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第5話 豪炎 ー ゴウエン ー

今回は少し暗めです。

side 豪炎


俺には腹違いの姉が居る。


姉上は俺よりも5つ上で、賢く美しくそして優しかった。

その頃俺の母と姉上の母は表面上は穏やかな関係であったが、姉上の母は俺の母を疎ましく思っていたのだと後から知った。その為姉上には俺に会う事を禁じられて居たのだそうだ。


だが姉上は………


『お母様が勝手に正妃様をお嫌いなだけで私には関係無いわ。私は豪炎の母君である正妃様が好きなんだし、豪炎に会ってはいけない理由は無いもの』


そう言い切って、御自身の母の無茶な命令も平気で破り俺に会いに来て下さったそうだ。

そんな姉上を父上も愛しておいでだったし、母も我が子のように話しかけておられた。

姉上はとても御強い方だった。姉上との時間が俺には何よりも至福の時だった。

その頃からもう姉上が特別だと感じて居たのだろう。


しかし、あの日が来てしまった。

姉上があの女の裏切りで攫われてしまったのだ。


姉上の母、側妃・千妃は何処で雇ったのか分からないが、妙に腕の立つ黒づくめの男に我が子である姉上を攫わせたのだ。

あの時程、あの女を恨んだことは無い。

姉上はよくあの女の命令に逆らっていたが、愛してもおられた。


『豪炎。私のお母様を恨ま無いであげて下さい。お母様は御自身のお気持ちをどうしたら良いかわから無いのです。お願いです。好きにならなくても良い。嫌いでも良い。けれど恨ま無いで下さい』


そう言って寂しそうに笑っておられた。

そんな姉上に対してのこの仕打ち!おれは恨まないという姉上のお言葉に従う事が出来なかった。


姉上が千妃と共に連れ去られた後、我が国を代表する運河で千妃の亡骸が見つかった。

あの男と千妃との間に何が起こったのか知らないが、姉上にした仕打ちに罰が降ったのだと俺は思った。

だが、それからの姉上の行方は未だ分からなかった。


姉上が攫われて10年。4年前に身体の弱かった母上が亡くなり、父上も母上の後を追うようにして翌年に崩御なされた。

俺は12歳の若さで黄帝を継いだ。だが、王族は俺以外にも叔父上たちが居られたのでなんとか国を傾ける事なく継ぐ事が出来た。

だが、今も姉上は行方知れずのまま。

周りからは、もう諦めの言葉も囁かれていたが俺は信じない。


姉上は絶対に生きておいでだ。必ず探し出してみせる。

例え何処かで囚われの身となっていようとも必ず、助け出してみせる。

我が命に掛けても……。





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