表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北の暁  作者: circlebridge
25/103

1914年:第一次世界大戦勃発時の情勢

国・地域 状況 同盟・傾向

日本 欧州との結びつきを求め、積極参戦姿勢。 英仏協商側(連合国)

蝦夷国 米英の北太平洋補給拠点として参戦要請を受ける。 英米寄り中立 → 連合国協力

ロシア 満州を軍政下に置いたまま欧州戦線に主力を転用。 英仏と同盟(連合国)

朝鮮 中立。英米商社が影響力保持。 経済的には英米圏

清国 内乱状態(辛亥革命後)。列強が影響を保持。 事実上の非参戦地帯

---

全体構図の特徴

• 日露の勢力圏は分離:満州=ロシア、樺太=蝦夷、日本=南方。

• 英米が中心的調停者:朝鮮・北太平洋を経済支配。

• 蝦夷国が戦略的要地化:ロシアを抑え、日英米を結ぶ中継拠点。

結果として、極東は史実よりも安定しており、

日露の直接対立は回避されたまま、

代わりに「経済・勢力圏をめぐる静かな競争」が続く構図になります。

---

第一次世界大戦 序盤(1914〜1916年)

―蝦夷・日本・極東の動揺―

---

開戦の報(1914年7〜8月)

1914年7月、オーストリア=ハンガリーがセルビアに宣戦布告。

ドイツがロシア・フランスに、さらに英国がドイツに参戦し、

ヨーロッパは総力戦の時代へ突入した。

当時、極東では以下のような勢力図が成立していた:

地域 支配・影響国

樺太・千島・北海道 蝦夷国(独立・親米)

満州 ロシア帝国勢力圏

朝鮮半島 英米の共同影響下(実質保護国)

中国沿岸部 英仏勢力圏、一部日本租界

アラスカ 1906年に蝦夷より米国が買収

蝦夷は既に米国資本の影響下にあり、

鉄道・造船・製鉄業・漁業がアメリカ式に近代化されていた。

そのため、ヨーロッパ開戦当初から「蝦夷は事実上の協商側」とみなされていた。

---

日本の動向:国際的名誉回復を狙う

日露戦争での犠牲に比して成果が少なかった日本は、

国際社会での地位回復を渇望していた。

また、朝鮮への直接的な影響力を英米に奪われていたため、

新たな「外交舞台」を求めていた。

そのため日本は――

• 1914年8月、イギリスの要請を受けて参戦(史実通り)。

• ただし、史実より積極的にヨーロッパ本土へ派兵。

• ドイツ領青島(膠州湾)攻略に加え、陸軍一個師団をフランス戦線へ派遣。

• 海軍は金剛型戦艦「比叡」「金剛」を英海軍の指揮下に置き、地中海〜北海で行動。

この「積極的派兵」は、

「名誉の回復」と「戦後講和会議での発言力強化」を狙ったものであった。

---

蝦夷国の立場:公式中立、実質協商側

蝦夷政府は開戦当初、「中立」を宣言した。

しかし実際には、経済的にも軍事的にも英米との結びつきが強く、

北太平洋の補給・通信拠点として連合国に協力していた。

• 函館・小樽・樺太港は米英艦隊の寄港地として開放。

• 英国や米国向けの戦略物資(石炭、ニシン油、木材、鉄材)を大量輸出。

• 米国のシアトル、サンフランシスコと定期航路が確立。

これにより、蝦夷経済は戦争特需で大きく活性化。

同時に、ロシア領沿海州との緊張が高まり始める。

---

ロシア帝国の東部戦線

ロシアはヨーロッパ戦線に主力を集中していたため、

極東方面は防備が手薄であった。

しかし、ウラジオストク〜ハバロフスク間の鉄道輸送は蝦夷との国境に接しており、

補給の要衝として警戒を強めていた。

• 1915年初頭、ロシアは樺太南端付近に偵察艦を派遣。

• 蝦夷は米国顧問団の助言を受け、海岸要塞を再整備。

• 一触即発の情勢となるが、双方とも開戦を避ける。

この時期、蝦夷国内では「シベリア経済圏との交易継続を望む派」と

「英米主導の北太平洋経済圏に統合すべき派」が対立していた。

---

北太平洋と太平洋戦域の安定

史実のようにドイツ艦隊(東洋艦隊:フォン・シュペー提督)が太平洋で行動したが、

この世界では以下のように展開する:

• ドイツ東洋艦隊(グナイゼナウ、シャルンホルスト等)は、

蝦夷と米国の連携哨戒網によって北上を阻まれ、

太平洋中部に進出できず。

• そのため蝦夷近海は比較的安定。

• 英米海軍は蝦夷の港湾を燃料補給・通信中継拠点として活用。

結果として、蝦夷は第一次大戦序盤において、

「戦場にならないが、連合国に不可欠なロジスティック拠点」として地位を確立した。


---

経済・社会的影響(1914〜1916)

蝦夷国は戦争景気によって急速な産業発展を遂げる:

• 米国資本による鉄道網・港湾整備。

• 樺太の石炭・木材産業が爆発的に成長。

• 北米移民やロシア系亡命者の流入により人口が急増。

• 函館・札幌・旭川・小樽が国際都市化。

一方で、農村部や先住民社会アイヌ・ニヴフでは格差が拡大し、

蝦夷政府内では社会政策の見直しを求める声も強まっていく。

---

要約:第一次大戦序盤の蝦夷・日本

要素 日本 蝦夷

立場 公式参戦(協商国側) 公式中立、実質協商側

主戦場 青島、欧州、西太平洋 なし(後方支援)

経済 戦争特需による一時的好景気 米国投資により構造的発展

政治的影響 欧州での発言力強化 英米との連携強化、半同盟状態

軍事的役割 派兵・海軍行動 補給・通信・哨戒拠点

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ