赤いロングスカート
昔書いた短編の1つです。ガッツリ系の小説ではなく、軽く読める作品なので暇つぶしにでも読んでみてください。
高校生の治子と一樹はとても仲の良いカップルだった。
ある日、治子は学校に忘れ物をした。
親のサインが必要な明日提出期限のプリントだ。
それに気付いたとき、外は既に真っ暗だった。
独りで学校に行くのも怖かったので、一樹に一緒に連れて行った。
夜の学校。
監視員の目を掻い潜り、校内に忍び込むことに成功する。
しかし、ここで問題発生。
教室のドアが開かないのだ。
一樹はあることを思い出す。
廊下側の壁の足元にある空気窓がある。
彼の席は廊下側。
いつもロックし忘れている窓があると知っていたのだ。
一樹がその窓に手をかけると、見事に開いた。
「やっぱり」
彼は小声で治子を呼んだ。
二人は教室に入り、治子が自分の席に駆け寄る。
机の中からプリントを出しカバンに仕舞う。
帰ろうとしたときだった。
廊下から人の足音が聞こえてきた。
「監視員だ」
二人はとっさに机の陰に隠れ、足音が通り過ぎるのを待った。
ふと、侵入した空気窓を開けっぱなしにしていることに気づく治子。
「(小声)どうしよう……」
すると足音が止まった。
治子の小声が聞こえてしまったのだろうか。
息を殺し、過ぎ去るのを待つ二人。
間もなくして、再び歩き出した。
開いた空気窓から見えたのは赤いロングスカートだった。
治子は他にも自分たちのような生徒がいたのだと思った。
足音が小さくなっていく。
一樹は好奇心から、静かにドアを開けた。
「ワァー!」
去っていく赤いロングスカート後ろ姿。
なんと、下半身のみだった。
一樹の叫び声にロングスカートの下半身が立ち止まる。
それは、振り返ってこちらへ向かってくる。
一樹は、慌ててドアを閉め、隠れていた場所に戻った。
彼の怯え様子に、治子の鼓動も早まった。
そして、足音が再び教室の前で止まる。
二人とも足のすくんでしまい動けない。
すると、頭上から長い髪の毛が二、三本落ちてきた。
二人は、恐る恐ると上を見上げる。
そこには、蛍光灯に乗ったロングヘアーの女性の上半身が二人をにらんでいた。
二人は気を失った。
気づくと、保健室のベッドの上だった。
≪おわり≫