1980年代の旧ソ連領域 ― 東方生存圏の終焉と「ロシア文明の断絶」 ―
【1】概要
1950年の**独ソ戦(バルバロッサ作戦)**でソ連は崩壊し、
以後40年、旧ソ連領は「ドイツの東方帝国」「連合国の極東圏」「無秩序地帯」に三分
割されたまま統一されていない。
1980年代の旧ソ連圏は、地政学的に以下のように整理される。
地域 支配勢力 政治体制 状況
ヨーロッパ・ロシア(モスクワ以西) ドイツ帝国東方総督府 植民地行政・再教育政策 安
定的支配だがパルチザン抵抗は持続。
西シベリア(ウラル〜オビ川) ドイツ軍・ソ連残党混戦 内戦状態 戦闘継続40年。ドイツ
は制圧できず。
東シベリア(イルクーツク〜沿海州) 英米日蝦支援のシベリア連邦共和国 議会制共和国
連合圏の一員として安定成長。
中央アジア(カザフ・ウズベク・トルクメン) ドイツ軍+現地イスラム勢力 無秩序状態
泥沼戦。枢軸・連合の代理戦争地域。
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【2】ヨーロッパ・ロシア:東方生存圏の「鉄の平穏」
• 支配者: ドイツ帝国東方総督府(Reichskommissariat Russland)
• 首都: 新モスクワ(ノイ・ドイチュブルク)
• 人口: 約5,000万人(うちドイツ系移民約1,000万)
1950年代以降、ドイツはこの地域を「大ゲルマン帝国の農工資源地帯」として再編。
教育・言語・行政は完全に独語化され、ロシア語の使用は禁止。
• 大都市:モスクワ、レニングラード、キエフは廃墟を再整備。
「モスクワ=ベルリン間高速鉄道」「ドニエプル水利工業地帯」など重工業化。
• 住民の大半は“第二等臣民(Unterbürger)”として登録され、
移動・結婚・教育に制限。
• 政府は見せかけの「自治共和国」を設け、協力者を登用。
だが、地下抵抗組織「新ソビエト戦線(NSF)」が頻繁に破壊活動を実施。
→ 見かけ上は安定しているが、支配は恐怖と情報統制によってのみ維持。
ドイツの国内でも「東方支配のコストはもはや利益を超えた」との批判が強まりつつあ
る。
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【3】西シベリア:終わらない戦争地帯
• 地域: ウラル山脈以東〜オビ川流域
• 勢力:
• ドイツ第4東方軍団
• ソ連残党「シベリア自由戦線」
• 連合国(英米日蝦)の顧問団・武器支援
この地域は、いわば**“永続的内戦”**の舞台。
ドイツは天然資源確保のため駐留を続けるが、地理的に制圧は不可能。
• 主要都市は数度にわたる攻防戦で壊滅。
• 各地にパルチザン勢力が自治共同体を形成し、
鉄道やパイプラインを常に襲撃。
• ドイツ軍は「防衛帯方式」を採用し、主要都市のみを防衛。
→ 連合国は公式には不介入だが、蝦夷・日本・米国が情報・装備を供与しており、
実質的には「シベリアの代理戦争」。
この状態は“ユーラシアのアフガニスタン”と呼ばれている。
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【4】東シベリア(シベリア連邦共和国):連合圏のショーケース
• 成立: 1972年(イルクーツクを首都とする自治政府成立)
• 体制: 議会制共和国
• 元首: アンドレイ・ヴォロノフ(旧赤軍将校)
• 支援: 英米日蝦の4国連合顧問団
第二次大戦後、沿海州・イルクーツク・ヤクーツクに残存していたソ連系行政を、
連合国が保護・再編して成立させた国家。
• 経済は日本・蝦夷資本に依存(木材・鉱物・石油・原子力)。
• 防衛は日蝦空軍・海軍が共同管理。
• 政治体制は安定しており、**「自由ロシアの象徴」**として宣伝される。
• とはいえ、旧ソ連愛国派・ロシア正教会・ドイツ系亡命者の間で内紛が絶えず、
ベルリン・イルクーツク間のスパイ戦は常態化。
→ この国は連合国の戦略的防衛線であり、
アジアの冷戦バランスを支える要である。
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【5】中央アジア:終わらない泥沼戦
• 地域: カザフ・ウズベク・トルクメン・タジク・キルギス一帯
• 支配: ドイツ外征軍団/イスラム民族軍/連合国支援勢力
• 状態: 無政府・紛争・飢饉の連鎖
1950年代から続く「中央アジア戦線」は、1980年代でも終わらない。
宗教・民族・イデオロギーが複雑に入り乱れ、
“世界最大の戦争実験場”と呼ばれている。
• ドイツは鉄道・油田地帯を確保しようとするが、砂漠地帯で消耗。
• 英国はペルシャ湾から補給線を延ばし、イスラム勢力に武器供与。
• 日本と蝦夷は限定的に情報支援。
• この地域は核実験・化学兵器実験も繰り返され、
1980年代半ばには「中央アジア難民」数百万人が東シベリアへ流入。
→ ドイツ・連合双方にとって“勝てない戦場”
。
20世紀後半最大の地政学的膿瘍である。
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【6】極東と連合圏の軍事境界
• 連合国は、シベリア連邦・蝦夷・日本・満州・遼東半島を
一体化した「北太平洋防衛圏(NPDN)」を形成。
• 日蝦空軍はウラジオストク〜サハリン〜稚内間を共同哨戒。
• ドイツは東方大陸航空軍をカムチャッカ方面に展開し牽制。
→ 軍事衝突は表面化しないが、**“冷たい戦争の最前線”**として緊張が続く。
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【7】文化・社会構造の断絶
旧ソ連文化は1980年代には完全に二極化している。
地域 言語・文化傾向 政治的性格
西ロシア(独支配下) ドイツ語主導・プロテスタント化・国家主義 全体主義・再教育体
制
東シベリア(連合支配下) ロシア語+英語+日本語併用・西欧民主主義 自由主義・親連
合
中央アジア イスラム化・反西洋・武装部族制 無政府・反両陣営
→ 「ロシア」という概念はもはや存在せず、
文明的にも政治的にも“消滅した国家”となっている。
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【8】総括:1980年代の旧ソ連世界
ヨーロッパロシアは鉄の秩序、
西シベリアは永続戦争、
東シベリアは連合圏の最前線、
中央アジアは終わらない混乱。
一度崩壊した帝国は二度と統一されず、
「ロシア」と呼ばれた大地は、
ドイツ・連合・イスラム・パルチザンが交錯する
世界最大の分断地域として20世紀を迎えている。




