第5話 街を目指して…のはずなんだが。
第五話 街を目指して… のはずなんだが。
二人は今、爆発音のした方へ向かっていた。
「カレン! さっきの爆発音はなんだと思う?」
走りながら悠真はカレンに問いかける。
「魔法の発動は察知しなかったわ! だから魔物だと思うけど…」
そう…ここまでの爆発音はなかなかでない。
ミニガルムでさえ噛みつきや爪でひっかくしかしてこなかった。
となると、ミニガルム以上の魔物がいるということになる。
「とりあえず急ごう! カレン!」
「わかってる!」
何事もなければいいのだが…
………
……
…
「クソッ! この森にこんなやつがいるなんてきいてねーぞ! 魔物なんて滅多にでないんじゃなかったのか! お前らは何かしらねーのか? 護衛さん達よ!」
一人の男が護衛に尋ねるが、
「俺らも知らねーよ! 普段ならでない! だからこのルートで行ってるんだ!」
そう、この森は普段なら魔物が出ないことで有名な森だ。
だから商人達は必ずこのルートを使うのである。
なので魔物が出ればこうなるのは必然だった…
ミニガルム程度であれば護衛達だけでも倒せるであろう。
しかし、商人や護衛達を襲っている魔物は…
「本当に聞いてねーぞ! この森にミニガルムの上位種、ガルムがいるなんてよ!」
ガルムは名前はミニが外れただけだが、体長はミニガルムの倍以上ある5m程あり、今の護衛二人では厳しい相手であった…
「おい! あいつ一匹だけみたいだぜ! 俺らだけで倒したら俺ら有名になれんじゃねーか?」
なんてことを護衛の一人がいい始め、
「そうだな! あいつ一匹ならなんとかできるかもしれねぇ! やるか!」
もう一人の方もそんなことを言い始める。
「よっしゃ! 行くぞ!」
「おう!」
そして二人がガルムに向かって走りだした瞬間、
ガゥッ!
うわっ! ぎゃぁぁぁぁぁ!
茂みからミニの方のガルムが飛び出し、言い出しっぺの方の護衛の腕に噛みつき、そのまま森の奥へと引きずられていった…その後どうなったかは、想像に難くないだろう…
「ひっ…し、商人のおっさん! 護衛は辞めだ! 俺はこんなとこで死ぬようなやつじゃ…ぎゃぁぁぁぁぁ!」
もう一人の方も茂みに隠れていたミニガルムに噛みつかれ森の奥へと引きずられていった…
「うそ…だろ…行きではあんな簡単に倒してたじゃねーか…」
そう、簡単に倒せる相手でも奇襲など、一つの作戦で重傷を負ったり、死んだりする事もある。
冒険者は常に死と隣り合わせだ。
今回は特に相手が悪かった。
ガルム達は群れで行動する。
そのため狡猾で、相手が強者でも弱者でも手は抜かない。
護衛二人はガルムが一匹だけだと勘違いして突っ込んだ為、その隙を突かれミニガルムにやられたのだ。
「俺も…ここまでなのか…」
商人が半ば諦め、ガルムが噛み付こうとしていた…
商人は目を瞑り、死を覚悟していたが…
ドガァァァァン!
という音がし、目を開けると、
そこには…
やはり、巨大なクレーターとまだ周りに残る炎が広がるだけであった…
やったのは…
言わずともわかるか笑