第34話 VS闘神 中編
大幅に遅れてすいません。
今、兵士の訓練場では、この王国の中で最強と呼ばれる闘神、国王、ガルド・ヴェルリアと悠真の決闘が行われていた。
だが、いつのまにか訓練場は観戦している者が増え続けていた。
それも仕方ないだろう。
何せこの王国最強が決闘を行なっているのだから。
しかも、その王国最強とほぼ互角に戦っているのだ。
観戦しない方がおかしいと言えるであろう。
「カレンさん、シアさん。悠真様は何者なんですか? 自慢ではないですが、私のお父様はかなり強いです。本気ではないにしろ普通はあそこまで互角には戦えません」
リース王女はいつのまにかカレンとシアの隣におり、そう問いかけた。
「悠真は…私とシアの創造主よ。 …それと悠真も本気じゃない…というより、スキルの使い方がわかっていないと言った方が正しいわね」
「そうじゃのぅ…悠真がスキルを理解して、本気でやるなら既に決闘は終わっておるはずじゃしのぅ」
「…え? 創造主? スキルの使い方がわかっていない? それに…本気を出したらお父様よりも強い…? 嘘…よね?」
「嘘じゃないわ」
そう…嘘なんかじゃないわ。
悠真はスキルの事をちゃんと理解していないし、使い方もよくわかってない。
たぶん…最近、自分のスキルやステータスを詳しく見てないのかもしれないわね。
「うむ、確かに嘘ではないのじゃが……カレンよ、創造主とか話してよかったのかのぅ…? 主人様は隠しておきたい感じではなかったかのぅ…?」
「………あ。 り、リース? 今のはあれよ! じょ、冗談よ! 冗談! 悠真はリースのお父さんより弱いから! 創造主っていうのもあれだから! ほら! 私達を創ったとかそういうのじゃないからっ! ねっ? わかった?」
リースのお父さんより弱いと言って悠真を見てみたら、丁度、悠真がリースのお父さんに一撃を加えていたところだった。
(なんで、そんな良いタイミングで一撃加えちゃうのよ悠真ぁ!?)
「カレンよ…焦って言わなくていいことまで言っておるぞ…」
「……あわわわわわ! やっちゃったぁ…どうしようシアぁ?」
思い返してみたら本当に言わなくていいことまで言っちゃってるよぉ…どうしよぉ…
「はは、慌てるカレンは可愛いのぅ! やばいのぅ!」
「ちょ、ちょっと! シアもなんか言ってよバカっ!」
「ふふっ、確かに慌てるカレンさんは可愛いですね! …ですが、後でしっかりとお話しは聞きますね? 悠真さんもご一緒に…ね?」
リースはにっこりと笑いながらそういうのだった…
それに対してカレンは「ごめん、悠真…」と呟きながら国王と戦っている悠真を見つめるのだった。
………
……
…
「…はぁ。 強いし速い…それに、一撃一撃が重い…これがSランクの冒険者…!」
あれからどのくらい激しい攻防を繰り広げただろうか…
殴っては殴られ、避けられてはカウンターをくらい、逆にフェイントをかけて揺さぶり攻撃を仕掛ける。
悠真は一旦、距離を取った。
今のところ能力的には互角…いや、国王様の方がまだ上だな…
俺より一撃は重いし、速さもある。
それに遠距離攻撃もやばい。
そう考えると無駄に距離を取ったりするのも危ないな。
「はぁ…近接も強くなかなか隙もなく、遠距離攻撃もできるってどんだけだよ…」
気づくとそんな事を愚痴っていた。
「はっはっは、すごい、すごいぞ君は! この私にこんなについてこれる奴はそうそういないっ! 滾ってきたっ! 久々にこのスキルを使うとしようかっ!」
俺が愚痴っているとはいざ知らず、国王様は笑いながらそんな事を言っている。
こっちは結構限界だっていうのに…
更に強くなるのか…
まじか…どうしよう…
「では、行くとしよう! 《闘気》」
「ちょっと、お父様!?」
国王様がスキルを発動すると共にリース王女が驚きの声を上げる。
だが、国王様は気にせずそのままスキルを発動させた。
《闘気》のスキルが発動すると共に国王様の体の周りに赤いオーラの様なものが現れた。
その赤いオーラは見ているだけでもやばいと思うほどの力が伝わってくる。
なんというか…肌がビリビリするほどに伝わってくる。
「嘘でしょ…? お父様がただの決闘であのスキルを使うなんて…」
「ん? 決闘で使うとなんかまずいの?」
リース王女がボソッと呟いたのが聞こえてきてカレンが尋ねた。
「あのスキルは《闘気》と言って《身体強化》の超上位互換のスキルなの。使うとあの様に赤いオーラを纏ってあらゆる魔法障壁を無効化して、一定以上の魔法や攻撃じゃないかぎりダメージを受けないの。…だから例え悠真様がガードしていても無効化されてダメージをもろに受けてしまうの」
「そう。それは悠真もやばいわね」
「そうなんです! やばいんです! 出来れば決闘を中止させたいくらいなんですけど…」
「…けど?」
「…けど、あんなに楽しそうなお父様を見るのは久しぶりで…止めていいのかわからない…」
「なら、そのまま決闘を続行でいいんじゃない?」
「そう…ですね。お父様もちゃんとわかっていると思うのですが……もし、危なくなったら止めないと…」
「まぁ、そうね」
大丈夫だとは思うけど…
それにしても、ガードが出来ない攻撃って…
ホント…『闘神』の二つ名は伊達じゃないわね…
多分、私じゃ勝てない…
もし、危なくなったら念話で助言しよう!
べ、別に心配とかそんなんじゃないんだからねっ?
心配とか…してないんもん…
………
……
…
カレン達の心配もいざ知らず、悠真は《闘気》を発動させて更に強くなった国王様の攻撃をかわすことで精一杯だった。
「くっ、なんて速さだよ! 攻撃速度も移動速度もさっきと違いすぎていよいよやばいな…これがSランク冒険者…!」
「はっはっは、いやいや悠真君、君はすごいな! 《闘気》を発動させている私の攻撃をかわすことが出来るなんて…君が初めてだよ!」
「それは…光栄ですね…!」
「だが、君もそろそろ限界であろう? だからそろそろ終わらせてもらうよ!」
言うが早いか、国王様は攻撃を再開させた。
悠真もなんとか反応し、後ろに回避しようと動き出すが、国王様がニヤッと笑うのを見てしまった。
「反応はいいな! だが、戦い慣れてはいないようだ!」
「しまった…!」
悠真はさっきから国王様が次はどの攻撃をしてくるのかあらかじめ予想しながら避けていたのだが、今回はそれがよくなかった。
国王様もそれに気づいており、俺が後ろに回避するように動き、フェイントを入れたのだ。
国王様は遠距離攻撃もできる…そして、俺は後ろに回避しているため、実質上の回避不可能だ。
気づいた時にはすでに遅し…
最後に《衝撃波!》という声を聞きながら、俺は意識を手放した。




