第1章 三千世界と運命の流転 5
第5話です!
今回は戦闘回が収まらなかったので次回にも続きます(ToT)。
それではお楽しみ下さい('◇')ゞ
変わりたいその一心で飛び出し名乗りを挙げたがいいが、ここからどうすればいいのか分からず動きが止まってしまった。
ロバートと呼ばれた男も突然現れた俺が弾丸を受け止め平気でいる事が信じられないのか固まってしまっている。
そんな状況で真っ先に動いたのは―――
「銃を奪え!」
そう後ろから声が聞こえたと同時に少女が目にも止まらぬ速さで俺の横を抜けロバートに斬りかかる。
それを聞いた俺は拳銃に飛びかかる。
銃を奪われまいと身体を逸らし、接近する少女の方に銃口を向けようとしたがそこにはもう誰もいない。
少女は男の間合いに踏み込み身体を沈み込ませ、相手の腰の位置で短剣を構えた。
そして斬り上げるようとした瞬間―
「ぅわぁ!!」
間抜けな悲鳴を上げながら、斬りかかろうとしている彼女を横からタックルするかの如く押し倒した。
「何をしているこのバカ!」
「ご、ごめん。でも銃を奪おうとしてつい勢い余って」
「それに、いつの間にか君が目の前にいたからそのまま・・・あ」
そして、言い訳をしながら身体を起こそうと手をついた時、今までに無い感触が手を伝い脳に届く。
それを確かめる様に指を軽く、握り開くを繰り返す。
それは小さな果物の様な片手で十分収まる程の大きさだが、手触りと感触はとても柔らかく沈みこむ様だが弾力もあり確かな円丘がそこには有った。
こんな不思議な物体は一体何なのかを確かめようとした瞬間。
「―――!?」
頭に衝撃と痛み(・・)が走った。
彼女は少し頬を染めながら、もう一度剣の柄で側頭部に一撃浴び出てから馬乗りになっている俺を蹴り飛ばした。
「今は非常時だから見逃してやる、だが2度目はないぞ・・・分かったな」
「はい・・・」
朱色は消え、俺の不手際に対する判決の言葉を放つ。
自分も立ち上がろうと手を突くと先ほどの拳銃を握っていることに気が付いた。
(とりあえず奪う事が出来たけど)
これをどうしようかと指示を求めるように彼女を見る。
先ほどの言動と動きを見るだけで素人の自分でも彼女の戦闘能力が常人よりも遥かに高い事が分かった。
それなら彼女に武器を渡すのが良いと思い、声を掛けようとした。
「なんなんだ、お前、一体どこから」
こちらと同じでロバートの方も態勢を立て直していたが武器はもう持っていない。
俺が介入した事で形勢こちらに有利な状態になっている。しかし、彼女はロバートを攻撃も拘束もする様子はない。
「お前が今回の件を画策し、シュラグ・クエスタ側に私を売ったのだな」
「ご名答、お嬢様。まあこの状況で理解できない方がおかしいか」
「使ったのは転移魔法の類か、それで突然、敵陣の中に」
表情は先ほどから曇りがかっている。
これまでに起こったことを自分に言い聞かせ、無理にでも理解させるように話かける。
ロバートは詰まらない問題の退屈な答え合わせをするかの様に話し続ける。
「まさか、あそこを切り抜けてここまで逃げるとは恐れいりました」
「しかし、それも想定して保険として私がここであなたを捕まえるはずだった」
「この男がいなければ」
そして俺を睨めつける。
最初の見えない状態ではないらしい。
明白な敵意と憎悪が視線から目を逸らす。
大見得を切ったが数分で自分が変われるわけでもなくいつもの小心者に戻りそうになる。
「話は分かった、ならこれ以上ここに留まるのは愚行だな」
「すぐに肩を付けて自陣に戻るとしよう」
「ロバート。命は奪わずにいてやる、主としての最後の恩情だ」
その時、広場に誰かが入ってきた。
高速で進入し、息を荒げる馬を手綱できっちりと抑えを聞かせてその場に留まらせる。
5人は馬上でこちらを確認するとゆっくりとロバートに近づく。
3人は映画でしか見たことのないような甲冑に身を包み、2人は長ローブを身に纏っていた。
その人物たちの衣装には同じマークが記されていて、軍人の様な印象を受けた。
「ロバート・バーチュ、ご苦労だった後はこちらに任せて後続を読んで来い」
「まだ、捕まえていない。それに変な男が現れ――」
集団の先頭にいる金髪の男が見下ろしながら命令を下す。
それに納得できないと状況を説明しようとしたがそれはすぐにかき消された。
「お前の仕事は終わった、それとも元主の最後を見届けたいのか?」
「まさかお前がそんなに忠義者だとは思わなかったよ」
ニヒルに笑いながら皮肉を交じえてロバートに逆らうなと意思をしめすが、相手は頭に血が上り食って掛かる。
「おい!話が違うぞ、彼女は俺の好きにして良いといったはずだ」
「流石にここで始末してはまずいと思いますが」
金髪の方針に対して後ろいる部下?の男が進言をするがそれも。
「なに、理由は後からいくらでも作れる。それにこの小娘の遺体を晒せば向こうの士気は大きく下がる」
「それだけでも今回の作戦成果としては十分だ、下手に拘束しようとするから逃げられる」
「それとも失敗した方がいいか?」
最後の一言で消沈し、周りの4人に指示を出し始める。
金髪の方は納得いかない様子のロバートに最後通告と言わんばかりに切先を向ける。
「さっと行け、それができないのなら使えないスパイを野放しにしておくにはいかない」
自分の意見は何が有ろうと通じないと渋々納得したようだった。
そして、こちらに向き直り先ほど俺に向けた以上の憎悪の視線を彼女に向けた。
「俺は知っているからな」
「お前の父親やお前たち一族が俺達に何をやったのか」
「今まで俺たちに真実を隠し、都合の良い駒の様に扱ってきた。そうだろう!」
「これはその罰だ」
そう言い放ってから彼は先ほど進入してきた道に消えて行った。
今の発言内容は俺には理解できなかったが、隣はどうなのだろうと横を見る。
少し顔を伏せる彼女の表情を伺い知る事はできなかった。
すぐに顔を上げたその表情は覚悟を決めた強い意志が見えた。
「銃はお前が持っていろ」
「えっ!?俺、使ったこと無いし。それにこれで人を撃つって事は・・」
「なら、ここで死ぬか」
目は真剣そのもので、そこに一切の妥協は見られない。
彼女はここで何もせずに死ぬのか、他人を殺してでも生きるのかの選択をせまってくる。
でも、今までこんな状況になった事も想定した事も無い唯の高校生には決められない。
「分かった、私に考えが有る。お前に殺しをさせるつもりはない」
俺の様子から、それができないと判断し別の方法を提示する。
「お前がやる事は2つ私から離れるな、私の指示通りに動けそれだけだ、いいな」
これ以上の妥協案は無いと思う。
それなら、彼女の命令通りにやるしかない。
頭は混乱しているし、心臓も今まで感じたことのないくらい大きな鼓動を打っている。
緊張で体の動きも固く感じる。
それでもやる事は彼女を見て声を聴いて動く、それだけだ。
無理やり自分を鼓舞して戦いの心構えをする。
(やる、やれる、やるしか無い!)
「・・・・分かった」
「それでは行くぞ!!」
覚悟を決め5人の敵に真っ向から挑む。
金髪は部下たちに見えるように手を掲げ、その指先を獲物へと向ける。
「さぁ、直ぐに終わらせて戻るぞ―――行け」
読了ありがとうございます。
今回はかなり中途半端な終わり方で申し訳ございません<(_ _)>
次回に続きますので来週までお待ち下さい|д゜)
引き続き、感想やご意見、アドバイスをお待ちしています。
それでは次回までまた('◇')ゞ