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第4話

「わたくしの願い・・・」


願いなんてあるのだろうか。


あっ・・・!


「わたくし、国立研究所に入所したいです!スカウトが来ていたのですが、殿下との結婚も考えて断ってしまったので・・・」

「わかった。では、手配しておこう。」

「ありがとうございます!国王陛下!」








数日後。


わたくしの研究所への入所が正式に決定した。

人手不足・重労働で一年頑張るつもりだったようなので、大歓迎してくれた。


そして、シルヴィア殿下はわたくしに無礼とか色々したから婚約破棄と王位継承権剥奪、伯爵の称号を与えられ、一生国を支えるらしい。

公爵でも、侯爵でもなく、伯爵。かなり階級が下がったのは、わたくしのことを考えてくれたのだろう。


公爵だと、わたくしの家より格上だから、わたくしになにかしたとしても権力で揉み消せる。

だから、『元王太子』という権力も使えないぐらい下に下げたのだろう。


そして、今日は・・・

国立研究所へ初めての出勤記念日。


「お父様、お母様、そしてお兄様。色々ありましたが、わたくしの意志を尊重してくださって本当に感謝しています。」

「いいのよ、ティリア。あなたはあなたの人生を楽しんでくれるのがわたくしたちの1番の幸せよ。」

「ティリア、この家は父上と支えるから、安心しろ。兄はいつでもティリアの幸せを祈っている。」

「お母様、お父様・・・」


わたくしが今、こんな幸せな日を迎えることができているのは、ここにいる大好きな家族のおかげ。


「ティリア。今までっ・・・」


父は感涙して、まともに話せないようだ。


「お父様、泣かないでくださいな。わたくしまで泣きそうになるではありませんか!」

「だ、だが・・・。愛しい娘が一人で研究所に入るだなんて・・・」


そう、国立研究所は全寮制。

わたくしは特別に、とメイドと護衛一人ずつ付けさせてもらった。

寮に入るのは免れられなかったけど・・・


「休暇はしっかりありますし、さほど遠くはありませんわ。気負うことなど・・・」

「「「ティリアがいないだけで寂しいの!!」」」


家族との少しの間の別れを悲しんでいると、出立の時間が。


「お嬢様、お時間です。」

「では、愛するお父様、お母様。・・・行ってきますわ」


「「「ああ、行ってらっしゃい」」」



これから、わたくしはわたくしの道を進む。


ミスをしたら、自分で責任を負う道。


辛いこともあるかもしれないけど・・・


わたくしなら大丈夫。


だって、婚約破棄を乗り越えた悪役だもん!


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