プロローグ
―― 石川県立金沢渚高等学校。金沢市の西部に位置する全日制単位制高校だ。全校生徒数は七百二十一名で、女子よりも男子の方が若干割合が多い。学校の自慢は、校舎が海に面していて、屋上や一部の教室から雄大な日本海を一望できることだ。
そしてほかにも自慢できる事がもう一つある。それは、ずば抜けた運動部の強さだ。去年の夏の高校野球県大会でベストフォーの成績を収めた野球部や、男女ともに春高バレーの常連となったバレーボール部を筆頭にして、どの運動部も、県内の私立高校にも引けをとらない強さを誇っている。
しかし、その一方で文化部のおかれている状況は悲惨だった。運動部に何もかも吸い取られて、慢性的な部員不足と予算不足に陥っていた。
その証拠に、放送部のお昼の放送は毎日同じアナウンサーで、しょっちゅう放送事故を起こしているし、合唱部は部員が二人で、最近名称を『重唱部』に変更していた。そして写真部は唯一の備品である一眼レフカメラが壊れて、今は『写ルンです』で活動している。ほかにも、新聞部は三人の部員が幽霊状態で休刊中。科学部と料理部は人数不足で合併して、末恐ろしい事になっていた。
この物語は、そんな学校の弱小吹奏楽部の物語。人数不足で木管楽器が居らず、大会にも出たことが無い……そんな部活で繰り広げられる、青春群像劇。
「やっぱり、吹奏楽って楽しいっ――」
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自己紹介などはマイページ(って言うのかな?)にありますので、よければ見てやってください。