表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/56

幸せだけど……

「ます、たぁ……血、飲んでも、いい、ですか?」


 セナは息を荒らげながら、私にそう聞いてきた。


「い、今?」


 私は、思わずそう聞いてしまった。


「嫌……ですか?」


 それをセナは私が嫌がってると思ったのか、悲しそうに、そう聞いてきた。

 嫌なわけじゃない。嫌なわけじゃないんだけど……


「後で、じゃだめ?」


 だって、今って、裸で抱き合ってる状況なんだよ? いや、温めるためってのは分かってるんだけどさ。……それでも、この状況で、セナが血を飲んだら、この前みたいに、え、エッチなことされるかも、しれないし……

 別に、嫌なわけじゃないけど、恥ずかしいし。


「今、が、いい、です」


 セナは恥ずかしそうに、そう答えてきた。


「わ、かったよ。す、好きにして……」


 私がそう言うと、セナはいつも通り、私の首元を舐めてきた。

 いつも、変な感じになるんだけど、今日はこんな状況だから、余計に変な感じになってくる。

 私は、早く飲んでと心の中で思いながら、セナが首元を舐め終わるのを待った。


「せ、な……あ、んまり、動かない、で……」


 首元を舐めながら、体を押し当ててくるセナに私はそう言った。

 だって、その度にセナの胸が私の胸に押し当てられて、ただでさえ硬くなってる部分が擦れて、変な感じになっちゃうから。


「ますたぁ……」


 セナは私のことを呼びながら、私にわかるように、匂いを嗅いできた。


「せ、セナ、に、匂い、嗅がない、でっ」


 一応、水浴びをしたばかりとはいえ、結局はただ、水で体を流しただけなんだから、まだ、匂いが残ってると思う。……だから、私はセナにやめてもらうように、懇願した。


「ますたぁの匂いも、好き、です……」


 セナはそう言うと、私の首元に唇をつけてから、噛み付いた。

 いつも通り痛みはなくて、そのままセナは私の血をチュウチュウと音を立てながら、飲み出した。


「せ、な、動いちゃ、だ、だめっ」


 血を飲みながらも、体を押し当ててくるセナにそう言って、私はセナがこれ以上体を押し当てて来ないようにするために、抱きしめてる力を強くした。……それによって、私の胸が更に押しつぶされたけど、これ以上動かれるよりは、マシなはず。

 ……あれ? 押し当てできてるんだから、抱きしめる力を強くしても、意味ないんじゃ……


「んっ、ますたぁ……」


 私がそう考えていると、セナは血を飲み終えたのか、私の首元に噛み付くのをやめて、私のことを呼びながら、息を荒くしている。


「せ、なっ、も、もう、飲んだんだったら、は、離れる……よ?」


 そう言って、私はセナを抱きしめるのをやめて、離れようとした。

 

「ますたぁ、ますたぁ、もう、ちょっと、だけっ、このままで、お願い、します」


 私が離れようとしたところで、セナがそう言ってきた。


「……前、みたいなこと、しない?」

「が、我慢、します」

「う、ごくのも、我慢、して……」

「……が、我慢、します」


 セナに我慢はあんまりして欲しくないけど、今、前みたいにエッチなことをされたら、ほんとにおかしくなっちゃうから、私は黙って頷いた。……セナを抱きしめながら。

 ……セナは言った通り動かないけど、胸は当たってる訳で、私はこれ以上変な気持ちにならないようにしながら、早く時間が過ぎるのを祈った。

 ……セナとくっついてられるのは幸せだけど、早く、服を着たい。

 そう考えながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ