中米・メキシコ地域(1980年代) ―「自由圏の裏庭」か「新興の防衛線」か ―
1. 地政的背景
• 大ドイツ帝国が欧州・アフリカ・中東を制圧して以降、
枢軸は「南大西洋経由での中南米浸透」を模索。
特にブラジル・アルゼンチンの独系移民ネットワークを通じて、
枢軸の「南方情報網」が形成された。
• これに対しアメリカ合衆国は、
中米・カリブを「北半球防衛圏の南端」と位置づけ、
英・加・日・蝦と共同で政治・軍事・経済的な封じ込め政策を実施。
結果、中米は連合国主導の秩序の中にあるが、常に枢軸の影が潜む緊張地帯となった。
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2. メキシコ合衆国(United Mexican States)
政治体制
• 一党優位体制(制度的革命党〈PRI〉が継続支配)。
• 米国主導の「北半球防衛条約(Hemispheric Defense Pact, HDP)」に加盟。
• 国内では民族的多様性と急速な工業化による格差が拡大。
→ 社会主義・民族主義運動が地下で拡大するが、CIAと連合国諜報網により抑制。
外交
• 表向きは「不干渉と協調」を掲げるが、実際は米国の衛星国家的立場。
• 枢軸のスパイ活動を防ぐため、ドイツ系企業や組織は厳しく監視。
• 日本・蝦夷からの経済援助を受け、電子産業・自動車産業が成長。
経済
• NAFTAに先行する形で、1981年に「北米自由協力圏(NACZ)」発足。
(アメリカ・カナダ・メキシコ・蝦夷・日本の一部企業が参加)
• 原油・鉱石・農産物の輸出に加え、製造拠点としての地位を確立。
• 貧困層の拡大により「北方(米国)依存型の半周辺国家」として揺らぐ。
軍事
• 米軍の支援で「メキシコ防衛軍(Fuerzas de Defensa de México)」を再編。
• 国境・湾岸沿岸に米軍基地が常駐し、カリブ・太平洋の監視を担当。
• 反政府ゲリラは南部チアパス州やユカタン半島で活動。
一部は「欧州自由戦線(ドイツ支援の秘密組織)」から資金を得ている。
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3. 中米諸国(グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)
地政構造
• 各国とも名目上は「中米連邦協定(Central American Cooperation Accord, CACA)」加
盟国。
これは連合国(米・加・英・日・蝦)による支援で結成された安全保障枠組み。
• しかし実際には、貧困・独裁・内戦の火種が絶えず、
代理戦争の温床になっている。
典型的構図
国 状況 背景
ニカラグア 連合国支援の保守政権が支配。枢軸系ゲリラ「新サンディニスタ」が活動。
ドイツ商社・南米経由で資金流入。
グアテマラ 内戦状態。米軍顧問団と日本軍事技術顧問が介入。 反米派ゲリラが山岳地帯
に潜伏。
ホンジュラス 米空軍基地多数。事実上の米属州。 カリブ・太平洋両面の防衛拠点。
パナマ パナマ運河を米海軍が完全管理。 北太平洋〜大西洋の物流生命線。
コスタリカ 永世中立を宣言するが、連合圏資金に依存。 英・日系企業が環境産業投資。
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4. カリブ諸国とキューバ
キューバ
• 史実と異なり共産革命は発生せず。
1950年代以降、米・英共同管理下で「カリブ共同統治圏」となる。
• 軍港グアンタナモは拡張され、**カリブ連合艦隊(Caribbean Allied Fleet)**の拠点。
• 経済は観光・軍需・通信中継が主。政治的には半ば軍政国家。
他のカリブ諸国
点。
• ジャマイカ、バハマ、ドミニカ、プエルトリコなどは英米日蝦連合圏の観光・補給拠
• ただし枢軸の情報工作が根強く、「南大西洋ルート」から密輸・スパイ活動が行われ
る。
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5. 経済・社会構造(中米全体)
• **「連合圏の生産下請け地域」**として機能。
安価な労働力・資源供給・港湾施設が米・日・蝦企業に統合されている。
• しかし社会格差・環境破壊が深刻化。
民衆運動が「自由圏の矛盾」を突くように高揚しつつある。
• 政府は反独的でありながら、反米感情も強まるという複雑な構図。
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6. 安全保障 ― 「中米防衛線」
• **米南方軍(US Southern Command)**がパナマ運河を中心に駐留。
• カナダ空軍・日本海軍・蝦夷海軍が合同演習を実施。
(北太平洋と大西洋防衛ラインをつなぐ戦略訓練)
• 連合国は中米を「自由圏の脊椎の下端」とみなし、
大ドイツ帝国の潜水艦・密輸ルートを徹底監視。
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7. 総括 ― “不安定な後方”
1980年代の中米・メキシコは、
表面上は連合圏の秩序下にありながら、
**経済的従属と政治的不安定が共存する「不安定な後方」**である。
• 北ではアメリカ・カナダの影響、
• 南ではドイツ・ブラジル経由の枢軸工作、
• 内部では民族・格差・環境問題、
これらが複雑に絡み合い、
常に「第3次世界大戦の火種」として注視されている。
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8. 文化的側面
• 連合国支援によって識字率・教育水準は上昇。
日本や蝦夷の文化(アニメ・音楽・教育番組)が流入し、
若者層には「自由圏的国際主義」が広がる。
• 一方で、伝統的なラテン・カトリック文化は反動的民族主義と結びつき、
反米・反資本主義的な情動の温床ともなる。
• メキシコシティやパナマは「南方の自由圏都市」として発展するが、
その裏では都市貧困層の拡大が止まらない。
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9. まとめ
項目 内容
政治体制 米国の影響下で一党支配・軍政が並存。
経済 連合国ブロックの下請け・供給地域。
社会 格差・貧困・民族対立。反米感情も根強い。
軍事 北半球防衛網の南端。米軍が常駐。
枢軸の影響 主にブラジル・アルゼンチン経由の地下工作。
戦略的価値 パナマ運河・メキシコ湾・太平洋航路の三重要衝。
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総括:
メキシコ・中米は、自由圏の「後方」であると同時に、
枢軸との「境界」でもある。
銃声のない戦場、経済と情報の冷戦最前線――
それが1980年代の中米の姿である。




