表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北の暁  作者: circlebridge
84/103

フランス共和国(2030年代〜)

【体制の安定化と“半共和主義”】

2030年の独立以降、フランスではヴィシー体制の残滓を排除しつつ、

共和国としての体裁を取り戻す過程が続く。

• 2032年の自由選挙で共和派(自由フランス党)が勝利。

• ヴィシー残党は「国家再建同盟」として野党化。

• 軍・警察には旧体制出身者が多く、治安維持面では依然として権威主義的。

このため、**政治は形式上民主主義、実態は“強い国家官僚制”**という中間的体質を維持

している。

国民はこれを「秩序ある自由」と呼ぶ。

---

【連合国圏への接近】

独立直後は孤立を恐れ、英国と緊密化。

その後、英米日蝦の「自由世界防衛機構(FWDO)」に正式加盟(2035年)。

• パリ郊外のモンルージュ基地に連合国西欧司令部を設置。

• 米空軍・日本航空自衛隊派遣部隊が常駐。

• 連合国の「ヨーロッパ自由圏」の象徴的存在となる。

ただし、連合国の直接支配には抵抗し、

外交面では「欧州の独自性」を維持する姿勢を取る。

つまり「脱ドイツ」ではあっても「従米」ではない。

---

【経済と社会】

長期的なドイツ支配の結果、産業基盤は荒廃していたが、

英米日からの復興投資で急速に回復。

• 2030年代後半、パリを中心に**「第三次復興景気」**

• 防衛産業・航空宇宙・AI・文化産業が急成長。

• 北部の旧軍需地帯は再開発され、「欧州自由圏の工業地帯」に転換。

社会的には、ヴィシー体制で抑圧された知識人層が復権し、

**自由主義・共和主義・世俗主義ラシテ**が再評価される。

「共和国の再生(Renaissance de la République)」が国民的スローガンに。

---

【対ドイツ・欧州外交】

フランスは、ベネルクスを緩衝地帯としながら、

ドイツ(大ドイツ連邦)との限定的関係維持を選ぶ。

• ベルギー・ルクセンブルク・オランダを通じた貿易ルートを重視。

• 同時に、欧州連邦残留国(東欧・バルト・ロシア西部)とは情報戦・サイバー戦を継

続。

• 公然とした対立は避け、**「冷たい和平」**の関係に留まる。

---

ベネルクス三国(2030年代〜)

【中立圏としての再構築】

欧州の春(2025〜30)の混乱を経て、

ベネルクス三国は一時的にドイツ軍に再占領されるが、

国際的非難と経済的圧力により2031年に撤退が完了。

以後、三国は共同で「ベネルクス中立条約(2032)」を制定し、

中立地帯としての存在を国際的に保証される。

条約では以下が明記されている:

• いかなる軍事同盟にも参加しない

• 領土内に外国軍基地を置かない

• 連合国・欧州連邦双方と外交関係を維持

このため、ベネルクスは冷戦後のスイスに近い存在となる。

---

【経済と外交の役割】

中立地帯であることを活かし、

• 連合国圏とドイツ圏の貿易・金融の仲介拠点

• 欧州の多国籍企業・資本逃避地

• 政治亡命者・情報活動のハブ

として機能。

ブリュッセルには

「欧州調停委員会(EAC)」が設置され、

ドイツ圏・連合国圏双方の対話の舞台となる。

---

【政治体制と社会】

各国とも議会制民主主義を維持。

ただし、連合国・ドイツ両陣営からの影響を避けるため、

極端な左派・右派を禁止する「政治中道法(2034)」が制定される。

社会的には安定しており、

「冷戦下のヨーロッパの香港」と呼ばれるほど経済的繁栄を享受する。

---

フランス・ベネルクスの位置づけ(2040年代初頭の国際構造)

地域 陣営 特徴

フランス 連合国(FWDO) 西欧防衛の要、ドイツと冷たい和平

ベネルクス 中立圏 ドイツ圏と連合国圏の調停・経済拠点

ドイツ・東欧・欧露 大ドイツ連邦 権威主義ブロック。民族的同質化が進行

英国・蝦夷・日本・米国 連合国主導 自由主義・海洋国家圏

---

要するに――

フランスは“脱ヴィシー化”して自由主義陣営の西の柱に、

ベネルクスは“中立と調停”の欧州的緩衝帯に。

そしてドイツ圏との冷たい共存が、

2030~2040年代ヨーロッパの安定を支えている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ