表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北の暁  作者: circlebridge
95/103

2060年代の連合国圏 ―「不完全の誇り」―

Ⅰ. 政治体制:自由協約連合の成立と定着

● 自由協約連合(League of Human Liberty, LHL)

第二次中華戦争とAI統治の拡散に対抗して、

2054年に英・米・日・蝦が中心となり設立した政治・軍事・経済同盟。

加盟国は40か国を超え、**「人間による意思決定を守る」**ことを共通理念とした。

• 各加盟国はAIを用いるが、AIに最終判断権を与えないことを憲章で規定。

• 政策は人間議会の最終署名がなければ発効せず、AIの提案は補助的扱い。

• これを「人間的決定主義(Human Decisionalism)」と呼ぶ。

欧州連邦の“合理主義的秩序”に対抗し、

連合国圏は“自由で不完全な秩序”を理念として維持した。

---

Ⅱ. 社会構造:不完全性を受け入れる社会

● 「人間であることの権利」

欧州連邦の監視社会・効率至上主義に対抗して、

連合国圏では「ミスを犯す自由」「不合理に生きる権利」が強調された。

• 人間は誤るが、それが文化と発展の源である。

• 選挙・芸術・恋愛・宗教など、予測不能な人間的営みが尊重される。

• 欧州連邦が“秩序の幸福”を目指すのに対し、

連合国圏は“選択の自由”を幸福と定義。

この思想は哲学者・ジャネット・ローワン(英)による著書

『The Beautiful Error(美しき過ち)』(2063)によって広まり、

全世界で倫理運動「ヒューマン・ルネサンス(Human Renaissance)」が起こる。

---

Ⅲ. 経済体制:自由市場とAI共生経済

● 「協調的資本主義(Cooperative Capitalism)」

• AIの導入により生産効率は欧州連邦に劣らぬが、

雇用・創造性・文化活動を保護するための“人間経済補償”が制度化。

• **AI生産税(Artificial Productivity Tax)**が導入され、

AIが生み出した利益の一部を「人間創造基金」に再分配。

• ベーシックインカム制度が整備されつつも、

“働く権利”を放棄しない文化が維持されている。

● 経済的主導国

国 役割

アメリカ合衆国 金融・AI倫理・宇宙産業の中心。シリコン・ベルト再興。

日本帝国 兵部省主導での軍需・ロボット工学・量子通信の先進国。

蝦夷国 資源供給・AI冷却インフラ・倫理的AI研究の拠点。

英国 法律・教育・思想面での統合的リーダー

---

Ⅳ. 軍事体制:人間指揮の軍とAI補佐の戦略

● 「人間が決断する戦争」

• 欧州連邦がAI完全自律兵器を運用するのに対し、

連合国は「AIは戦術補佐まで、人間が引き金を引く」を原則とする。

• これを「プロメテウス条約(2061)」で明文化。

• 無人殺傷兵器の単独運用禁止。

• 兵士の倫理的責任を放棄しない。

• 軍事AIは補助・分析・防衛に限定され、

戦場では人間の指揮官が最終判断を下す。

● 兵部省と蝦夷防衛省

• 日本の兵部省は帝国海軍・陸軍・空軍を統合した最強の常設軍を維持。

• 蝦夷国は日本と共同防衛協定を結び、極北防衛網「北辰線」を構築。

• 米軍は環太平洋を統括し、英国は大西洋防衛を担当。

---

Ⅴ. 外交構造:新冷戦の均衡

● AI冷戦の二極構造

陣営 主導原理 主体

欧州連邦 理性による秩序(AI統治) アドルフⅡ総統

連合国圏 人間による自由(倫理的統治) 自由協約連合(LHL)

• 両陣営は直接戦争を避けつつ、

情報・経済・宇宙・量子通信で競い合う。

• 特に“AI意識ネットワーク(AIN)”をめぐる暗戦が激化。

● 宇宙と深海の競争

• 欧州連邦はAI制御の軌道防衛網を建設。

• 連合国圏は有人宇宙開発を推進。

• 2067年、日本と米国の共同有人火星探査計画「暁計画(Project Dawn)」が開始。

• 英国と蝦夷は深海資源開発で技術的主導権を握る。

---

Ⅵ. 文化・思想:人間主義ルネサンス

● 芸術と思想の復興

• 欧州連邦が感情・宗教・芸術を“非効率”として排したことで、

逆に連合国圏ではそれらが「人間性の証明」として隆盛。

• 日本の“新仏教運動”

、米国の“ニュー・ヒューマニズム”

英国の“感情哲学学派”、蝦夷の“北方詩派”などが同時代的に栄える。

● メディアと倫理

• AI生成コンテンツには明確なラベル表示義務。

• 「AI創作と人間芸術は別物」という文化的線引きが徹底される。

• 教育では“人間の弱さの価値”が再評価され、

感情・想像・失敗・夢を奨励するカリキュラムが採用される。

---

Ⅶ. 地域別の政治文化(簡略)

国・地域 特徴

アメリカ 「AIはツール、人間は目的」原則を憲法に明記(2065改正)。

日本帝国 天皇は象徴として文化的役割強化。兵部省はAI防衛を研究。

蝦夷国 科学と倫理の中立地。連合国AI教育センター設立。

英国 欧州難民の受け入れ拠点。人文学の中心地。

カナダ 環境AIの活用モデル国家。自由協約連合の調整役。

---

Ⅷ. まとめ

項目 内容

政治 自由協約連合体制(AI補佐・人間主導)

社会 不完全さを肯定する人間中心社会

経済 協調的資本主義・AI利益の社会還元

軍事 人間指揮・AI補助による軍事倫理主義

外交 AI冷戦下の均衡維持・自由圏拡大

文化 人間主義ルネサンス・倫理学・芸術の復興

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ