34話 出会い、盗賊? その5
「それであんな事になっていたわけか」
商人に追い付くのにかかったのは十日間。かかりすぎだろ、と思われるような時間だが馬車に徒歩で追い付いたことを考えれば頑張ったのではないだろうか。
商人に村人を襲われ、追いかけてきたガゼル達。結局、盗賊はガゼル達ではなく商人の方だった。
そうは言っても、どんな理由があろうと暴力を奮えばそれは罪になる。尤も、それは地球の特に平和な日本の話であって、この世界では違う。
この世界では、日本の警察のように必ずに守ってくれる存在はいない。似たような存在はいてもそれは絶対ではなく、その力が及ばないこともある。
その代表的な例が魔物である。
それに加え、小さな村では充分な警察 (この世界では兵士)をおくことは難しく、必然的に村人は自らで対応せざるをえない。
その為、今回のことでは村人が既に拐われているため罪になる言葉ない。ただ、商人のしたことはさすがに罪となる。
「問題は村人が今どこにいるかね」
「面倒なことになっていないといいけどな」
ここでようやく今まで黙っていた、飛鳥と絢斗が会話に戻ってきた。
絢斗の言っている面倒なこととは、村人達が奴隷にされていないかということである。
この国には、奴隷制度というものがある。だがそれは、けして不条理なものではなく借金をして自力で返せなくなった者、または犯罪を犯した者がなるものである。
その為、今回のように無理矢理理不尽に奴隷にされた場合は、見つかり次第解放される事になる。
但し、それは見つかればの話であって見つからなければ出来るはずもなく、その限りではない。奴隷にされ誰かに買われてしまった場合、そしてさらに遠くの地に連れていかれ探すことが不可能になってしまった場合は、戻れなくなってしまう事になる。
その為、誰かに買われる前に見つける必要があった。
「奴隷にされているのは確実として、どこにいるかね」
「今連れていない所を見ると、寄ったどこかの町にいるんだろうな」
村からこの場所までの間には町が二つ存在する。どちらも栄えている町で比較的広い。つまりは探すのが大変になるのだが、この場合ならすぐにわかる方法があった。
ビシャ。
海斗はガゼル達を起こした時のように、商人に水魔法で作った水をかけた。
「げほっ。…何だ!?」
「拐った村人達をどこにやった?」
少し威圧のきいた声で言った。
分からないのなら、知っている人物に聞けばいい。
村人を拐った張本人の商人がいるのだから、聞かない手はないだろう。
「だ、誰が言うものか!」
海斗の威圧に、顔をひきつらせながらそう言った。
だが、商人がそう言うのは想定の範囲内で海斗は実力行使にかかった。
その間に起きたことは、とてもじゃないが話せることではないため、かつあいさせて頂く。ただ、ガゼル達でさえ哀れに思うほどの商人の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。
その後、商人はあっさりと村人の居場所をはくこととなった。幸い村人は誰も売られていなく、皆無事に元の住んでいた村へと帰っていくこととなった。
商人も捕まり、犯罪奴隷となったそうだ。
こうして、今回の騒動は終わりを告げた。
だが、これからも同じように上手くいくとは限らない。どうなるのかは、神にさえ分からないのだから。
これでいったん区切りとなります




