2010〜2020年代:冷戦末期 ― 多極化する世界秩序
◆ I. 世界情勢の大枠
2000年代末から2010年代にかけて、
欧州連邦の硬直化と連合国ブロックの内部分裂が同時進行し、
半世紀続いた「第二の冷戦体制」が大きく揺らぎ始める。
国際政治は次第に二極構造から多極構造へ移行し、
帝国的支配でも連合的同盟でもない、
「ブロック間の現実的共存」の時代に移行する。
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◆ II. 欧州連邦(European Federation)
● 経済的停滞
• 1970年代以来の管理資本主義体制が限界に達し、
成長率は1%以下に低迷。
• 産業中枢のドイツ・東欧地域と、
旧フランス・イタリア圏との経済格差が拡大。
• 特に若年層の失業率は高く、
「帝国世代(Ehren Generation)」への不満が高まる。
● 政治的危機
• 2006年のクーデター未遂で、軍と党官僚の対立は封印されたが、
メルケル政権下で地方自治の要求が再燃。
• フランス・オランダ・デンマークが連邦離脱の動きを強め、
欧州連邦はこれに対し「緩やかな自治拡大」で対応。
→ 事実上、欧州連邦は名目上の統一体に変質。
● 社会の閉塞
• 情報統制と監視体制は依然強固だが、
サイバー技術の発展により市民は地下ネットワークで交流を開始。
• ベルリンでは「ガラスの壁(Glass Curtain)」と呼ばれるネット検閲回避運動が広が
る。
• 一方で、東欧・露西亜地区のゲルマン移民社会は安定し、
欧州連邦中核を支える生産拠点として存続。
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◆ III. 連合国ブロック(Allied League)
● 米国:覇権の揺らぎ
• 9.11型の大規模テロ(2001年)以降、
対テロ戦争が長期化し、軍事費の増大と分断が深刻化。
• 内政ではポピュリズム的ナショナリズムが台頭し、
連合国間の協調を損なう要因となる。
● 日本と蝦夷:技術・軍事の柱
• 日本:超高齢化が進むが、AI・量子通信・兵器技術で世界をリード。
核・兵部省体制を維持し、「技術帝国」と化す。
• 蝦夷:天然資源と北極圏インフラを背景に経済的安定。
ただし、米国との経済依存が過剰化し、
「第二のアラスカ」化を懸念する声もある。
● 英国:緩衝と媒介
• 欧州連邦と連合国の唯一の「両面接点」として、
情報・外交で重要な役割を果たす。
• ロンドン会談(2014)にて「新冷戦安定条約」を仲介、
両ブロックの直接的軍事対立を回避。
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◆ IV. 新興勢力・中立圏の台頭
● インド:第三勢力の中核
• 宇宙開発・原子力・情報産業で急成長。
• 2015年、国連に代わる「世界調整会議(Global Coordination Forum)」を提唱。
→ 欧州連邦・連合国の双方が参加、形式上の国際調停機関となる。
● イスラム統合機構(UMI)
• トルキスタン戦争後のドイツに対し敵意を保ちつつ、
欧州連邦との交易で経済は成長。
• 内部では宗派対立が継続し、事実上の連合王国型連邦制に変質。
● アフリカ
• 北アフリカは依然欧州連邦の経済圏、
中部・南部は連合国の企業支配圏。
• ただし、民主化運動や民兵蜂起が頻発し、
資源供給が不安定化する。
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◆ V. 科学技術と社会変動
● 量子通信革命(2018)
• 日本・満州・米国の共同研究による**量子暗号通信網(Q-Net)**が実用化。
→ 欧州連邦の情報統制を揺るがし、冷戦後期最大の技術衝撃。
● エネルギー転換
• 蝦夷・アラスカ・カナダ北部でのメタンハイドレート開発により、
太平洋圏がエネルギー自給圏化。
• 欧州連邦は中東石油への依存を強め、イスラム圏との関係悪化。
● 社会思想の変化
• 欧州では「自律共同体主義(Communautarism)」が広がり、
連邦に対する自治要求が合法的な政治運動へ。
• 連合国圏では逆に「統合的自由主義(Integrative Liberalism)」が登場し、
経済的相互依存を強調する潮流が生まれる。
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◆ VI. 国際秩序の新局面(2020年時点)
地域 状況 備考
欧州連邦 経済停滞・自治拡大・分権化進行 名目上は統一体だが実質は緩やかな連邦。
連合国 経済的繁栄だが内部分裂 太平洋・大西洋で覇権争い。
中立圏 インド主導で影響力拡大 「第三極外交」が国際政治の調整弁。
世界全体 多極的安定 大規模戦争は抑止されるが、地域紛争は継続。
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◆ VII. 総括:
二十一世紀初頭、
世界はようやく「帝国の世紀」と「冷戦の世紀」を終わらせようとしていた。
だがその終わり方は、勝者の勝利でも敗者の崩壊でもなかった。
欧州連邦は緩やかに解体し、連合国はゆっくりと分裂し、
代わりに複数の地域秩序が生まれた。
世界は再び多極的になり、
「秩序の不在」こそが新たな秩序の形となった。




