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北の暁  作者: circlebridge
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■ 独ソ戦争後の世界(1951〜1961)

1. 世界情勢の骨格(1951年末時点)

• 1950年の独ソ戦争(バルバロッサ作戦)において、

ドイツは開戦初日に核兵器を使用し、ソ連の中枢(モスクワ・レニングラード・キエフな

ど)を壊滅させた。

• ソ連政府・軍中枢は崩壊、ウラル以西の抵抗勢力は2か月で掃討され、

欧州ロシアは全面的にドイツの支配下に入る。

• ソ連の残存勢力はウラル以東に退避するも、組織的抵抗は翌年までに崩壊。

共産主義国家としてのソ連は消滅した。

この結果、

る。

ドイツ帝国が欧州とロシア西部を完全に制圧し、史上初の「大陸単一帝国圏」を形成す

---

2. ドイツ帝国の構造(1951〜1960)

体制

• 国家元首:アドルフ・ヒトラー総統(1953年死去、後継はヘルマン・ゲーリング→カー

ル・デーニッツ)。

• 政府体制は「帝国官僚国家」と化し、ナチ党の政治機能は儀礼的な象徴に。

• 1955年、ベルリンを中心に**「欧州帝国同盟(Reichsbund Europa)」**を発足。

加盟国:ドイツ、フランス国、イタリア王国、スペイン、ポーランド総督領、スカンディ

ナヴィア連合。

→ 実態は「ドイツ主導の帝国経済共同体」。

経済

• 帝国はヨーロッパ〜ロシア西部の資源(石炭・鉄鉱・穀物・石油)を掌握。

• バクー油田を含むカスピ海北岸を直轄化し、「帝国エネルギー局」が設置される。

• ロシア西部の住民は労働力として再編され、農業生産地帯のゲルマン化を推進。

• 科学技術分野では原子力・航空・宇宙研究が最優先分野とされ、

1955年には世界初の人工衛星を打ち上げる(史実より2年早い)。

社会

• 「帝国市民(ドイツ人)」と「保護民(非ゲルマン系)」の二層構造。

• スラブ人は教育・職業の制限を受け、農業労働・建設・採掘に従事。

• 都市部には帝国直轄の「植民都市(Siedlungsstadt)」が建設され、ドイツ人入植者が

定住。

• ゲルマン文化圏教育制度が全域に施行され、言語統一が進む。

---

3. 欧州大陸の再構成

地域 状況

西欧 フランス国・イタリア・ベネルクス・北欧諸国が衛星国家化。通貨はマルク固定

制。

東欧 ポーランド総督領・バルカン連邦・ウクライナ行政区が設置され、ドイツ総督府が

統治。

ロシア西部 「東方大管区(Ostverwaltungsgebiet)」として帝国直轄。スラブ人の強制

移住と開発進行。

南欧・地中海 イタリアが治安と補給線管理を担当。アフリカ北岸を再開発。

---

4. 英米・日本・蝦夷ブロック(自由圏)

英国

• 欧州大陸を完全に喪失したため、**「海洋帝国」**として再編。

• 1952年に「大西洋協商(Atlantic Compact)」を創設し、米国・カナダと軍事同盟を結

ぶ。

• 本土防衛を最優先とし、核開発を加速。1954年に核実験成功。

米国

• 世界で唯一、ドイツと核で対抗可能な国家となる。

• 1952年に核実験成功、1953年に水爆開発。

• 欧州再奪回は非現実的と判断し、**「封じ込め(Containment)」**戦略を採用。

以後、帝国との直接交戦を避けつつ、海洋・宇宙・経済で優位を保つ。

日本・蝦夷

• 日蝦は太平洋防衛圏の要として再軍備。

• ソ連崩壊後、シベリア東部〜沿海州を共同管理。

• 英米との技術協力を強化し、アジア防衛網の中核となる。

• 1956年、米英日蝦の合同条約「太平洋防衛機構(Pact of Pacific Nations)」発足。

→ 実質的に史実のNATO+SEATOの合体形。

---

5. シベリアと中華圏

• 旧ソ連の崩壊により、ウラル以東は軍閥化。

• 西シベリア:ドイツの勢力圏。

• 東シベリア・沿海州:日蝦が共同で管理。

• 中央アジア:トルキスタン・カザフなどイスラム系独立政権が乱立。

• 華北の共産政権は崩壊、華南の「中華連合政府(南京)」が中華全土を統一。

→ 英米日蝦の支援を受け、1957年「中華連邦共和国」成立。

---

6. 冷戦構造の確立(1955年〜1961年)

項目 帝国ブロック 自由ブロック

中心国 ドイツ帝国ベルリン 米国ワシントン

同盟 欧州帝国同盟(Reichsbund Europa) 太平洋防衛機構(Pacific Pact)

通貨圏 帝国マルク圏 ドル=円=蝦夷マルク圏

軍事 帝国防衛軍(Wehrgemeinschaft) 太平洋合同軍(PACFOR)

政体原理 権威的国家資本主義 自由民主主義・市場資本主義

核保有 ドイツ(1950〜) 米(1952〜)、英(1954〜)、日蝦(1958〜共同開発)

宇宙開発 帝国が先行(1955年衛星打上げ) 米が追随(1956年有人飛行)

---

7. 世界の空気(1950年代後半)

• 欧州大陸:帝国による統制経済と巨大都市建設。

反体制運動は徹底的に抑圧され、思想の自由は失われたが、社会秩序は極めて安定。

• 太平洋圏:自由・繁栄・科学技術が象徴。

米国・日本・蝦夷を中心に経済発展が進み、世界経済の重心が太平洋に移る。

• 文化戦争:

• 帝国圏:理性・秩序・集団主義を強調。

• 自由圏:個人・自由・創造性を重視。

芸術・科学・報道は両陣営の「思想戦」の最前線となる。

---

8. 地球規模の構造(1960年時点)

大陸 支配勢力 状況

ヨーロッパ ドイツ帝国圏 完全統制・統一通貨。文化的多様性は縮小。

アジア 日蝦・英米ブロック 自由圏の成長拠点。中華連邦が安定。

アフリカ ドイツ・イタリア植民地再編 資源供給基地化。独立運動は徹底抑圧。

北米 米国中心 経済・文化の中心。

南米 米国影響圏 反帝国主義連帯が形成される。

シベリア 無政府・緩衝地帯 旧ソ連残党や亡命科学者の活動地。

---

9. 総括

独ソ戦後の世界は、

「ドイツ帝国による大陸支配体制」と「英米日蝦による海洋自由圏」の二極世界であり、

ソ連の消滅によってイデオロギー闘争は“共産主義 vs 資本主義”から

“帝国的秩序 vs 自由主義文明”へと置き換えられた。

そして1950年代末、

両陣営は核抑止と宇宙開発競争を軸に、

人類史上最大規模の“冷戦”へと突入していく。

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