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幻聴?

マスター、朝ですよ。門が開きました」

「んっ」


 耳元でセナに優しくそう言われ、私は目を覚ました。……起こしてくれるのは嬉しいんだけどさ、耳元で言わなくて良くない? ……変な声出ちゃったんだけど。


「あ、ありがと。は、早く行こ」


 私は変な声を出したことを誤魔化すために、そう言ってセナを急かした。

 私が起きると、また木の上にいたから、セナに降ろしてもらい、一緒に街に歩き出した。


「マスター」

「どうしたの?」

「さっきの声、可愛かったですよ」

「よ、余計なこと言わなくていいから!」


 私はセナにそう言われたのがちょっとだけ嬉しい気持ちを抑えながらそう言って、恥ずかしい気持ちを隠すために、歩く速さを上げた。

 

 門が近づいてきて、門番の人が見えてきた時に、私はセナが近くにいないと不安だったから、歩く速さを戻したんだけど、そんな事しないでも、セナは隣にいた。


「マスター、大丈夫ですか?」


 私が、一昨日の夜から何も食べてないからか、いつもよりも心配してるような声色で、そう聞いてきた。


「うん。大丈夫」


 セナがいるから。

 言葉に出したわけじゃないけど、何となくセナにも伝わったのか、セナは嬉しそうにしながら、私の隣を歩いてくれた。

 そんなセナの手を握って、私は門番の人にこの前発行してもらった冒険者用の身分証を見せた。


「通っていいぞ」


 私たちの見た目を見て、こんな小娘たちに冒険者なんてできるのか、みたいなバカにするような目で見られたけど、無事に通してくれた。

 まぁ、女の子だし、私もセナも強そうには見えないし、仕方ないかな。


「マスター、髪にゴミがついてますよ」


 門を通って、まだギリギリさっきの門番の人が見える位のところで、セナがそう言って、私の顔に抱きつくようにしてきた。……耳も塞がれちゃって、声が聞こえづらいんだけど。


「お、俺の腕が――」

「マスター、取れましたよ」


 セナがそう言って、私に抱きつくのをやめた。……ゴミを取るだけなら、顔に抱きついたりしなくていいと思うんだけど、まぁいいや。……セナだし。


「セナ、ありがと。……後、何か門の方から聞こえなかった?」


 セナが私に抱きつくのをやめるちょっと前くらいに、なにか聞こえた気がしたんだよね。


「気のせいじゃないですか?」


 セナは、こくんと可愛く首を傾げながら、不思議そうにそう言った。

 耳を塞いでないセナがそう言うってことは、多分気のせいだったんだろうな。


「そうだよね。変なこと言ってごめんね」

「いえ、大丈夫ですよ」


 お腹がすきすぎて、耳にまで影響が出ちゃったのかもしれない。

 そう思った私は、セナを連れて朝食を食べるために、料理も出てくる宿を探すことにした。



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