検分
「遅くなりました」
「いやちょうどいい、今長に見つけた時の状況を説明が終わったとこだ」
最初僕は長とエキシ三人で戻ろうと思っていたのだが、話を聞くなり「先に行く、お前はババを連れて来い。シルシも忘れず持ってこさせよ」と伝えて行ってしまったのだ。
仕方なく僕はババの所に向かい、戻ったのだ。
しかしババの足は遅く倍の時間がかかってしまった。
「なぜババが? エキシならハヤやトビなど他にもいただろう?」
「ライの小僧が私を年寄り扱いするんじゃないよ。それに他のエキシは次の準備でこんな面倒な事させられないよ」
「ごめんなさい」
ババの色にとっさに謝ってしまう。見つけたのは父だが、それを指摘すれば僕がここにいた事が原因であるのだから責任は僕にあると思う。
「坊が悪いんじゃないよ、坊やは仕事をした」
「でも――」
「すまんがババ、ライの子よ。時が惜しいここに来た目的を果たそうぞ」
「わかったよ。流れて来た人ってのはそれかい?」
「うむ。一向に目を覚まさぬ。ババよ、この者どこぞで見たことある種か?」
「見た目は無いね。どれ、他に近い種がないかと怪我の確認だけでもしとくかね」
「せめて雄雌どちらかとエニシ交えるかがわかればよいのだが」
「……女のひとだよね?」
『!?』
あれ、違うのかな?
「……子よ、オマエにはこれが女に見えるのだな?」
「うん」
「……坊の見立てで間違いないね、ついでに怪我は無いみたいだが治療機に入れとけば間違いないだろう」
「では、これを運ぶかライ儂は癒し手に準備をさせる為に急ぎ戻る後は任せたぞ」
来る時と同じように長は去っていた。
「子よ、ちょうど箱に乗ったままだ。箱ごと持っていく手伝え」
こうして一人の女性が僕らの集落に来たのだ。