7話 ジョブ
一夜がたった。
もうそろそろメイド呼びに来るはずだ。それまでに支度を終わらせておきたい。
コンコン。扉のノック音だ。
「どうぞ」
「失礼いたします」
もう、支度は終わっている。来たのは、昨日ディナーの時にも呼びに来た人と同じ人だった。
「そろそろ、朝食のお時間です」
「わかりました。今いきます」
そう言って、昨日のディナーと同じ場所に案内された。
まだ、ほとんど人はいない。みんな準備にでも時間をかけているのだろうか。仕方なく、昨日と同じ席に座ることにする。
少しして、チラホラと集まってきた。
「遅いぞ。なにやってだんだよ」
やっと、絢斗と飛鳥もやって来た。
「まだ、眠いな~」
「私朝は弱いのよ」
こいつら、まさか……
「まさか、起こされるまで寝てたのか?」
「なに言ってんの?」
「はは、そうだよな。そんなわけないよな」
「寝てたに決まってんだろ」
飛鳥に続いて言う絢斗の言葉に海斗は呆れた。
なに、当然みたいに言ってんの!?普通は起きてて当然じゃないのか?寝てて当然なのか?
どうやら、朝食に王女は来ないらしい。そんなわけで、クラスメイトで朝食が始まった。
そんな中で一人のクラスメイトが話し出した。
「みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」
そう、言い出したのは他でもないクラスの代表、霧谷齋斗だ。
「昨日王女様に少し聞いたんだが、今日の説明の後にそれぞれの役割を決めるそうだ」
役割とは、いわゆるジョブの事でいろいろな種類がある。大まかに前衛職が剣士。次に中衛職に魔法剣士。後衛職に魔法師。最期に後方支援である治癒師に別れる。それぞれにはさらに細かければ別れる事になるが、とりあえず最初はこれらを選ぶ事になるそうだ。
「そんなわけでジョブを決める事になるわけだが、いざって時に偏りが出るといけないから今からある程度決めておきたいと思うんだ。どうだろうか?」
「決めたい!!」
「なんか面白そう」
「いいんじゃないの?」
みんなもやる決のようだ。そうゆう俺も少し興味がある。
「じゃあ、やりたいジョブごとで集まってくれ。その際には、ステータスを参考にした方がいいそうだ」
そして、それぞれのジョブごとに集まっていった。
人数は少し修正が必要そうだった。
前衛職8人。内、男子8人女子0人。中衛職11人。内、男子6人女子5人。後衛職16人。内、男子6人女子10人。後方支援5人。内、男子0人女子6人。
それにしても、男女が見事に別れたといってもいいだろう。前衛には男子が多く、後衛には女子が多い。
ちなみに俺は、中衛にいる。正直、どこでもよかったし、できたのだが魔法も剣も使える万能型として中衛にした。
他のところだと、絢斗は後衛で飛鳥は前衛にいる。齋斗も当然ように前衛にいた。
さて、この配置だが後衛職が多すぎるだろう。その代わりに前衛職が少ない。少なくとも、前衛職が10ほど欲しいだろう。後方支援は少し少ないが許容範囲内だろう。
恐らく、魔法が使ってみたいというやつが多いのだろう。
結局、後衛職からステータスを見て判断され4人が前衛職に移動になった。
「それでは皆様、どのジョブにするのか決まったようなのでジョブごとに別れて少し慣れて頂きたいと思います」
そう言ったのは、王女だった。あのあと、王女は朝食が終わって少ししたところでやって来た。
そうして、俺達はジョブごとで戦い方を教わった。
だが、正直に言って俺には必要ない。戦い方にかんしては余り詳しくは知らないが、そうであっても魔法とステータス値だけで圧倒できてしまうだろう。しかも、今はまだ封印してある状態でまだまだこんなものではないのだ。封印を解いたらどうなる事やら。
「よーし、お前らまずは中衛職に関しての心構えについて話すぞ」
この人の名前は、ザイン・ガードック。この国で、騎士団の一つである魔法剣士騎士団。略して、魔剣団の団長をしているらしい。ちなみに年は39歳だそうだ。
「中衛職の仕事はは前衛と後衛のサポートをする事だ。必要な時に必要なところで力をかす。これが中衛の基本だ。だから、剣も魔法もできなきゃあならん。これが、中衛の最低条件だ」
そんな感じで今日は話だけで終った。初日だからだろう。明日からは、剣と魔法を少しずつやっていくそうだ。
何気に少し楽しみだ。
こうしてまた、時間が過ぎていって絢斗と飛鳥との約束の時間になった。