2000〜2010年代:新冷戦体制の安定期
◆ I. 世界構造の俯瞰:二極から多極へ
ブロック 主導国家 経済体制 安全保障の枠組み 備考
連合国ブロック 米国・英国・日本・蝦夷・満州 自由経済圏 ATL(Atlantic–Pacific Treaty
League) 旧英米同盟を拡張。北太平洋・東アジアを重視。
欧州連邦ブロック 欧州連邦共和国 管理資本主義 ESSC(European Strategic
Security Council) 東欧・露西亜西部を含む広大な領域。
中立圏・第三勢力 インド・中東イスラム連合(UMI)・アフリカ統合会議(AUA) 混合
経済 各地で代理戦争・経済圧力 どちらのブロックにも完全には属さない。
※冷戦構造は存続しているが、直接的な軍事衝突は回避されている。
経済・情報・文化の各分野での競争が主戦場。
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◆ II. 連合国ブロック:太平洋を軸にした繁栄圏
■ 主要国家
• アメリカ合衆国:依然として経済・軍事の中心。
対欧州よりも太平洋(日本・蝦夷・満州・ベトナム)との連携を強化。
• 日本:高度技術国家・核保有国。兵部省のもと陸海空統合軍を維持。
東アジア地域の防衛を実質的に主導。
• 蝦夷国:北太平洋経済・エネルギー拠点。アラスカ・樺太・千島の資源供給国。
米国・日本との三極協調体制を形成。
• 満州国:産業国家。中華民国との連携によりアジア開発の中核。
• 英国:依然として外交調停役。欧州連邦との緩衝役。
■ 特徴
• 軍事的には「北太平洋防衛圏(Pacific Defence Line)」を確立。
アリューシャン〜蝦夷〜日本〜フィリピン〜ベトナムに至る海上防衛線。
• 経済的には**アジア=太平洋共同市場(APCM)**を形成。
東京・サンフランシスコ・新京・ホノルルが中核拠点。
• 文化的には自由主義・資本主義的価値観を維持。
欧州連邦との情報・思想戦が続く。
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◆ III. 欧州連邦ブロック:安定と硬直の帝国
■ 特徴
• 政治的には**統制民主主義(Managed Democracy)**体制。
各州は議会を持つが、連邦議会の承認が必須。
• 経済は「計画的市場経済」。
国家資本主義的なシステムで、連邦企業体が多国籍企業を吸収。
• 軍事面では依然として最大級の常備軍を維持(約200万人)。
東欧・露西亜での治安維持作戦を継続中。
■ 外交姿勢
• 表向き「連合国との平和共存」を謳うが、
情報戦・経済圧力・代理紛争を裏で支援。
• アフリカ北部・中東の親欧政権を維持。
イスラム過激派の浸透を恐れ、内務軍が大規模展開。
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◆ IV. 第三勢力と周辺世界
■ 中東
• トルキスタン戦争後、ドイツによる干渉に反発して**イスラム統合機構(UMI)**成立
(1989年)。
サウジ・エジプト・イラン残存政権などが緩やかに連携。
→ 対欧連邦強硬、対連合国中立。
• 欧州連邦とは冷戦的緊張が継続。
■ インド
• 中立外交を堅持。技術輸出と宇宙産業で急成長。
連合国にも欧州連邦にも属さない「第三の極」として影響力拡大。
■ アフリカ
• 旧欧州植民地の多くは形式上独立。
北部は欧州連邦の影響下、南部は連合国寄り。
民族紛争・資源争奪が続く。
■ 南米
• 史実同様の「社会民主主義化」が進行。
アルゼンチン・ブラジルは連合国の準加盟国として安定成長。
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◆ V. 技術と社会
• 宇宙開発競争:
• 欧州連邦の「アリアンE」対、連合国の「オリュンポス計画(日米蝦共同)」。
• 火星有人探査・月面資源開発が本格化。
• 情報戦争の時代:
• サイバー攻撃・通信傍受・思想情報工作が主要戦場に。
• 欧州連邦は監視社会化を進め、ベルリンを中心とする電子的全体主義体制を形成。
• 文化的対立:
• 欧州連邦:秩序・合理・共同体。
• 連合国:自由・個人・創造性。
→ 価値観の差異が冷戦構造の本質となる。
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◆ VI. 総括:
「第三次大戦は起こらなかったが、終わりもしなかった」
2000年代末の世界は、
帝国と連合が互いを認めながらも信頼せず、
核の均衡の上に成り立つ“永久冷戦”の時代であった。
欧州連邦は安定を誇り、連合国は繁栄を謳う。
だが両者の間に横たわるのは、
世界を分かち続ける「二十世紀の亡霊」そのものであった。




