第二次欧州冷戦(2030〜2040年代)
Ⅰ.背景:分断された欧州の再構築
• **2032年の「フランス・ベネルクス独立」**により、
欧州連邦は事実上、
「ゲルマン中枢(ドイツ・オーストリア・東欧・ヨーロッパロシア)」と
「自由西欧(フランス・ベネルクス・北欧)」に分裂。
• 旧ヴィシー体制から独立を果たしたフランスは、
連合国との協力を深める一方で、国土再建と産業復興に追われる。
• 一方、ドイツ主導の欧州連邦(以後「欧州連邦中枢圏」)は、
政治的には安定を保ちながらも、民族的均質化の影響で社会的硬直が進行。
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Ⅱ.政治体制の変化
欧州連邦中枢圏(旧大ドイツ帝国)
• 国家理念:「秩序による自由(Ordnung durch Freiheit)」。
表向きは連邦制を標榜するが、実態は準全体主義的官僚帝国。
• 総統:フリードリヒ・メルツ(2030年代前半)
→ 政策は軍産複合体と金融貴族層に支配され、国民国家ではなく“管理社会”を形成。
• 東欧・ヨーロッパロシアでは、ゲルマン移民による支配体制が維持され、
パルチザンは減少するも、潜在的な民族不満が蓄積。
自由西欧(フランス・ベネルクス・北欧)
• 欧州連邦から離脱したこれら諸国は、
経済再建と安全保障のため**「欧西共同体(Western European Community, WEC)」**を
結成。
• 主導国:フランス。
ただし軍備は不十分で、連合国軍が防衛駐留している。
(特に英軍と米空軍が常駐、フランス核開発はまだ限定段階)
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Ⅲ.冷戦構造の形成
軍事境界線
• 「ライン防衛線(Line Defensive Zone)」が欧州の新たな鉄のカーテンとなる。
• 北端:デンマーク南境
• 中央:ライン川・ルクセンブルク国境
• 南端:スイス北縁〜アルプス西部
• 欧州連邦側は「統合防衛軍(EFS)」を常時展開し、
連合国側は「欧州前線司令部(EUF-COM)」をパリ郊外に設置。
核抑止体制
• 欧州連邦:中距離核戦力(IRBM)を東欧・ロシア西部に多数配備。
• 連合国:フランス・英国・日本・米国が共同運用する「多極抑止システム」を確立。
→ 2035年、「核共有憲章(Nuclear Sharing Charter)」が成立。
• 双方が相互確証破壊(MAD)に近いバランスを形成。
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Ⅳ.代理戦争と情報戦
1. 情報・サイバー戦
• 欧州連邦はAI監視国家体制を拡充し、内部反体制派を徹底的に抑圧。
• 連合国側は、民主化支援を名目に
「デジタル地下鉄(Digital Underground Network)」を構築し、
東欧やバルト地域で反連邦的運動を支援。
• 双方が量子暗号・AI分析技術を駆使した情報戦を展開。
2. 代理戦争の舞台
• バルカン半島・中東・中央アフリカで、
欧州連邦と連合国の支援を受けた勢力が衝突。
• 特に2040年のカスピ海危機では、
欧州連邦が資源確保のためにトルクメニスタンへ軍事顧問団を派遣し、
連合国は制裁と電子封鎖で対抗。
→ 再び「熱戦一歩手前」と評される。
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Ⅴ.技術・経済冷戦
技術体制
分野 連合国 欧州連邦
エネルギー 核融合・水素・再生可能エネルギー 第四世代原子炉・核燃料リサイクル
通信 量子ネットワーク・分散AI 中央集権型監視AI
宇宙 民間主導の軌道開発 軍主導の衛星兵器化
軍需産業 分権・連携型(米・日・英・蝦) 連邦直轄企業群(IG・クルップ再編体)
→ 経済的には連合国圏が優勢だが、
欧州連邦は軍事・資源・統制力で対抗。
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Ⅵ.社会と思想の対立
連合国圏
• 自由主義と多様性を掲げるが、社会格差・移民問題も拡大。
• とくにフランス・英国では「反ドイツ民族主義」が台頭し、
再軍備の是非を巡る論争が続く。
欧州連邦
• 社会は安定し、犯罪率も低いが、言論統制と思想監視が徹底。
• 「秩序ある社会」と「個人の尊厳」の間で国民の意識は揺れる。
• 一部知識層や若年層が密かに西欧・連合国の自由文化に惹かれ、
亡命や情報流出事件が頻発。
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Ⅶ.世界的影響
• アジア:日・蝦・満・中華民国が連合国圏として繁栄。
• 中東・アフリカ:依然として両陣営の代理戦争地帯。
• アメリカ:欧州支援を続けつつ、内政では分断問題を抱える。
• 2030〜2040年代は、「核によらぬ冷戦」=情報と経済の全面戦争の時代となる。
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総括
2040年代の世界は、かつての冷戦よりも静かで、
しかし遥かに深く相互に結びついた分断の時代である。
欧州連邦は「秩序による支配」を完成させ、
連合国は「自由による統合」を深化させた。
両者はもはや戦争ではなく、
文明そのものの優劣を競う段階へと突入している。




