中国人民共和国(重慶政府) ― 「革命の亡霊」と呼ばれる山岳残党国家 ― (1949〜1980年代)
【1】成立経緯
• 1943年頃: ソ連軍の支援を受け、毛沢東率いる共産勢力が華北・華中に進出。
• 1944〜45年: 連合国の「アイアンフィスト作戦」により、ソ連・中共連合軍が大陸か
ら駆逐される。
• 中共軍は華中から西方へ撤退し、四川・雲南・貴州の山岳地帯に逃げ込み、「中国人民
共和国」を宣言(重慶を首都とする)。
• この時点で、国家としての体裁は整っていたが、国土は内陸の山岳地帯のみで、沿岸・
華北の経済基盤を完全に失う。
• 1950年: ソ連崩壊により、完全に孤立。毛沢東は「国際革命の裏切り」としてスター
リンを批判するが、補給を失い国家統制も瓦解。
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【2】内戦と崩壊
• 1951〜1958年:
• 毛沢東政権下で強引な集団化政策と「第二次長征」と称する軍事移動を実施。
• 食糧危機・粛清・内戦により数百万人規模の死者。
• 劉少奇・周恩来・鄧小平ら温和派が次々と粛清または失脚。
• 1959年: 毛沢東死去(病死説・暗殺説あり)。
• 1960年代: 毛の死後、政権は崩壊。残存幹部は地域ごとに割拠。
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【3】分裂期(1960〜1975年)
重慶政権は三つの派閥国家に分裂する。
派閥 支配地域 指導者 政体 特徴
重慶中央派 四川・重慶周辺 林彪(のち失脚)→ 張国華 軍事政権 旧紅軍主力。名目上
「正統政府」。
雲南派 雲南・貴州 彭徳懐 軍事評議会 一部市場経済を導入。タイ・ビルマ国境で麻薬貿
易。
西康派 西康・チベット東部 朱徳 準独立政権 チベット・回族との混成国家。宗教寛容。
• 各派閥間の戦闘は断続的に続き、統一は実現せず。
• 英米・満州・日本はこれを黙認し、直接介入せず「封じ込め政策」を採用。
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【4】1970年代:名目上の「統一政府」復活
• 1971年: 林彪死後、張国華が三派閥を形式上統合、「中華人民共和国重慶政府」を再
建。
• ただし、実質的には各地域軍が独自行政を継続。
• 経済再建のため「自主合作政策」を採用。市場的取引を部分的に容認。
• 政府スローガンは「社会主義復興と民族自立」だが、実態は軍閥連合体制。
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【5】1980年代の国家構造
• 国名:中華人民共和国(重慶政府)
• 首都:重慶(名目上)
• 政体:軍政評議会(形式的に人民代表大会が存在)
• 実権者:軍評議会議長 張国華(1971〜)
• 人口:約8,000万人(四川・雲南・貴州の山岳地帯)
• 経済体制:混合経済(軍需・麻薬・鉱山・農業)
• 通貨:人民元(実際は地域ごとに異なる紙幣流通)
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【6】外交・国際関係
• 外交状態:国際的には「国家未承認」。
• 国連代表権は南京政府にあり、重慶政権は「非合法武装勢力」とみなされている。
• 枢軸陣営との関係:断交。ドイツは一貫して「共産残党」として敵視。
• 英米との関係:接触を拒否されているが、密貿易・情報取引は存在。
• 東南アジアとの関係:ビルマ・ラオス国境で麻薬交易・武器取引が横行。
• 1970年代には「三角地帯経済圏」として非合法経済が拡大。
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【7】軍事
• 名目上の「人民解放軍」は存在するが、実態は地域軍の集合。
• 総兵力:約20〜30万人。
• 武装:旧式ソ連製・中共製・鹵獲兵器の混在。
• 主力は歩兵と山岳砲兵。空軍・海軍なし。
• 軍閥間衝突は年数回発生。
• 連合国側は定期的に「封鎖線警備作戦」を実施(満州・雲南国境)。
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【8】社会・生活
• 国家体制崩壊により、地方自治体・宗教共同体が独自の秩序を形成。
• 教育・医療はほぼ機能停止。識字率50%以下。
• 都市は荒廃、農村は自給自足。貨幣より物々交換が主流。
• 宗教弾圧は事実上停止し、仏教・道教・民間信仰が復活。
• 麻薬(特にアヘン・ヘロイン)経済が社会を支配。
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【9】思想・宣伝
• 公式イデオロギーは「毛沢東主義」。ただし実態は空洞化。
• 教育機関では依然「帝国主義打倒」「革命の継続」を教えるが、民衆の関心は生活と取
引に移行。
• 宣伝放送は「紅色広播電台」が山岳地帯から送信。
→ しかし電力不足でほとんど聴取不能。
• 「革命」は完全に形骸化し、体制維持のスローガンのみ残る。
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【10】国際評価(1980年代時点)
• 国際的には**「失敗した革命国家」「東亜の孤島」**と見なされている。
• 冷戦構造上も、連合国・枢軸いずれにも組み込まれず、完全孤立。
• 英米の情報機関(CIA・MI6)は「監視対象」に分類。
• 満州・日本・蝦夷は国境封鎖を維持し、「感染防止政策」を取る。
• 内部崩壊は時間の問題とされており、
**「20世紀末までに自然消滅する国家」**と予測されている。
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【11】総括
中国人民共和国(重慶政権)は、
「革命の理想」を喪失したまま、地理的孤立と経済的自壊によって生き延びた“亡霊国家”
である。
• ソ連を失い、思想的支柱を失い、
• 英米・満州・日本に包囲され、
• 内部は軍閥・麻薬・宗教が入り混じる「中世的混乱地帯」と化した。
• 国際社会ではその存在すら忘れられつつあり、
1980年代の東亜秩序においては、**地図上の空白=“赤い影”**としてのみ記録されてい
る。




