第7話ーイジメ、カッコ悪い。
寝過ごして出勤前に投稿出来なかった。
「ツグ 、相談があるのよ。」
ソウとミタが休み時間に話しかけてきた。
「なんだよ、お金の事以外なら、相談に乗るよ。」
マー君に『恋愛相談じゃ無いぞ。』と指摘されたので、ちょっと引きつった笑顔で僕は答える。
「あんたにお金の相談しても、役に立たない事ぐらい、散々知ってるわよ。」
「僕がツグにお金の相談を受ける事はあっても、その逆は有り得ないね。」
「お前ら、本当に僕に相談があるのか?それとも怒らせたいだけなのか?この生徒会役員共め。」
「その生徒会関係なのよ。ミタが補佐をやっている副会長さんの友達がイジメを受けているらしくてね、なんとかしてあげたいのよ。」
「ちょっと待て、先輩のイジメ問題なんて、ハードルの高い事を僕に相談してどうするんだい。」
「その先輩っていうのが、鳥坂さんなのよ。あんた一年の最初の頃同じ光画部で仲良かったでしょう。」
「イジメているグループの中心に、OBのたわば先輩がいるらしいんだ。たわば先輩悪い人じゃないけど、なんか高校で入ったクラブの先輩の命令で、中学の後輩から上納金を集める様に命令されちゃったみたいだ。たわば先輩頼れる後輩は鳥坂さんしかいないし、鳥坂さんもたわば先輩好きだったから協力して来たみたいだけど、流石に経済的にムリが来たみたい。断ったら、たわば先輩の同期の人が、鳥坂さんをイジメる様になったらしい。」
「私達の知り合いで、光画部関係者なんてツグしかいないし、当事者の二人とも面識があるし。ツグに仲介をして欲しいのよ。」
なんだ、それ、唯の恐喝じゃないか。相談するなら僕じゃなくて警察だろう。
「でも、もしこの事が表面化したら、今度は多分たわば先輩がイジメられるわ。イジメグループのやり方は、かなりいやらしくて、物理的な事をしないで、精神的に追い込んで来るみたいなの。物理的に反撃しようにも、圧倒的な人がいるらしくて、不可能みたい。」
「なんだそれ、僕に出来る事なんてあるわけないじゃないか!」
「こないだツグが言ってたでしょう。世界を救った様な人にゲームで出逢ったって。その人に相談して欲しいのよ。私達には相談出来る人なんていないわ。でも、ツグならネットでそんな知り合いもいるんでしょう?ねえ、本当に何とかしてあげたいのよ。」
ソウは本当に優しいな。でも何でミタが関わっているんだ!
「ボクもソウから相談を受けたけど、解決策が思いつかなかった。でも、ソウから前に話を聞いた事から、君の知り合いに頼りになりそうな人がいる事に気付いたんだよ。出来るなら、ソウの悩みを解決する手助けをして欲しいな。」
マー君、どうしよう?魔術でどうにか出来そうな気がしないし、僕らではどうしようもないかな?
いや、今一つ気になる言葉があったぞ。物理的に反撃出来ないという事だ。俺の魔術改編も順調に進んでいるし、対人戦での経験は必要だ。練習のつもりで、とりあえず相談を受けてみよう。決して命は奪わないし、もし対抗出来なければ速攻で関係者だけでも退避させる。そんな魔術までは改編済みだ。
俺にはこの世界での実戦経験が無いし、魔術の練習のつもりで、試してみないか?大丈夫、誰かを殺さない不殺魔術は改編済みだし、完全回復魔術も改編済みだ。とりあえず問題の解決に繋がるかはわからないが、物理的な戦闘の経験には良い機会だろう。
ひ〜〜、マー君がおっかないよ〜〜。マー君戦闘民族だったの?まるで言ってる事が野菜人だよ。 ギャリ◯ク砲とか、殺傷力バリバリあるからね。僕の髪の毛がツンツンの金髪になったりしないでしょうね?スタ◯ライトブレイカーなら死人は出ないよね?
「で、何だ、鳥坂、オレ達を呼び出すなんて。やっと上納金が集まったのか?こないだやり方を教えてやったよな。お前も後輩からちょっとづつ上納金を集めれば良いんだ。そうすりゃお前もハッピー、俺達も面倒がかからない。」
「今日はお前達のアドバイスを聞いたよ。自分で出来ない事は、人に頼っても良いってな。それが例え後輩であっても、どんなに情けなくっても、出来る奴がいれば、そいつに頼る事にした。」
「良かったな。お前にも頼れる後輩が居たんだ。じゃあ、今月の上納金を戴こうか。」
「そっちじゃ無い。お前らに対抗できる後輩を連れて来たんだ。もうお前らの言う通りにはならない!」
鳥坂さんの後ろから、ゆっくり登場する。シナリオ通りだけど、僕の心臓はバクバクだ。マー君、早く変わってよ。
相手から状況を聞く迄は、君の役目だよ。ツグ。
「何故、鳥坂先輩をイジメるんですか?理由によっては許しませんよ。」
鳥坂先輩をイジメていたグループは、ポカーンとしている。しょうがない。僕の外見は唯の中学生。外見は凄く弱そうだ。
そんな子供に許しませんよって言われても、もうほとんど大人に近い高校生には、唯のジョークに聞こえるだろう。
「坊や、なんか騙されて此処に来たみたいだけど、残念だぞ。此処にいる君の先輩は、唯の俺達の財布だ。勿論、先輩に騙されて此処に来た君にもこれから先は財布になって貰う。本当に残念だぞ。坊やは先輩に恵まれなかったなぁ。」
カチーン、温厚を自負する僕でも、流石に頭に来た。マー君、取り敢えずやっちゃってから話を聞いてみよう。お願いします。
『レッド・ホット・チリペッパー、マルチリングス』
マー君の不殺魔術が炸裂した。
「をおお〜〜〜」
鳥坂先輩を囲んでいたグループが全員悶絶した。マー君が彼等の頭の周辺にだけ、カプサイシンを含むミストを発生させたからだ。
『ウィンド・ブルーム』
このままじゃ僕らも近づけないから、マー君が周りの空気を移動させてくれる。
「お前ら、これだけやって、タダで済むと思うなよ。こっちも切り札を出す。」
まだ咽せているイジメグループが、助っ人を呼んだ。こいつが物理的対処不可能な奴だろう。
後ろから、巨大な影が現われる。
えっ、なにこれ人間なの?どう見ても僕の四倍はあるよね。人類じゃ無くって、キング〜コング〜〜じゃ無いの?
「彼の名は安藤礼。通称はザ・ジャイアントだ。天パーだけど、生粋の日本人だぞ。身長223センチ、体重236キロの巨体を誇る。まだ高校生だけど、ビールが大好きで、毎日2ケース飲んでいる。」
どっかの人間山脈みたいな紹介をされたけど、 どうしようか?マー君。これだけ大きい相手にも、魔術は通じるのかな?
ふーん、この世界では体格は そんなに大事な事なのかい。
あ、やばい。マー君の前の世界での身長は、156センチ。平均が170センチの世界ではかなりのコンプレックスだった様だ。怒っているよ、マー君。頼むから、不殺魔術限定でお願いします。
いいぞ、ツグ、体格だけで勝負してやろうじゃないか。
『呆然一発、グラビトン!』
安藤君の延髄に私の全体重がのし掛かった。魔術だから、安藤君は避けられない。それも、私の体重だけでなく、重力が追加されてるみたいだ。さしもの安藤君も、多少ぐらつく。これって延髄蹴りって奴だよね。マー君はかなり怒った雰囲気で魔術を連発していく。威力も増加している様だ。流石グラビトンアタック。
マー君はグラビトン延髄蹴りアタック17発で、安藤君を沈黙させた。
ふん、28発ぐらいかかると思ったが、流石にツグ認定の「大」魔導師だけあるな。17発で片がついた。
マー君、それは魔導師じゃなくって哲人だから。17発じゃ無くって、ワンセブンだし。
安藤君達にも謝ってもらって、イジメ問題は片付いた様だ。でも、きっとまたちがう人を見付けて、またいじめをするんだろうなあ、あの人達。
ツグ。君はこの世界のどうしようもない事をどうにかしたいと言っていたよな。だったら、身直な事で、できる事からやっていくべきじゃないか?俺の魔術改編も順調に進んでいる。今回は、朝倉さんと一刻さんが喜んでくれた事で良しとしよう。出来る事からコツコツと。たった一人で私が出来る事なんて知れてるぞ。
ああ、マー君にまた近付いた気がする。こうやって融合していくのかな。
とりあえず毎日投稿は続きました。