第1章 三千世界と運命の流転 7
第7話です。
遂に主人公覚醒!?
ではお楽しみください|д゜)
こちらが動き始めるのと同時にメイジが動き出す。
メイジの2人は両側に分かれ遠巻きに俺から見て左右に展開する。
馬上で杖?を構えながら攻撃態勢を整えながら移動している。
後は金髪も俺に食いつく様にすれば作戦は完璧だ。
「うぉー!!」
ワザと大声を上げながら全速力で走りだす。
こちらも剣を強く握りしめ、金髪に襲い掛かるが、
―――!!
いきなり視界が真っ赤になりそして―
「アッ―アアアアアアアアア!!」
強烈な痛みが全身を包み込む。
今まで感じた事のない痛みが・・・
熱い、熱い、熱い、息ができない―――
口が、喉が、眼球が、助けて。
周りが見えないまま、そのまま地面の上でのたうち回る。
早くこの地獄が終わる様に願うが、まるで終わる気配がない。
言葉にならない懇願を叫びながら、破れかぶれに手に持っていた剣を投げ飛ばした。
するとその方向から悲鳴が聞こえ、そして視界が開けた。
それと一緒に先ほどまでの痛みが消えた。痛みで開けられなかった目を見開き周りを確認すると俺を中心とした半径5メートル程が真っ黒に焼け焦げていた。
そして、その外周には先ほどのメイジ2人が居たが1人はさっき投げた剣が不運にも直撃したらしく落馬し腕を抑えながらうずくまり身動きは取れない。
もう1人は、俺の姿をみて愕然としてからこちらに震えながら杖を向けて威嚇している。
「魔法、炎で焼かれたのか・・・」
(という事は)
俺は恐る恐る自分のケガの状況を確かめる。
しかし、あれほどの痛みにも関わらずジャージの一部が焼け落ちているだけで俺自身に火傷などは見つからなかった。
これを見てメイジは驚いたのだろう。
全身を魔法で焼き尽くしたはずが、相手にケガがないのだから。
「金髪が居ない!!」
そこでようやく、先ほど襲い掛かろうとした相手が居ない事に気が付いた。
「まさか!」
最悪の予感が頭をよぎった。
彼女の居る方を確認すると、所々血で染め上げられながらも必死に2対1で戦う彼女の姿が見えた。
急がないと!
彼女を殺されるわけにはいかない。
けれど、まだこっちには1人敵が残っている。
このまま、背を向けて向かえばその背中を襲われる。
だからといって俺がメイジを倒せるか分からない。
万が一倒せたとしても、その間に彼女が。
「クソッ!」
それなら、やれることは1つ、確証は無いがこれしかない。
そして、怯えるメイジを睨みつけながら
「俺は不死身だ、どんなに攻撃しても無駄だ」
「見ただろ、これ以上俺の邪魔をしなければ命は助けてやる」
はったりを言い放ち、相手の返事を待たずに彼女の救援に向かう。
完全ではなくとも先ほどの状況から、俺の異常性を理解しているは。
それなら、わざわざ向こうからは仕掛けてこないはず。
急ぎ、彼女の元に向かうが遠目で見ても状況はもう決着間際、最悪なものだった。
彼女は猛攻を受け殆ど身動きが取れない状態だ。
そこへ剣戟が降り注ぐ、それを辛うじて盾と剣を駆使して致命傷を避けるが遂に膝をついてしまう。
それを見逃さず金髪が断命の一撃を振り下ろそうとしている。
その時、彼女は俺に気が付き諦めた様に笑いそして、
『逃げろ』
彼女はそう言った。声は届かなくとも表情から思いが伝わってきた。
もう、勝ち目が無いそれなら俺だけでも逃げろとそう言っている。
なんだよ。
俺がミスしたせいなのに、なのに。
自分の命と引き換えに俺を助けようとするのか。
何でこんなさっき会ったばかりの見ず知らずの男にそんなことがいえるのか。
何で自分を助けて言わないのか。
そして、もう足はその場に留まるだけだった。
もう、ダメだ。俺は何もできない。
結局、変わる事も出来ず、信頼してくれた名も知らない彼女の足を引っ張るだけだった。
俺にできるのは彼女の命が消える瞬間を受け入れる事だけ。
しかし、それも受け入れる事が出来ずに遂に俯き目を閉じてしまう。
『此処で運命を手放すのか』
突然、声が聞こえた。
ここにいる誰のでもない声。
それは自分の中から聞こえてくる。
『そして、此処で終わるのか』
まるで、挑発するように俺に問いを投げかけてくる。
「嫌だ、諦めたく無い。でも、方法が無いんだ」
もう、どうしようもないだからこうなっている。
でも、これを覆す力が有るのなら俺は―――
『ならば、今こそ目覚めさせよ』
『貴様たちの魂を』
『己が秘めし、勇気、雄渾を今、解き放て』
声は問いかける。運命を掴み取る覚悟を。
『汝らの双滅の名は―――』
「――――キマリス」
読了ありがとうございます。
皆様のお蔭でPV220に到達しました。
本当にありがとうございます('◇')ゞ
今後も感想やご意見、アドバイスをよろしくお願いします。
それではまた<(_ _)>