15話 異世界は甘くない その1
謁見の間までの少し長い道のりの歩いた。王宮ってだけあって、無駄に広い。
謁見の間の扉は大きい。両開き扉で、尚且つその扉を開けるのを片方の扉で一人ずつ、合計で二人で扉を開ける。
扉が開けられると、中には既に見馴れた王女や、多くの衛兵がいた。だが、王女は俯いていてどこか苦しそうだった。
そして、扉の先の中央には豪華な椅子に座った男がいた。
恐らく、あの男が国王なのだろう。
服装や立ち位置からしてそれしかない。今まで姿を見せて来なかった国王がようやく現れたのだ。何かしら、状況が変わる事は間違いなかった。
「よく来てくれた、異世界の勇者達よ。センチュリア王国国王、ハリウス・フォン・センチュリアだ」
ハリウスの堂々とした佇まいの王のそれだった。
「さて、早速だが勇者達には3日後にこの王宮より出発し、魔王退治に行ってもらう」
(は!?)
その言葉を聞いてクラスメイト全員に動揺が走った。
「どう言う事ですか!?いきなり過ぎます!!俺達は、まだそんなに力をつけていません!!」
「控えろ!!国王陛下に向かって何という無礼を!!」
俺を含めたクラスメイト全員の気持ちを代弁した斎斗に周りにいた貴族の一人が大声で怒鳴りつけた。そして、その言葉に驚いた斎斗は言葉を呑み込んだ。
それに国王が右手を少し挙げ、貴族に合図を送った。
「それについては問題ない。既に魔王を倒す方策は決まっておる。カイト・ハヤセとか言うのはどいつだ」
その言葉に、全員が自然と俺の方に視線を向けて来た。
それを見た国王は、ニヤリと嫌な感じの笑みを浮かべた。
「お前か」
国王は勝手に納得したようで、続けた。
「お前が主になって、魔王を倒せ。できるだろう?」
(こいつ……)
「海斗じゃなくて俺がやりますよ。魔王くらい倒してみせます!!」
そこに割り込んできたのは、やっぱりというか斎斗だった。
「お前に何ができる?訓練以外には特に何もせず、遊び呆けているだけだっただろう」
そうだ。斎斗は訓練以外では王女と一緒にいるだけでなかなか強くなっていない。それどころか、最近に至っては訓練にもたまにしか姿を現さなくなった。噂によると、王女と一緒に王宮の外に行っていたらしい。
実際のところはどうだか分からないが、火のない所に煙は発たないって言うしその通りなんだろうなと思っていた。正直、どうでもいい事だから気にしてなかった。
だが、それでいいのか勇者とは思った。
そして、そんな事ばっかりやっているから、ステータスが他のクラスメイト達に追いつかれかけていた。今では、勇者というチートのハンデでギリギリ海斗を抜いたクラスの中で一番と言う感じだ。それがなければ、確実に下という意味での一番になっていただろう。
本当の事だっただろうのか、斎斗は何も言えずにいた。
それを一瞥した国王は再び俺に向き直った。
「まあいい。とにかく、お前には3日後には出発してもらう」
「誰も行くとは言ってませんよ。それに何故、俺何ですか?訓練以外何もしていないという点では斎斗と何も変わりませんよ」
「とぼけおっても無駄だ。お前が向こうの世界での神だった事は判っておる」
そう言って、国王は特大の爆弾を落としていった。
あのニヤリと笑みを浮かべた顔と共に。




