大ドイツ連邦(2030〜2040年代)
【フランス・ベネルクス離脱の衝撃(2030〜2033)】
2030年の「欧州の春」による西欧の離脱は、
ドイツ政府にとって “帝国の再崩壊” に等しい衝撃だった。
• 西欧離脱後、「欧州連邦」から「大ドイツ連邦(Großdeutscher Bund)」 に改称
(2031年)。
• 総統メルツは「欧州民族共同体の再結束」を掲げるが、
実際には経済制裁・外交孤立により深刻な不況が発生。
• フランス喪失により、ライン川以西の工業地帯が空洞化。
• ベルリンは治安維持を理由に「国家安全法」を強化、報道統制を再開。
国民の間では、
「東方生存圏は守られたが、帝国の魂(西欧)は失われた」
という皮肉な空気が広がる。
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【経済の再編と“秩序維持国家”への転換(2034〜2038)】
フランス・ベネルクス市場を喪失したドイツは、
経済重心を完全に 東欧・欧露ブロック に移行させる。
• ウクライナ・ポーランド・ベラルーシ・ロシア西部を「生産州」として再編。
• 大規模な移民政策を継続し、ゲルマン人・ドイツ語話者を優先入植。
• 「アーリア系企業法(2035)」により、外国資本の完全排除を実施。
この政策により、経済は低成長だが安定。
「成長より秩序」を重視する体制となる。
政体はかつての総統制を踏襲するが、
個人崇拝は弱まり、**“官僚的権威主義国家”**に変化する。
• 総統府 → 「国家執行評議会」へ権限移譲
• SS・党軍 → 「国家防衛軍団(NVS)」として再編
• 国家社会主義労働党(NSDAP)は名目上のみ存続
つまり、ファシズムが官僚制化した帝国後期モデル。
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【外交:封鎖と限定的緩和(2035〜2040)】
連合国との関係は依然冷却しているが、
ベネルクス中立圏経由の非公式ルートが形成される。
• 「ブリュッセル・ルート」と呼ばれる経済・情報パイプ。
• 連合国は公然の接触を避けつつも、
大ドイツ連邦内の穏健派(“改革派技術官僚”)と接触を試みる。
2040年には、ドイツは「東方生存圏の完全安定化」を宣言し、
外征主義を放棄。代わりに「秩序と防衛の帝国」を標榜する。
「かつては征服による支配、今は秩序による統合」
——メルツ総統の2041年演説より。
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【社会の様相】
東欧・欧露では民族的均質化が進み、
ドイツ語教育・ゲルマン文化の浸透が完了。
ロシア語・スラヴ文化は地下化、密かに保存活動が続く。
都市は清潔で秩序的だが、文化は画一的。
「統制と沈黙の繁栄」と呼ばれる状態。
一方、西欧の脱出者(フランス・ベネルクス系知識人)が増加し、
ドイツ圏では彼らが新しい思想潮流(自由主義・社会技術論)を持ち込む。
当局はこれを容認せずとも、暗黙に利用して技術的近代化を進める。
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【技術・軍事】
大ドイツ連邦は、長年の核・ロケット技術の蓄積を背景に、
独自の宇宙防衛構想を展開。
• “ライン計画”(2038年)
→ 衛星防衛網と極超音速兵器の統合運用構想。
• **“ノルデン級核潜艦”**による大西洋・北氷洋での抑止力維持。
• “遺伝管理令”(2040)で軍人の遺伝的適性管理を再導入。
これにより軍事力は衰えず、
連合国にとって依然として「最大の地上戦力国家」である。
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【政治構造の変化】
時期 総統(または執行評議会議長) 特徴
2021–2026 メルケル 欧州連邦初期、統合維持を重視
2026–2033 ショルツ 経済停滞と西欧離脱を経験
2033–2042 メルツ 権威主義強化と「秩序国家」転換
2042〜 “技術官僚連合(エアハルト派)” 党統制を超えた実務的統治
この最後の段階では、
国家社会主義は名目上残るが、実際はテクノクラート集団による統治体制となる。
イデオロギーではなく、管理・技術・統計によって秩序を維持する体制へ。
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【2040年代のドイツ圏世界の位置】
地域 状況
東欧〜欧露 安定・民族浄化完了・経済停滞
フランス・ベネルクス 離脱・独立・連合国または中立
北欧 中立維持、両陣営と貿易
中東欧・中央アジア 一部で低強度紛争継続(イスラム抵抗勢力)
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総括
2040年代の大ドイツ連邦は、もはやナチズムの帝国ではなく、
**「官僚的全体主義」**による巨大な秩序維持装置である。
征服も革命も終わり、残るのは“管理による永続”
。
フランスが自由を取り戻した後も、
ドイツは「秩序の帝国」として、無言の威圧を保ち続けている。




