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アニメのモブキャラ奮闘記・・・  作者: 東洋ゼロ
第一章「皇女ですが魔術を極めます」
1/2

1 モブキャラバロン

 

 風の音が窓枠をガガガと震えている。無理もない築50年越えの木造アパートなのだから・・・

「魔法は  人の為にあるのです。ひいては国王魔法は国のために必要なんですよ」

心くすぐる萌の声が風の音をかき消す。

(は~)麗しのルル皇女今日も素敵だ~体と心の疲れと人に罵倒される現実を送ってもこれを見て

癒してくれる。思いを馳せる非正規労働者の片切叶夢(かたぎりとむ)42歳であった。

自身の努力ではどうしようもないとすっかり諦めてアニメばかりに没頭するおっさんだが

ここ10年アニメばかり見てかなり専門的な知識が広がっていた。もしアニメ専門家という職業があれば間違いなくなっていただろう…

異世界の設定なら、背景、時代設定、魔獣、民族、魔法と恐らくそこで生活している人よりも詳しいことだろうと自負する。そんな虚しいオッサンだった

 空箱が空になって無性に落ち着かない体に悪いとは分かってはいるが辞められるわけがなかった

そうたばこだ。家から50メートル先まあボロアパートから隣にあるコンビニへ直行しよう。

財布の残りは123円……もちろん来月の給料まで2週間残しての残りだ

・・・・・・・・・・・っはやめようか考えたがスマホの決済アプリに確か1000円が残って……たー画面には1087円ーと表示されてるのを確認した。

ハハハつかの間の安心だがこんなんでいいのか。食べるものもないのに煙草に使ちゃって

・・・・いいんだよオレにはアニメがあるからと心から言い訳を探す片切だった

 自暴自棄になってるなと思われるがそんなことはない。今までだってそれで何とかなってきたんだから風が強くコンクリートの中にある杉の木が倒れそうだ風速は何メートルだろうか。

「世界の終わりか?」と呟く。先ほど自暴自棄になってないといったが精神的に参っているのは確かなようだ。42歳になっても安定しない非正規ブルーワーカー肉体労働しか雇ってもらえずキツイのに

低賃金かついつ切られてもいいような派遣人材「明日からの生活どうしよう」と

後悔をしてるが目の前の現実逃避に勤しむ片切の足取りはコンビニへ車の音がしたブブブブブブ

車のクラクションが押したままなっており不審がる片切だったが反応が遅れた車に乗っている運転手はなんとあろうことか寝ていた

それは一瞬の出来事だった。目の前に光の光線を浴びこれが宇宙船のワープに近い現象だったといえば

どうなのだろうと断片的に思う片切だが視界は真っ暗に陥りゴンと頭にぶつかった頭が割れる音と軋みの音で脳がぐにゃっと変形するのだ

この世で味わったことがない痛みだそれがたった一瞬0.1秒の出来事だった。「■■■■■うう」

手動ドアに切り替わったかのように開きずらい目がわずかに開く何メートル吹っ飛ばされたのだろうか。もはやそんな思考もできないのだが・・・ああ死ぬのか俺何のために生まれてきたのだろうか何者かになりたくて学生時代は勉強に勤しみ有名大学を卒業その後大手広告代理店に就職するも仕事ができず人間関係に悩み一年で退職後は職を転々最終的に先に挙げた非正規ワーカーになりあくせく働かされて今車にはねられ死亡

ホントに何だったんだ俺の人生やりたいこともできず何者にもなれず最後はあっけなく死ぬ・・・・

後悔だらけの人生だった次生まれ変わるならチートが確定しているアニメの主人公だったらいいのにな・・・・期待をくらます片切の意識は遠くなってやがて暗闇だけが続いていくのであった


 風の音がする青く澄んだ空気川の音が生き生きと耳に聞こえてくるここは天国だろうかだとしたらもうちょっと寝ていたいなとなぜか子供心に回帰するような感覚に陥る今日この頃空は青く起き上がろうとしたその瞬間だったー

「何奴」という怒鳴り声と同時に2本の長い棒で肩を手で押さえつけられ拘束をされてしまうのだった何が起こったのかが呑み込めない。

つうか痛い痛い握力どんだけだよ取り付く島もなく抑えられ不安が交錯する瞬間「やめなさい」と優しい音色かつデジャブな声が聞こえる。

そういえばこの声アニメのあの声優の声とー足元から少しずつ高速の力に抵抗し見上げていく

長いスカートから組みひものような文様が立ち並ぶ下半身から豊満なバストから顔を見るとそれは

親の顔以上に鮮明によぎる顔だった。

そう彼女はアニメ「王女ですが魔術を極めます」のメインヒロイン:アーサールル

舞台であるソードルター国第一皇女なのだ……

それが何で私の目の前にルル皇女は現実には存在しない・・・これはいったい何の現象なんだ心の葛藤いやそれよりも今はこの場の瞬間を味わいたい。

二度と見れない夢かもしれないだから存分にと思っていたら目の前で仁王立ちする彼女ルルが強い口調で「この人は今日から配属される王女第一秘書のバロンよ」「はっ申し訳ありません」取り押さえた衛兵がすぐに拘束を解き「大変申し訳ございません」と謝罪した。

拘束を解いた門番長は顔が曇りながら戸惑う顔を隠せていない。

っていうか俺が戸惑っているんだが・・・・

とその片切改めバロンをよそにルル皇女がかがんで「大丈夫?怖かったよね」と優しく手を差し伸べていただいた。「お、恐れ多いことを」「そんなかしこまないで」と微笑むルル皇女

「今日からよろしくね秘書さん」とニコリ

 ーダメだぁ可愛すぎる語彙力が出ない一番美しい表現で表したいというのにこれは一体どういうことなのだろうか何で見えてる世界が異世界アニメで目の前にルル皇女がいてそして俺片切叶夢の意識が脇役キャラバロンという少年をした体に乗り移ってるというのだろうか。

 まあいいか今はこの人生の転換点?(死んだんだが)にいる自分のアニメの異世界での生活を楽しむとするか(うっしゃああああああ~やるぞ~)と胸を熱くする片切叶夢なのであった

…………これが地獄のような序章になるとも知れずに今この瞬間だけは明るく楽観するのであった

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