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第12話

ハイレンが教室にはいるとすでにリブがきていて、本を読んでいた。他の人もけっこうきているみたいで、ハイレンの姿を認めると、それぞれおはようとかよっとか声をかけてきてくれたりして、いいクラスだと思ったり。一番最初に声をかけてもよさそうなリヴはハイレンが隣に座ってはじめて気づいたみたい

「ハイレン、おはよう」

「おはよう。なに読んでたんだ?」

「これ」

といって表紙をみせてくれた。どうやら中級魔法の勉強をしているようだ。

「中級魔法、使えるのか?」

「ううん、覚えたほうがいいとおもったから。昨日あたしだけ何もできなくて役立たずになっちゃったから」

剣をとってきてくれたり、フェルと協力して持ちこたえていたりとかなり活躍しているけど、それを言っても納得する奴じゃないだろう

「ふぅん………でも鍛えるのは剣術とかじゃなくて、魔法なんだね」

「いいのよ、別に。あたしは魔法操者なんだから。剣術とかできなくてもたいしたことないのよ」

意地悪くからかうようなハイレンの言葉にリヴがちょっと拗ねた感じになる

ハイレンがちょっと考えるような間をおいて

「…まあでもリヴが魔法を鍛えるってのはいいことだな。エインが前衛で戦って、フェルが補助魔法や補助系統の魔法、リヴが攻撃魔法。…うん、バランスのとれたいいパーティーになるんじゃないか?」

「なんでそこにあんたが入ってないのよ。ハイレンだったら中衛的な立場になりそうね。うん、確かにいいパーティーになりそうね」

驚いた顔をするハイレンにリヴが不思議そうな顔をする

「そうだった。…うん、そうだったね」

今度は嬉しそうな顔をするハイレンにまたリヴが首をかしげることになった


〈やほー、ハイレン。ちょっと様子見に来たよ〉

(!?!?)

シルフィがいきなり来て声をかけてきた。姿は消していて他の人には見えなく、会話もハイレンとシルフィだけでの会話だから聞こえない

「どうかしたか?ハイレン」

いきなりで驚いたハイレンに気づき、エインが声をかけてきた

「ぃいや、なんでもない」

「そうか?ならいいが…」

まだ少し釈然としていなかったようだけど、これ以上はつっこんでこなかった

〈いきなり驚かすなよ。来るなら昨日言っておいてくれればいいのに〉

〈ごめんごめん。でもちょっと驚きすぎだよ〉

〈それで何の用なんだ?人前にくるなんて珍しいじゃないか?〉

普段は二人きりのときしかでてこない奴だ

〈ちょっとハイレンの新しい学校を見たくてね〉

〈これから実習だからあまり見る暇ないぞ?〉

〈それでもいいよ、とりあえずついていくよ〉

〈ばれないようにしないとな〉

〈うん。ところで、あの二人が?〉

〈そう。エインとフェルだ〉

〈ふ〜ん。いい人たちに会えたね〉

ちょっと恥かしくて無視する。なんかシルフィは微笑んでやがる


「さて今日は魔法演習です。魔法を命中させる練習を行います。片方が避ける立場になります。避ける側の人はこれを持ってください」

先生が見せたものは的と書かれた看板のようなものだった

「命中させる人たちは、この看板を狙ってください。それと避ける人たちは魔法を使わずに避けてください。回避の訓練も兼ねているので」

今日の演習の説明が終わるとみんなそれぞれ組み始めた

「エインはどうするんだ?魔法、使えないんだろ?」

「俺は魔法が使えないからずっと回避側の役割になるな」

「それはけっこう辛いな」

「けど、いい練習になりそうだ。いざとなったら氣を使うからなんとかなるさ」

「なるほど。魔法を回避することはエインには必須な能力だもんな」

エインがハイレンから少し視線をはずしてから

「さてと、ハイレンはリヴとやるみたいだな。気をつけろよ」

エインが向いたほうを見ると、リヴが来ていた

「ハイレン、あたしと組もうよ」

「別にいいけど……。そういえば属性はなにが使えるんだ?」

どうやらもう落ち込んではいなさそうだ

「火と地の属性が使えるよ。けどそれがどうしたの?」

「いや…この学園は二属性使える人多いのか?」

「上の学年はわからないけど…あたしたちの学年は、魔法を使える人たちの半分くらい」

前の学園と同じくらいの人数か

「じゃあどっちから始める?」

「あたしが最初でいい?」

「わかった。看板とってくるよ」

「待ってるね」

〈私はどうしたらいい?〉

〈魔法のサポートはしなくていい。練習にならないから〉

〈わかったよ。じゃあ、魔法以外でサポートするよ〉

〈それで頼む〉

「おまたせ、じゃあはじめようか」

看板をとってきて準備OKだ。体にくくりつけてある状態だし、地味に大きいため動きにくくなっている。これで避けるのは大変かもしれない

リヴは詠唱を始める。魔法を発動させるためには、工程が三つに分かれる。最初に魔力を属性に合わせて変える。このとき属性に対応した魔法陣が浮かび上がる。地は黄、水は青、火は赤、風は緑、属性を持たない魔法は色がない。見たことないけど、光は白、闇は黒らしい。次に発動させるために魔力を変成させながら込める。この二つの工程は熟練者ほど早い。次にスペルを詠唱し魔法を発動させる。この三つの過程のため、違う魔法の連発はできない

「……不浄の生命を煤塵へといざなえ、荒ぶるサラマンダーの炎」

〈ファイヤーボールかな?〉

〈ああ、たぶんな〉

「ファイヤーボール!」

2〜3個の火の玉がハイレン目掛けて襲ってくる。放たれたと同時に横に走り出す。さっきまで立っていたところに、火の玉が落ちた。けっこう速かったので、すぐに走り出さなかったら危なかった

「ファイヤーボール!」

同じ魔法を連発してくる。ファイヤーボールは直線的に飛んでくるので走り回っていればあたることはあまりない。けど今は邪魔な看板を持っているからちょっと危うい

「……悠遠を支える者が喰らい尽くす、深き地のノームの躍動」

「グレイヴ!」

正面の地面が槍のようになり迫ってくる。サイドステップして避けたところにまた迫ってきた。高く後方にジャンプしてぎりぎりで避ける。ていうか、明らかに看板を狙った攻撃じゃない。

〈ハイレン!〉

シルフィの声でファイヤーボールが飛んできているのに気づいた。ちょうど着地したところだったから避ける暇もなく、看板にぶつかる。普通なら看板は燃えるところだが、対魔法処理してあるため、少し焦げた程度ですんだ

「ふぅ…」

〈おつかれ、ハイレン〉

命中させられてしまったが、怪我はなくてよかった。シルフィはハイレンの肩に座っている。ため息をついて顔をあげると、リヴがこっちに歩いてきた

「こんな簡単にやられるとは思わなかったな」

「そんなことないよ。あたしも魔法連発して大分疲れたから」

「ちょっと休憩するか。俺も疲れたし」

言うが早いか、さっそく体にくくりつけられてた看板を外す。大分体が軽くなった感じがする。もじかして筋トレも兼ねているのかな?……なわけないか

「看板がなかったら全部避けられたんじゃない?」

「う〜ん、どうだろう?どっちにでもなったかな」

確かに動きは制限されたが、それでも避けきれたかわからない。それくらいの連続魔法だった

「それよりエインはさすがだな。全部避けきってる」

フェルと組んでいるエインはしっかりと避けている。昨日の動きもそうだったけど、かなりいい動きだ


リヴと攻守を交代しそれを何回か繰り返したところで、相手を変えることになった。リヴはちょっと不満そうな顔をしていたけど、結局はしたがってくれて、今はハイレンとフェルが組んでいた

「フェル?どうかした?」

まだ会って間もないが、なんか様子が違う気がする。なんか少し落ち込んでるのかな?

「…私の攻撃魔法の威力は弱いんです。それにまだ一属性しか使えないですし」

少しためらった様子だったが、それでも話し始めた

「俺も一属性しか使えないけど。それにこれから強くなればいいことじゃないか」

「そうですけど…」

「それに補助魔法が使えるじゃないか」

もともと魔法を使える人は半分になる。さらに魔法を使える人の中でも補助魔法を使える人はその半分だ。治癒魔法系はさらにこの半分になる

「補助魔法は誰かを助けることができるんだ。それは攻撃魔法よりもずっとすごいことだと俺は思うよ」

そう口にしたハイレンの顔はすごく悲しそうな顔をしていて、それを見たフェルは驚いた。こんな顔をする人とは思っていなかったのだ

「ハイ…レン、さん?」

「さ、休憩はこれで終わりだ。再開しようぜ」

さっきまでとは打って変わっていつもどおりのハイレンになって、フェルは何も問いかけることができなかった。だけどフェルはさっきのハイレンのことが気になっていた





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