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33話 出会い、盗賊? その4


「で?何でお前達は、あいつらを襲ったんだ?」


「違う、あいつらが襲ってきたんだ」






俺の名前はガゼル。

辺境の小さな村。そこに俺は、住んでいた。

この村は人口が少なく少し寂しくはあったが、その分、人の繋がりが強く協力して生活してきた。

何より、愛する妻と息子。それと一緒に暮らしている、父と母、結婚して嫁いでいったが村には妹もいる。

そんな存在が大切だった。


そんなある日、あいつは俺達の村にやって来た。

商人のガザル。



俺達は、あいつを歓迎した。こんな村ではたいした稼ぎもでないはずなのに、ここまで来てくれたことに感謝していた。


人が殆どこないこの村には宿屋という物がない。例え作ったとしても、殆ど使うことはないだろう。

だから、客人が来た時には中心にあり、村で一番広い村長の家に泊まってもらうことになっている。

いつもは羨ましいと思うが、余り他人を家に入れたいとは思えない俺としては正直、今の家でいいと思えた。




今回もいつも道理商人には村長の家に泊まってもらった次の日の朝、俺や村の男達は狩りに出ていた。

昼前には、女達が商人から物を買っている予定だった。



いつもなら、狩りの日は昼過ぎには帰るのだが今回はなぜか余り狩りが上手くいかず、夕方近くまで続けてしまった。


男の矜持というか誇りみたいなのが許せなかったんだ。


それ以外でも、獲物が見つからないというわけではなく、ミスで狩れなかったという感じであと一歩が上手くいかなかったというのが理由だろう。

人間誰しもあと少しで上手くいくとなると、何度でも挑戦したくなるものだ。



まあ何だかんだあって、帰りが夕方ごろになってしまった。そのかいあってか、獲物は充分に取る事が出来た。




いい報告が出来ると明るい気分で村に帰って来た時、異変に気がついた。


辺りが異様に静かだった。

いつもなら、この時間はまだ子供達も遊んでいて、賑やかだ。そんな声もしない。

それどころか、物音一つ人の気配さえもしない。まるで村に誰もいないようだった。



俺は、急いで家に向かった。

扉を開ければ笑顔で家族が迎えてくれるはず。そう信じて家の扉を開けたが、そこには誰もいなかった。


外で遊んでいるかもしれない息子は置いておいても、いつも家で家事をしている妻さえもいないのは異状だった。

それに、最近体を少し悪くした父と母もいない。



家中人が入れるスペースがある場所は全て探した。もともとたいして広くもない家の中を探しきるのにそう時間はかからなかった。


誰もいなかった。




これ以上は無駄だと思い取りあえず家を後にした。


外には何人かの一緒に狩りをしていた男がいた。やはりと言うべきか、誰の家にも家族がいなくなっていたようだった。



どうしようかと悩んでいる時だった。


「おぅい!みんな、こっちに集まってくれ!!」

それを聞いた俺達は、すぐさまその声の方向へ向かった。それしかやれることがなかった。


何か手がかりが見つかったのかと思い、久しぶりに全力で走った。



その場所は村の中心。つまり、村長の家の近くだった。

そして、そこには血を流していた村長がいた。


傷口を止血しようとしても、その勢いは止まらず流れ続けるばかりだった。誰の目にも村長の命が長くないのは明らかだった。



まだかすかに残っていた意識で村長は俺達はに言葉を残した。


「……商人が…村人を拐って…行った……。……必ずや、皆を……助けるじゃ…………」



自分の助けではなく、最後まで村人の命の心配をしていた。俺達の誰よりも村人のことを考えてきた。そんな村長がなぜこんな仕打ちを受けなければならないのか分からなかった。

そればかりか、村人を拐って行ったなど、到底許せることではなかった。




「う、嘘だ。だってあの人は……」

その時、一人がそう呟くのが聞こえた。


それに俺達は、反射的にそいつの襟首を掴んだ。


「どういうことだ。何かを知っているのか?」

そういった声は、自分でも驚くほど低かった。


「ち、違うんだ。俺は、ただ長く村に居たいから時間を稼いでくれって言われたんだ」

そこで思い出した。そう言えば獲物を逃していたのは、こいつが全てミスしていた気がする。


それは置いといて、何故こんなあからさまな嘘に引っ掛かるのだろうか。第一に村に長くいたいならそう言えばいいだけで、俺達が遅く帰ってくることとはどんな関係があるのだろうか。

気づけよ。


いや、それよりもこんなあからさまな嘘を考えた方がヤバイのか?あの商人の頭は大丈夫だろうか。

何だか、怒りが一周回っておかしな方向に思考がいってしまったようだった。




「お、おい。首が閉まっているぞ」

そう言われて見てみると、男は意識を失いかけていた。慌てて手を放した。


「急いで、商人のあとを追った方がいいんじゃないか?」

誰がそう言った。


それに反対するものは誰もいない。

俺達は、すぐさま商人の後を追った。











ただ一つの問題が、馬車の商人達に追い付くのが徒歩では時間がかかったことだろうか。

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