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i  作者: 瀬見
7/7

発見

ここはどこだろう。コンクリートに囲まれて眠っていたようだ。隣には未だ夢の中らしいイツカの姿が見えてどこかほっとした。

体は未だに気だるくて起き上がるのもやっとだが、気合で頑張るしかない。あの麻酔銃がトラウマになりそうだ。

体を起こして、あの後どうなったのかかすかに残る記憶をたどろうとした時だった。

軽い走る音が聞こえ警戒したのもつかの間、勢いよく扉が開かれる。


「あ!起きてる!」


なんとも場違いな明るい声に拍子抜けした。扉から出てきたのはまだどこかあどけなさが残るくせ毛の少女だった。


「あんたらほんと命拾いしたよね!私たちが助けてあげなかったら今頃連れ去られてぐっちゃぐちゃのめっちゃめちゃにされてたよ!」

「灯、黙ってなよ。またミコに怒られるよ。」

「はいはーい。」

「今代表がこっち来てるからもうちょっと待ってね。」


扉から簡単に距離を詰めてきた少女に混乱しているともう一人その扉からマグカップとバインダーを持

った女性が出てきた。


「ここはどこですか…」


尻尾の毛が逆立って居心地が悪い。


「めっちゃ警戒されてんじゃん!やっぱりあんたの笑顔怖いから引っ込んでればいいのに!」

「ミコ~!灯のお口がわるーい!」

「ちょ!やめてよ!絶対来るじゃん!にっげろ!」


そう言ってくせ毛の少女は来た時と同じ扉の向こうへ消えてしまった。


「騒がしくてごめんね。ここは改造した地下トンネルの通路だよ。今はもう使われていないから追手はもうこないはず、安心してね。」

「あなたたちは…」

「起きた?」

「レギさん。起きったって言ってもついさっきです。まだ混乱してる。」

「無理もないよ、施設印の赤い麻酔銃だ、持続時間は短くても体を動かすのはまだだるいでしょ。寝てていいよ。」


いつの間にか入ってきていた彼を見たとき本能的にどこか直感した。彼も同じネコ科だ。


「俺の名前はレギ。ここの代表やってる。さっきの質問に答えてあげよう。俺たちはAF。研究所から君たちみたいなフレア系を匿ってるグループだよ。」

「フレアって…」

「何も知らないか。大丈夫もどかちゃんにまた聞いたらいい。」


そう言って横の女性を見る。

一様は麻酔銃を打ってきた奴らとは違うことが分かったため肩の力が少し抜けた。


「一つだけ質問してもいいかな。君は見たところ猫のようだけど見た目だけ猫なのかな?それとも中身も?」

「えっと…?」

「例えば猫缶を食べたいと思ったりは?」

「い、いいえ…」

「じゃあ動くものを目で追いたくなったりは?」

「少しあります…」

「軽度だね。じゃあ3マイナスかな。もどかちゃん、そこのまだ起きてない子にも質問して俺にまた報告してくれ。」

「了解です。ミコさんに引継ぎしていいですか?」

「ん、どうせなら灯にやらせたらどう?彼女ほら好きそうじゃない?」

「うーんどうでしょう。毛色が違うというか。」

「ふは、そりゃそうだ。ま、いい気分転換になるんじゃない?」


質問した後流れるように扉のほうに離れていってしまったが、耳がいいせいで会話が聞き取れてしまう。何を言っているかはさっぱりだけど。


「とりあえずレギさんに紹介が済んだことだしここの説明をしないとね。ここはさっきレギさんが言った通り、人間に追われてきたキメラを匿う場所だよ。組織の主な居住スペースはこの廃トンネルの中で外に出るのはお仕事に行く人たちだけなの。」

「キメラって…僕たちみたいな人たちのことですか…?」

「…そうね、世間一般的には私たちはその呼び名が広まってる。言われるのが嫌だったらこれからは控えるわ。」

「もう僕たち人ではないんですか。」


人間ではない。それはつまり人間であった僕たちにはもう守ってくれる法律なんてないということだ。


「……答えはアイだけが知っている。」

「?」

「よくレギさんが言ってるの。正直私も分からないことだらけ。でもね、レギさんならその答えも探し出してくれる気がする。」


彼女はそう言って持っていたカップを机に置いた。


「私が知っていることは二つ。私たちのこの変化の原因は研究所アイでの実験によるもの。そしてレギさんがその実験の最初の被験者として選ばれたってことよ。」

「‼」


病気なんかじゃなかったんだ。それなら治す方法だって全部その研究所にあるかもしれない!


「今の話。レギさんには内緒ね?」


その時遠くから何やら騒がしい音が聞こえて段々とこっちに近づいてきた。


「はーなーしーてーよー!!」

「ミコ、今回は早かったね。」

「こいつの足音はうるさいからね。」


扉から入って来たのはくせ毛の少女とかなり、いやとても大柄な茶色い翼の女性だった。


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