2地球は止まり、再び動き出す 4
「でも来生が帰ってこれて良かったよ。」
俺はそう言って来生の肩をポンとたたいた。
来生もニヤッと笑いながら、弘明の肩を軽く叩き返す。
「確かに島国に生まれてよかったよな!」
高野も来生に笑いかけた。
島国には今のところ怪獣は現れていない。
輸出入は大変だが、これは大きなアドバンテージである。
国連で、日本、インドネシア、イギリスの代表が談笑していたところを写真に撮られ、「島国の優越感」と仏ルモンド誌に盛大に皮肉られた記事が載ったこともある。
「あー、それでさ、アメリカの対怪獣迎撃装置なんだけど。」
高野が話しを続けた。
「どうも皆が使える兵器じゃないんだって。」
兵器なんて皆が皆、簡単に使えるものじゃないだろう。何を当たり前のことを言っているんだと、弘明と来生が高野を見つめる。
「いや、そうじゃなくて、訓練してもダメなんだって。なんだか、生まれ持った特別な素質っての? そういうのが必要なんだってさ」
「へえー。そうなのか」
弘明と来生が目を丸くして答えた。
「高野、ずいぶん詳しいな。そんな情報どこに載ってた?」
日本に帰ってから、毎日詳しく情報を調べている来生が首をかしげた。
「いや、実はさ。俺の兄、ある省庁のキャリアなんだよね。漏らしても問題ない情報を、良く教えてくれるんだよ。このことも今日にはニュースで流れるんじゃないかな」
高野が小さい声で、二人だけに聞こえるように話した。
「なんだよ! そんないいツテがあるなら、早く教えとけよ!」
弘明が右腕を高野の首にまわしながら、軽くすごむ。
来生も全くだと言いながら、高野をこずいた。
久しぶりの明るいニュースに少し浮かれながら、ただ少し無理しながら、弘明たち3人は話しをしていた。