幸せだけど……
「ます、たぁ……血、飲んでも、いい、ですか?」
セナは息を荒らげながら、私にそう聞いてきた。
「い、今?」
私は、思わずそう聞いてしまった。
「嫌……ですか?」
それをセナは私が嫌がってると思ったのか、悲しそうに、そう聞いてきた。
嫌なわけじゃない。嫌なわけじゃないんだけど……
「後で、じゃだめ?」
だって、今って、裸で抱き合ってる状況なんだよ? いや、温めるためってのは分かってるんだけどさ。……それでも、この状況で、セナが血を飲んだら、この前みたいに、え、エッチなことされるかも、しれないし……
別に、嫌なわけじゃないけど、恥ずかしいし。
「今、が、いい、です」
セナは恥ずかしそうに、そう答えてきた。
「わ、かったよ。す、好きにして……」
私がそう言うと、セナはいつも通り、私の首元を舐めてきた。
いつも、変な感じになるんだけど、今日はこんな状況だから、余計に変な感じになってくる。
私は、早く飲んでと心の中で思いながら、セナが首元を舐め終わるのを待った。
「せ、な……あ、んまり、動かない、で……」
首元を舐めながら、体を押し当ててくるセナに私はそう言った。
だって、その度にセナの胸が私の胸に押し当てられて、ただでさえ硬くなってる部分が擦れて、変な感じになっちゃうから。
「ますたぁ……」
セナは私のことを呼びながら、私にわかるように、匂いを嗅いできた。
「せ、セナ、に、匂い、嗅がない、でっ」
一応、水浴びをしたばかりとはいえ、結局はただ、水で体を流しただけなんだから、まだ、匂いが残ってると思う。……だから、私はセナにやめてもらうように、懇願した。
「ますたぁの匂いも、好き、です……」
セナはそう言うと、私の首元に唇をつけてから、噛み付いた。
いつも通り痛みはなくて、そのままセナは私の血をチュウチュウと音を立てながら、飲み出した。
「せ、な、動いちゃ、だ、だめっ」
血を飲みながらも、体を押し当ててくるセナにそう言って、私はセナがこれ以上体を押し当てて来ないようにするために、抱きしめてる力を強くした。……それによって、私の胸が更に押しつぶされたけど、これ以上動かれるよりは、マシなはず。
……あれ? 押し当てできてるんだから、抱きしめる力を強くしても、意味ないんじゃ……
「んっ、ますたぁ……」
私がそう考えていると、セナは血を飲み終えたのか、私の首元に噛み付くのをやめて、私のことを呼びながら、息を荒くしている。
「せ、なっ、も、もう、飲んだんだったら、は、離れる……よ?」
そう言って、私はセナを抱きしめるのをやめて、離れようとした。
「ますたぁ、ますたぁ、もう、ちょっと、だけっ、このままで、お願い、します」
私が離れようとしたところで、セナがそう言ってきた。
「……前、みたいなこと、しない?」
「が、我慢、します」
「う、ごくのも、我慢、して……」
「……が、我慢、します」
セナに我慢はあんまりして欲しくないけど、今、前みたいにエッチなことをされたら、ほんとにおかしくなっちゃうから、私は黙って頷いた。……セナを抱きしめながら。
……セナは言った通り動かないけど、胸は当たってる訳で、私はこれ以上変な気持ちにならないようにしながら、早く時間が過ぎるのを祈った。
……セナとくっついてられるのは幸せだけど、早く、服を着たい。
そう考えながら。




