第10話
「まいったまいった」
エインが頭を掻きながらやってきた。リヴはまた木獣君とやりあい始めたところだ
「先生になんて言われたんだ?」
「力を入れすぎだってさ。力を抜くのも重要な技術だと」
「…まあ、壊したようなもんだからね。そりゃ説教もうけるよな」
「しかし、リヴは苦労してんな。それでも最初よかましになったがな」
エインがリヴをみるのにあわせてハイレンも顔を向ける。ちょうど吹っ飛ばされたところだ。…痛そう
「動きが少しよくなったな。二刀向きになってるな。アドバイスでもしたのか?」
「聞いたことをちょっとだけ。特にたいしたことじゃないけどね」
「そうか。……俺らも始めるか。まだまだ直すところは多いからな。それとさっき壊しちまったから、木獣君支給されたぞ」
そういってエインが指差した方向には木獣君がいる
「強さが少し調整されて、さっきより手ごわくなってるらしい」
少し楽しそうなエインだ。
「……先生。事務室に来てください」
ハイレンとエインが支給された木獣君と戦い始めてしばらくしたところで、武術演習担当の先生の呼び出しがかかった。さっきより強くなった木獣君にエインは少してこずっただけだった。ハイレンは攻撃こそくらわなかったものの、だいぶ苦労してなんとか倒した。ちなみに呼び出しは拡声魔道具によって行われている
「?みんな、無理しすぎないように続けてください」
疑問そうな顔をしながらも事務室に向かっていく
「一体なんだろうな?」
一旦休憩したところだったので、すぐちかくにいたエインが話しかけてきた
「う〜ん?まあ何だっていいんじゃないかな」
「ごもっともだ」
二人はまたみんなのほうをみる。初期の設定のまま戦っている人もいれば、少し強く設定して戦っている人もいる。それでも、ハイレンたちほど強く設定して戦っているひとはいない。ちょうど見ている方向に木獣君に吹っ飛ばされた人がいる。吹っ飛ばされている人は他にも何人かいるが……
「なあ、エイン。あそこの木獣君………」
「ん?……なんか様子が変だな」
ハイレンが感じた違和感をエインも感じたようだ
「「!!!」」
木獣君が近くで休んでいた生徒にいきなり飛び掛った。休んでいた生徒はなんとか避けることができたが、木獣君は止まることなく飛び掛り続ける
「エイン!!」
すぐに剣を手に取り、エインにも声をかける
「わかってる!行くぞ!!」
言われるまえに剣をとっていたエインと、木獣君のもとに走り出した