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まるで私が期待してたみたい

「え」


 また、前みたいに、唇を舐められる心の準備をしていた私は、そんな声が漏れ出てしまった。


「ま、ますたー? 嫌、でしたか?」


 セナは顔を赤くしたまま、そう聞いてきた。……さっきまで荒かった息が、大分整った様子で。


「い、嫌じゃないよ。……嫌じゃないんだけど……ま、前みたいに、く、唇、とか、な、舐められると思ってた、から」


 私は恥ずかしい気持ちを我慢してそう言った。……だって、これじゃあまるで私が唇を舐められることを期待してたみたいだから。


「き、今日は、も、もう、マスターのことを、い、いっぱい感じたので、満足してたんです。……マスターは、舐められたかったですか?」

「…………も、もう、その話はいいから。……ほ、ほら、早く、新しい街をめざして、歩こ?」


 セナにそう聞かれて、咄嗟に否定の言葉が出なかった私は、話を逸らすためにそう言って、あの街とは反対の方向に歩き出した。

 すると、セナは何故か嬉しそうにしながら、私の隣に並んできた。……咄嗟に言葉が出なかったことがバレてる、のかな。……私は、セナに私のことがわかって貰えてて嬉しい気持ちと、バレてたら恥ずかしい気持ちが相まって、顔を俯かせながら歩いた。


 そして、少し歩いたところで、私のお腹がなった。


「……さっき分けてもらった食料、食べていい?」

「はい、もちろんです!」


 私は、お腹の音を聞かれた恥ずかしさを我慢しながら、そう言った。……一応、前にも聞かれてるんだけど……それでも、恥ずかしい。 

 さっき食べておけばよかったと後悔しながら、私はセナに村から分けてもらった食料を出してもらった。


「セナ、ありがと」

「はい!」


 私がセナに向かってお礼を言うと、セナは笑顔で頷いてくれた。

 セナのそんな顔を見ると、私も幸せな気持ちになって、何となく、さっきキスされたほっぺたを触りながら、食料を受け取った。


 

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