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第1話ー始まりの転生

前回の連載が、再開を決めた途端緊急入院する事になり、エタったので、今回はゆっくりでも更新は続けたいと思います。

テンプレ俺tueee物ですが、読みやすい様になるべく余計な虚飾表現は削っているつもりです。

R15は多分不要ですが、念の為。

 或る日、森の中、熊さんに出会った。花咲く森の道、熊さんに出会った。

 熊さんのいうことにゃ、この熊さんは、神の依り代であると。全世界のバランサーである世界神の依り代であると。


 俺は世界最強と呼ばれた魔法師だった。勇者とのパーティーで、魔王も倒した。復活した極黒龍にも勝った。人界に仇をなす奴達を征伐した。それなのに、この熊さんである神様は俺にこう言った。

「世界の安定を妨げる者よ。お前は人間の神に愛され過ぎている。お前の能力は突出し過ぎている。この世界の安定には、お前は邪魔になる。しかし、お前にも生まれてきた理由があるのだろう。だからお前の存在は残してやろう。お前は別の世界で生きるのだ。」


 と言う訳で、今私は幸田紡14歳。日本という国で生きている。


 セチュリア・マーキュリーの記憶が入ってきたのは、14歳の誕生日を迎えた時だった。真夜中に、凄い頭痛で飛び起きた。頭の中に人生を再インストールされる感覚、そう呼んだらいいのだろうか?知らねーよ。そんな事されたやつがいたら教えてくれ。おそらく前の人生の、俺の体験が最初から全て思い出された。忘れたつもりでいた黒歴史も含めてな。実時間でおよそ20秒。俺の48年を20秒で刷り込むってどうよ?。

 俺の記憶が幸田君に飛ばされたのは、ただタイミングが合っただけなのだろう。バランサーの神様が、そこまでアフターフォローを考えていたとも思えない。でもよ、一括でってなんだよ?僕は昨日までポケモンで遊んでたんだぞ?いきなり賢者の知識を持ってどうしたらいいんだよ?


 あれ?賢者って、俺は魔法師だったはずだ。

 どうやら、コーダ君の今まで覚えたムダ知識が、そのように翻訳したようだ。確かに俺は、回復系魔法も、攻撃系魔法も使える。コーダ君の好きだった、レトロ系RPGでは、賢者って職業になるのかな。


 落ち着け。俺はセチュリア・マーキュリー。世界最強の魔法師で、国の魔法顧問をしていた。若手指導の為、森へ雑魚モンスター退治に随行していたはずだ。


 しかし、別の記憶が言っている。僕は幸田紡。日本人の中学生。学校は嫌いじゃないから行っているけど、将来はヒキニートになりたい。アフリエイトで稼げればいいな。働いたら負けだと思ってる。


  ガンガン!!という勢いで俺は頭を打ち付けた。しかし、そこにあったのは低反発枕だったので、ポフポフになってしまったが。もう一つの記憶のせいで、ヒキニートの意味が分かるのが悲しい。

 神様の熊さんは言っていた。俺には生まれてきた理由があると。ならばコーダ君にも理由があるのだろう。それなのに志望職業がヒキニート?さらにそうなる前に俺の転生先になってしまった。私はこれからどうすればいい?


 決めた。僕に賢者の知識が与えられるなんて、凄いじゃないか。僕はこれから自分探しの旅をしよう。主に精神的な意味でだけどね。だって旅行するお金無いし。


 俺もこれから私を探さなければならない。ここでならとりあえず衣食住の心配はなさそうだ。コーダ君の生活に乗っかりながら、私の生まれてきた理由を探そう。


 朝起きると、普通に朝ごはんを食べ、普通に学校へ行く。この辺は、コーダ君の知識をなぞっていこう。いきなり「我は大魔法師なり」などと名乗れば、面倒臭いことになりそうだ。


 家を出て、お隣の同級生、朝倉爽と出会う。

「なんだ。今日は起こしに行かなくっても良かったんだ。」


 コーダ君の記憶によれば、幼馴染の女の子。付き合ってはいないが、周りからはほぼセットで見られる関係。

 ショートカットの黒髪が、いかにも体育会系ですねって主張している。

 ちなみに、コーダ君の好みはミドルの髪をくくっている方だ。どこかのオトシガミサマと一緒だ。あれ?またムダ知識が出たぞ。以前その事を伝えたら、あっさり「メンドくさい」と言われたらしい。

 学校に行き、授業を受ける。一時間目は国語だった。いいぞ、コーダ君。勉強は苦手じゃなかったんだね。教科書の文字は全て読めるし、理解も出来る。これなら、今後ここで生活して行くにも苦労はないようだ。


 しかし、この学校というシステムは素晴らしいものだな。全ての子供に、知識を持つ機会を与え、親にその負担を義務付ける。俺の国では、子供は親の言う通り働くしかなかった。たまに俺のように魔法に目覚める者もいたが、運良くそれに気づいてくれる者がいなければ、一生その生活は変わらない。肉屋は肉屋に、魚屋は魚屋になって、そのまま子供を作り、それを受け継がせて行く。

 それを受け入れられない者が選ぶ職業が、冒険者だった。農家の三男、商家の次男は、たいがい一度は冒険者を目指す。


「ツグ、今日も元気だね。僕は今日も元気だよ。」

 休み時間に、もう一人の幼馴染が声をかけてきた。

 一刻美多華。名前に違わない美少女であり、輝く白い歯が印象的なうちらの学年の人気NO.1僕っ子だ。なぜかソウとミタとは幼稚園からずっと同じクラスで、ずっと一緒に遊んできた。最近でこそ、カラオケの誘いは断ってはいるが。あいつは、コーダだからって、ミクさんを歌わせようってするんだ。ミックミクなら歌えるけど、コーダミクさんは無理だ。ソウは嫌いじゃない様で、ミタのリクエストはあんまり断らない。

「もう、お前ら結婚しちゃえよ。そうすればソウはイッコクソウになって、美人の未亡人が管理人をしてくれるでしょうが。」

「アハハ、いまの日本では同性婚は認められていないよ。それにちょっと間違ってる。カンって子が入り婿になってくれないと、惣一郎さんは僕たちのペットにはなってくれない。」


 コーダ君の言ってることの意味はわからないが、この三人は仲良しさんな様だ。朝倉さんもスポーツ少女として人気がある様で、結構コーダ君は妬まれている様だ。


「目覚めろ!俺のコスモよ!今こそあの後部獣を爆発させろ!」

「逆刃刀よ!リア充即斬だ!」

 みたいな思念が時々飛んでくる。


 うん。魔法が使えないのは確認済み。この世界には魔素が無い。俺の魔力は魔素が原動力になるので、魔素が無いこの世界では、魔法は使えない。でも、俺が先天的にもっていた感知能力は使える様だ。だから、周りの強い思念は感じられる。こんな風に言葉になる程強いのは珍しいけどな。周りの人間の感情ならある程度感知できる。


 それなら、空気嫁る君として僕は人気者になれるんじゃ無いかな?ネットの書き込みにも役に立ちそうだよ。


 イヤイヤコーダ君、ネットでは感情読めないから。それに君自分をリア充だと思ってないでしょ。

 俺の感知能力が教えてくれる。君達三人の間に恋愛感情は無い。本当に友情しか感じられない。あと2年もしたら、きっとみんな好きな子が出来て、離れていくかもしれない。でもまだ、本当に友達感情しかない様だ。


 orz。まさか自分に、僕がモテナイ君だと知らされるとは。ちょっぴりは、彼女たちが僕の事を恋愛的に好きだったらいいな、と思っていたのに。


 48歳の俺としては、こんな美少女達と遊んでいて、ちょっぴりとしか恋愛的感情を持てないコーダ君は、まだまだ子供なんだな、と思ってしまう。でも大丈夫だよ。誰だってそういった時期を過ごして大人になっていくんだ。人はそれを思春期と言う。



 1日の授業を終えて家に帰る。コーダ君は部活はやっていない様だ。今日の授業の様子から、勉強は得意だがスポーツ系は苦手なのかな?今日は体育の授業が無かったので確認出来なかったが。


 違うよ、僕は帰宅部なんだ。活動記録だって日記に時々書いているよ。まあ、日記自体三日にいっぺんぐらいしか書かないけどね。


 帰宅部活動記録?なんだそれ?おまけに変な三日坊主だな。朝倉さんは陸上部で、生徒会の書記もやっている様だ。一刻さんはテニス部で、生徒会の副会長補佐だ。だから、コーダ君が2人まとめて罵る時は、「この生徒会役員共が!」とか言ったりする。


 家に帰ってゲームして、晩御飯食べてバラエティーのテレビ見て、宿題やってネット見て、寝る。おいおいコーダ君。君の社会的活動はどうなっているんだ。唯一社会の情報と触れ合っているのは、ネットぐらいだが、彼の知識によればDOM的な物だそうだ。ユウツベも見るだけ。ユウチューバーとかになる気もない。ニュースサイトは全く見ない。SNS、何それ、おいしいの?ライン?電話でいーじゃん。スマホなんて、フォンなんだよ。ネットが使える電話だよ。


 しかし、今日の学校でも、宿題でも思ったのだが、この世界の『科学』と『数学』というものは凄まじく進んでいるな。魔法の無いこの世界で、人が何故不自由なく暮らせているのかと思ったが、コーダ君の知識によれば、人は技術の進歩で世界を変えていったようだ。俺にすれば、とんでもなく効率の悪い方法だ。魔法なら、誰かが魔法式を構築すれば、魔力が足りていてその魔法式に対応している者ならだれでもそれを使える。構築した者が隠匿しようとしても、使用しているところを見れば、俺の様な感知力の高い者にはその魔法式が見える。魔素は生き物から、容量を超えた分だけいつでも放出されている。動物でも、昆虫でも、植物でも、魔物だってだ。この世界でも、人が火力や電気などのエネルギーを発見する前に、生命力を利用する方法を発見していれば、発電所やエンジンを使用しない文明が出来たのかもしれない。ブレイクスルーってやつだろう。俺の世界では偶々魔素の存在に気づいた奴がいて、それで文明を向上させた。この世界ではそういう奴がいなくって、フレミングとかエジソンとか言う奴達がちょっとづつエネルギーの利用法を見つけて、文明を向上させていった。結果、世界に違いが出来てしまったのだろう。

 ただ、俺の思うには、この世界の方が安定している様だ。俺がいた世界は、言ってみればトップダウン型の世界だ。トップの魔法師が、新しい発見をしなければ、文明のレベルは上がらない。この世界では、ボトムアップ型の進化を遂げている。できるだけ多くの人の知識を向上させて、その人たちが何かに気づいたら、その分だけ文明が向上してゆく。俺の世界ではトップの魔道士は一国に十人もいないだろう。ムダメシを食わせる金はそうそう無いからな。ところが、この世界では何十億人が毎日生活して、その内数十パーセントが勉強をして、数パーセントが生活を改善する方法を考えている様だ。もはや数の暴力と言っていい。毎年才能のある百人を魔法学院に招くより、才能があるか分からない一億人に初等教育をした方が、才能のあるものを探すのは簡単だろう。それに、才能の無かった九千九百九十九万九千九百人も、初等教育を受けた知識を持って、社会に出られる。この世界には職業選択の自由がある。教育を受けた後、自分の職業を選べる。俺の世界では、職業選択の自由は無い。しかし、成人後に即経験が積める。一番多感な時期に、その職業の経験が積めるのは、スペシャリストになる為の有効な方法だろう。この世界とのスタートダッシュ10年差は、20年後には大きな差になっているだろう。しかし、40年後はどうだろう?職歴40年と、30年の差はそんなに大きなものだろうか?かたや、この道一筋の40年、此方、初等教育後の30年。教わった職業とは別の知識を活かして後者の方が成功するのではないか?

 その結果がこの世界と俺の世界の違いだと思う。俺の世界では移動に馬車を使う。高度の魔法師がいれば、転移が使えるから、通常の移動はそれで充分だからだ。馬車の乗りごちは悪い。みんな自分用のクッションを持って乗る。乗用専用の馬車なんて、見栄を張る為の上級貴族しか持っていない。馬車は短距離移動用か、長距離移動用の商人しか使わない。だから誰も馬車の乗りごこちを改善しようと思わない。


 でも、僕の世界では車を使うよ。大人は、タバコを買いに行く時も、家族旅行に行く時も車を使うよ。だからサスペンションも発達したし、安全装備もどんどん進化してます。


 アレ、コーダ君寝てたんじゃないの?


 チッチッチ、レス睡眠て奴ですよ。寝てても脳は活動しているんです。セチュリアさん。あなたの考えていることは分かりました。僕だって、自分が変ってしまった事は解ります。でも、セチュリアさんは僕を乗っ取ろうとしませんでした。だから、これから二人で自分探しの旅をしましょうよ。


 ありがとうコーダ君。その点は同感だ。神様の都合で、俺たちは二心同体の存在になってしまった。バーディーか?でも、今は受け入れるしかない。俺は君と一緒に、私を探そう。でも、レスじゃなくてレムだよ。夢の中でも寝ぼけるってどうだい?


 ところで、セチュリアさん、呼びにくいので愛称で呼ばせてもらっていいですか?


 ああ、俺も君をコーダ君と呼び続けるのはちょっと辛いと思っていたんだ。


 では、マー君で。僕のことはツグって呼んで下さい。


 は?普通はファーストネームだろ?何でファミリーネームの愛称なの?


 セチュって呼びにくいですよ。セティーじゃ女の子っぽいし。それに某メジャーリーガーと同じで、最初のイメージはヒールだったから。僕はハンカチ王子じゃないけど。


 そうか、俺の意識が戻った時、コーダ君にとって俺は敵だったんだな。自分の意識を侵略するイカ娘、じゃないインベーダーだ。敵視するのは当たり前だろう。


 コーダ君じゃなくてツグです。それに、他のマーキュリーさんに知り合いはいないし、今後も知り合う予定無いですから。


 いや、ツグ、もう一人、マーキュリーさんと知り合うかも知れないよ。彼女は俺がいなくなったら、たとえ世界神を脅してでも会いに来るだろう。


 だったら、その人はマーさんでいいですよね。他にもマーたん、マー姫、マーきゅん。いくらでも呼び方はありますよ。


 分かった。ギブアップだ。君の心の中でだけは、俺はマー君でいい。ツグ。





どうだったでしょうか?読み難い所があれば、ご指摘頂けると嬉しいです。

意識転移の所は、ワザと解りにくくしてあります。

混乱感を出したかったので。

一人称が変わるから、分かり難いかも。タイトルを参考にして下さい。

書き込みを減らし過ぎて、ストーリーの展開を優先し過ぎているかも。

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