレンはともかく悠真って名前はこっちではあまり聞かないな…どっから来たんだ?」


 え? そうなの? どうしようか…うーん…

 なんか本当のこと言うとめんどくさそうだな…

 俺の読んだ小説でも異世界から来たなんて言ってなかったし…よし!


「実は…記憶が曖昧なんです…気づいたら草原にいて、狼型の魔物に襲われていた所をこのカレンに助けて貰ったんです…」


 とりあえず言ってみたが思ったより上手く言えたな…俺って人を騙す才能でもあるのかな?

 …まぁ、半分は本当の事言ってるけどな。


「そ、そうだったのか…それは災難だったな…無神経に聞いて悪かったよ」


「あら、オークにしてはいいやつみたいね!」


「その一言が余計だっ!」


 オークさん良いツッコミするなー。

 でも、仕方ないと思うんだ…だってさ、オーク顔で真面目な事言い出すんだよ? ね? 仕方ないでしょ?

 まぁ、それはいいとして、


「ドルイさん! この辺に街とかって無いですか? 自分記憶が曖昧なのでわからなくて…」


「それならこの森を抜けた先に国があるから一緒に行くか? というよりやっと普通に俺の名前を呼んだな!」


「いいんですか?」


「おう! 助けてくれたお礼だ!」


「ありがとう! オーク!」


 隣から「オークは余計だっ!」なんて言ってるが聞こえない聞こえない。

 まぁ何はともかく二人と一匹は森の先にあると言う国に向かうのであった。

やっと街へとはなんだったのか笑

書きながら自分でも笑ってしまった笑

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