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営みの種類

 さて、生きていくにも糧がないと生きれぬ。いくら僕が子供だからと言って何もせずに食事にありつけるわけもない。


 働かないで食う飯サイコー。


 ……何やら幻聴が聞こえた気がするけど無視して、この集落で割り振られている仕事を振り返ってみよう。


 一番人数が多いのはサイと言われる農耕だ。育ててるのは次に上げるイクで飼育しているのに食べさせるクルだ。この作業に人数が多いのは単純に子供も作業するからにすぎない。種まき・水やり・収穫補助非力な者でも出来るとくれば当然だ。

 僕はやってないけど。

いや物事は正確に言おうやってないではなく出来なかった。

 収穫物に触ると触れた箇所がかぶれるのだ。初めて収穫作業をした時それは頑張った。種まきから水やりと自分もしたのだ、触った時少し違和感があってもそれはもう嬉しくて畑と置き場を往復した。

 結果十日の治療器送りになった。その日の夕食頃に、見事に顔に両腕両足が膨れて動けなくなった。父はそれを見て子が憤怒に支配されたと慌て、母は冷静に僕を集落の呪い所に放り込んだ。

 幼い子供が十日も見慣れぬ場所に閉じ込められたのだ、その時は心細いなあと思ったが。

父は昼に頻繁に見に来てくれたが、仕事を抜けてたのか大体誰かにどつかれて連れて行かれた。母は夜に来て眠るまでいて僕が寝たら帰ってたらしいのでそこまで寂しくはなかった。

 そして治療器に入れられて改善された事もあるが今は関係ないので置いておく。


 次がイクと言われる飼育と酪農になる。飼育してるのはウギと呼ばれる雄はもこもこの毛皮をしてるのに雌は毛が生えてない雌雄異型の動物だ。先に説明したクルを主食にそこらに生えてる雑草を食べさせ育ててる。

気性は比較的温厚ただ、繁殖期には人で言うこめかみあたりに生えてる四本一対の角で雄ト同士で力比べをしてたりする、偶に雌同士や雌雄でやってたりもするがその場合はだいたい体の大きい雌が勝ってる自然界でも雌が強いのがよく分かる。ちなみにこのウギの乳と肉を加工した物が集落の交易品のルズと干し肉になる。

 そしてこの仕事も僕は出来ない。主食がクルだからもあるし何故か僕に突進してくるのだ……雌が。比較的温厚とはなんだったのか説明しをしてくれた母に問いたい。

 一応クルに触らず作業が出来ないか試した時それは起きた。

 ウギの柵に入ったら一番近くの雌が一直線に向かってきたのだ、そして背に角で振り上げられた。それで終わればよかったが、次に僕を背に乗せた雌より大きい雌が同じ様にまた角で僕を攫うのだ。そうなると一番大きな雌に背負われて終わりと思うがまだ続く、一番大きな雌に背負われた後は他の雌共がその雌をこかすのだ。つまり雌の手が届かない場所に僕が行くまでこの背負い祭りは止まらないのだ。

 ちなみに雄は知らんとばかりに離れてそこらの雑草を食っていて、他のイクをしていた者はモテモテだねーっと呑気に言ってた……僕は助けと叫んでいたのに。


 後の二つは大人でも一定以上の資質がないと出来ないことなので簡素に説明していく。

 三番目はシュユと言う集落から行ける範囲で採集してくる作業になる。採集してくる物は人によって違うが大体がルズや干し肉にするのに使う植物だ。加工に使うそれらは栽培が難しいらしく集めるには熟練の経験がいるらしい。ちなみにこれを父はしていて、母は加工をおもにしているそうだ。

 四番目はエキシと言う、集落外に交易品を運び外の物を持って帰る仕事だ。主食のカバを調達する集落一重要な仕事と言ってもいい。


 集落で通常割り振られる仕事は上記四つだ。細かく言えばまだあるが殆どはこれらとの兼業になる。


 僕の仕事が無いって? 確かにサイはルクに触れないから出来ず、イクはウギの所為でおもちゃ扱い。

シュウ、エキシは問題外、でもこんな僕にも出来る仕事が集落にはあるのだ。


 それは川の監視だ。


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