2地球は止まり、再び動き出す 1
国連は紛糾している。
被害国と非被害国との間では温度差がある。
ましてや地球最強と思われているアメリカ軍や、フランス軍、NATOが戦ってもたおせなかった怪獣を相手に、国連軍として戦えと言われても、自国軍を出すのはどの国も了承しなかった。
被害を受けた金額を算出すると何兆円にものぼり、それをすべての国で負担しましょうと言われても、はいそうですかと金を出す国はない。
アメリカや中国が日本に金をだせと言ってきた時は、日本の国連代表が口からつばを飛ばして猛抗議していた。
「あ、さすがに切れた」とニュースを見ながら、弘明は思ったものである。
飛行機はとばなくなり、船も運航せず、世界経済が大打撃を受けた。
世界の工場と言われ、わが世の春を謳歌していた中国経済も見る影もない状態である。
電話線が地球のあちらこちらで不通になり、インターネットがつながらなくなった。
このまま電気がなくなり、時代が逆行していくのではないかと、世界が恐怖に陥いり、暴動が多発した。
世界は止まったのである。
そして、日本では。
輸出入がストップされたわけである。
食料が入ってこない、石油も入ってこない、製品を輸出できない。
物価は高騰し、買占めが始まり、倒産する企業が後を絶たない。
政府は、省エネを呼びかけ、輪番停電、夜間外出禁止令が発動された。
道路から車がほとんど消え、自転車が爆発的に増えた。
それでも日本では暴動は起こらず、不自由ながらもなんとか生活が続いていた。
しかし石油の備蓄もなくなりかけ、国民が暗い未来に絶望を感じ始めたそのころ。
誰かが気がついた。
怪獣が現れるのに周期があると