フランス共和国(2030年代〜)
【体制の安定化と“半共和主義”】
2030年の独立以降、フランスではヴィシー体制の残滓を排除しつつ、
共和国としての体裁を取り戻す過程が続く。
• 2032年の自由選挙で共和派(自由フランス党)が勝利。
• ヴィシー残党は「国家再建同盟」として野党化。
• 軍・警察には旧体制出身者が多く、治安維持面では依然として権威主義的。
このため、**政治は形式上民主主義、実態は“強い国家官僚制”**という中間的体質を維持
している。
国民はこれを「秩序ある自由」と呼ぶ。
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【連合国圏への接近】
独立直後は孤立を恐れ、英国と緊密化。
その後、英米日蝦の「自由世界防衛機構(FWDO)」に正式加盟(2035年)。
• パリ郊外のモンルージュ基地に連合国西欧司令部を設置。
• 米空軍・日本航空自衛隊派遣部隊が常駐。
• 連合国の「ヨーロッパ自由圏」の象徴的存在となる。
ただし、連合国の直接支配には抵抗し、
外交面では「欧州の独自性」を維持する姿勢を取る。
つまり「脱ドイツ」ではあっても「従米」ではない。
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【経済と社会】
長期的なドイツ支配の結果、産業基盤は荒廃していたが、
英米日からの復興投資で急速に回復。
• 2030年代後半、パリを中心に**「第三次復興景気」**
。
• 防衛産業・航空宇宙・AI・文化産業が急成長。
• 北部の旧軍需地帯は再開発され、「欧州自由圏の工業地帯」に転換。
社会的には、ヴィシー体制で抑圧された知識人層が復権し、
**自由主義・共和主義・世俗主義**が再評価される。
「共和国の再生(Renaissance de la République)」が国民的スローガンに。
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【対ドイツ・欧州外交】
フランスは、ベネルクスを緩衝地帯としながら、
ドイツ(大ドイツ連邦)との限定的関係維持を選ぶ。
• ベルギー・ルクセンブルク・オランダを通じた貿易ルートを重視。
• 同時に、欧州連邦残留国(東欧・バルト・ロシア西部)とは情報戦・サイバー戦を継
続。
• 公然とした対立は避け、**「冷たい和平」**の関係に留まる。
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ベネルクス三国(2030年代〜)
【中立圏としての再構築】
欧州の春(2025〜30)の混乱を経て、
ベネルクス三国は一時的にドイツ軍に再占領されるが、
国際的非難と経済的圧力により2031年に撤退が完了。
以後、三国は共同で「ベネルクス中立条約(2032)」を制定し、
中立地帯としての存在を国際的に保証される。
条約では以下が明記されている:
• いかなる軍事同盟にも参加しない
• 領土内に外国軍基地を置かない
• 連合国・欧州連邦双方と外交関係を維持
このため、ベネルクスは冷戦後のスイスに近い存在となる。
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【経済と外交の役割】
中立地帯であることを活かし、
• 連合国圏とドイツ圏の貿易・金融の仲介拠点
• 欧州の多国籍企業・資本逃避地
• 政治亡命者・情報活動のハブ
として機能。
ブリュッセルには
「欧州調停委員会(EAC)」が設置され、
ドイツ圏・連合国圏双方の対話の舞台となる。
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【政治体制と社会】
各国とも議会制民主主義を維持。
ただし、連合国・ドイツ両陣営からの影響を避けるため、
極端な左派・右派を禁止する「政治中道法(2034)」が制定される。
社会的には安定しており、
「冷戦下のヨーロッパの香港」と呼ばれるほど経済的繁栄を享受する。
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フランス・ベネルクスの位置づけ(2040年代初頭の国際構造)
地域 陣営 特徴
フランス 連合国(FWDO) 西欧防衛の要、ドイツと冷たい和平
ベネルクス 中立圏 ドイツ圏と連合国圏の調停・経済拠点
ドイツ・東欧・欧露 大ドイツ連邦 権威主義ブロック。民族的同質化が進行
英国・蝦夷・日本・米国 連合国主導 自由主義・海洋国家圏
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要するに――
フランスは“脱ヴィシー化”して自由主義陣営の西の柱に、
ベネルクスは“中立と調停”の欧州的緩衝帯に。
そしてドイツ圏との冷たい共存が、
2030~2040年代ヨーロッパの安定を支えている。




