表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第2話ー女神様との邂逅

タイトル詐欺です。

そんなカッコいい物じゃありません

 

 しばらく、平穏な日々が続いた。毎日学校へ行き、休日には遊んだり、買い物に行く。なるべく、ツグの生活を乱したく無い。ツグの中に俺がいる事に、ツグが慣れるまでツグのペースで行こう。ちなみに、ツグは運動が苦手ではなかった。体育の授業も、人並みにこなしている。俺の感想としては、この世界のフツーの学生さんだな。



 二週間ほど経って、寝ている間にツグが話しかけてきた。


 マー君、ブレイクスルーの話覚えてる?


 なんだツグ、なんの話だ?


 マー君の世界と僕の世界との違いの話だよ。マー君の世界には魔素があって、それをエネルギーとして利用できる方法を見つけた。だからマー君の世界は発展した。僕の世界には魔素が無い。だからマー君は魔法が使えない。でも、僕の世界にも生命力はある。それをマー君は感知出来る。もしも、マー君がそれをエネルギーとして変換できる方法を見つけたら、マー君の世界の魔法と同じ様なものを使えるんじゃないの?


 無理を言うなよ、ツグ。生命力の制御は神官の仕事だ。俺たち魔法師の術式とは構造が違う。第一、神の加護が無ければ、生命力にかかわることは許され無い。


 でも、マー君には人神の加護があるんだよね。マー君は自分の事を魔法師だって言うけれど、僕にしてみれば賢者だよ。これで神官の魔法が使える様になれば、もう大魔導士だよ。メド○ーアだって使えるよ。


 メドロ○アがどんな魔法か知らないが、そうそうポップな魔法じゃない様だな。だがしかし、断る。


 えええっ!?何で?


 ツグ、魔法の術式とは簡単な物じゃないんだ。魔法を使う為には、まず使いたい魔法の起動式を発動する。必要な魔法が発動する為の、魔力を起動する。そして、魔力に充分な魔素が溜まるまで待ち、そこで発動式を発動する。それでやっと魔法が事象化するんだ。だから普通の魔法師は、詠唱をする。意識を言葉に乗せることで、集中を高めるんだ。魔力が溜まるまでの時間を稼ぐ意味もある。俺ぐらいになると、通常魔法なら、充分使える魔力はキープしてあるから詠唱破棄は当たり前だけどな。

 これが神官術となると、起動方法からして違う。まず神を愛し、愛されている事を自覚する必要がある。具体的には神への祈りを捧げるんだ。そして神の許可を得て、術式を発動させる。魔法の発動とは根本から違う。俺は祈りを捧げた事などないし、この世界の神に通じる祈りを今から探すなんて、とてもムリだよ。

 そもそも、俺にはこの世界の神様に知り合いはいないぞ。頼み様がないだろ。


 でもマー君は、魔法の操作のやり方を知っている。神様の許可さえ下りれば、この世界でも神官術が使えるんじゃないかな。



「じゃじゃーん。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。私様は人神です。セッチー、あなたの望みを三つまで叶えましょう。」


 はあ?あんた誰?なんで俺達の脳内会話に割り込んでくるの?


「私様は以前セッチーがいた世界の人神です。セッチーがあまりにも私様に依存していたので、異世界転移されてもコネクションは残っていたのです。私様のいとし子よ、私様の加護は三つまでならこの世界にも届きますよ。」


 ちょっと待て。俺の記憶に人神の存在は無いぞ。どっから出て来たこの女神。


「あら、あなたが魔王を倒した時、私様にお願いしたじゃないの。『どうかこいつを倒させてくれ!』ってね。極黒龍を倒した時も、『神様、こいつだけは此処で決着を付けないといけないんだ。』って祈ったでしょう。普段大変お忙しい私様も、これだけ切実なセッチーの願いを聞いたら、叶えさせてあげたくなっちゃうじゃない。」


 俺は即座に跪いた。俺の意思でツグの体を動かしたのは初めてだ。ツグも事情を察してくれた様で、抵抗しなかった。


「人神様。俺が前の世界で、貴女様の加護を受け、人界への貢献が出来た事は、知りませんでした。いや、自分こそが人界の救世主であると自惚れていました。貴女様の加護に感謝を。遅ればせながら今させて頂きます。」


「やーね、私様こそセッチーには借りがあるのよ。セッチーは自分の努力で私様の加護を実現し、更に限界を越えて、私様の望みを叶えてくれたわ。だからこの世界の世界神にねじ込んで、三つまで私様の加護を受けられる様にしたのよ。でも、この世界ではセッチーは一人じゃないから、ツグ君と相談して加護を決めてね。二人の意識が完全に融合してしまったら、もう加護は与えられないから、お早めにね。加護が決まって私様を呼ぶ時は、大声で『ピピルピルピルピピルピー』と叫ぶのよ。」


 それは、なんか人に聞かれたら恥かしいな。




 翌日、ツグは人神について何も聞かなかった。俺も、ツグに何をどう話していいのか分からなかった。


「なあ、ソウ、僕が人類を救った英雄だったらどう思う?」

「なに言い出すのよ。ツグ。あんたにはそんなカイショーは無いし、出来るわけないじゃん。」

「そうじゃなくて、もしそんな英雄がいたら、君ならどう接する?」

「なんでまたそんな事を急に言い出すのよ。昨夜変なB級映画でも見たの?」

「そうじゃない。僕はそんな英雄に・・・いや、そんな英雄と知り合ってしまったかもしれない。それなのに、 僕はそんな事知らなくて、すごく失礼な対応をしてしまった。どうやって謝ったら、失礼を許して貰えるだろう。」

「なに、またゲームの話?だったらジャンピング土下座。これ一択よ。尊敬出来る相手にお詫びをしたい。ゲームの世界では、ジャンピング土下座しか無いわ。ツーパターンあるから使い所に気をつけてね。」


 ツグ、そんな事は絶対にするなよ。

 

 だって、セチュリア様に、神のご加護を持つセチュリア様に、僕は対等に話しかけてしまったんですよ。こんな失礼な事は無いです。僕みたいな、何も持っていない子供に転生してしまっただけでも勿体無いのに。


 ツグ、君は大きな誤解をしている。

 俺は君から見たら異物だ。君が本来成長していく、君自身に挟まってしまった邪魔者だ。でも、今の俺には、ゴミとして排除されてしまうつもりはない。君と一緒に、新しい私を作っていこうと思っているんだ。それに、俺はマー君だよ。もう君にとってはセチュリア様じゃない。今晩、家に帰ってからまた相談しよう。





暫くは1日一話で投稿する予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ